職種その他2021.01.27

散歩とクリエイション

東京
編集ライター
海外暮らしと帰国してから
Joshy

ドイツ語を勉強しはじめた頃、「散歩に行く(spazieren gehen)」という言葉がよく出てくるのに気がつきました。
ドイツで暮らすようになると、街を歩きながらショーウィンドーを覗いたり、森や公園など季節の自然を楽しんだり、散歩はドイツ人の日常になくてはならないものなんだと知るようになりました。

クリエイターのみなさんは、仕事をしていて行き詰まった時に散歩に出かけると、頭がほどけて新しい構想が浮かんでくるという経験をしたことはありませんか?
今は新型コロナの緊急事態宣言により不要不急の外出は控える時期ですが、せかせかしがちな日常の中で、目的を持つでもなく「ブラブラする」という行為が個人的に好きです。そういった他の視点が入りうる空白のような時間、考えたことを寝かせておく醸造のような時間がクリエイションには必要ですよね。

ドイツのミュンヘンにあるアルテ・ピナコテークは、ホルバイン、クラーナハ、デューラーなどのドイツ絵画のほか、ゴッホ、ルーベンス、ブリューゲルなどフランドルやネーデルラントの絵画コレクションが有名な国立美術館です。

アルテ・ピナコテークのある界隈は、美術館や大学といった文化施設が点在するヨーロッパで最も重要なアートエリアのひとつで、ミュンヘン子の格好の散歩スポットでもあります。

アルテ・ピナコテークをはじめとする美術館の作品が、光とビデオのインスタレーションを通して建物の外壁に投影されるアート・プロジェクトが、現在このアートエリアで行われています。

2021年2月14日までの17時〜21時の時間帯に開催されているこのプロジェクトは、コロナ禍で閉鎖された美術館の作品を市民に開放し楽しんでもらおうというもの。まさに散歩好きなドイツ人のツボにはまるプロジェクトだと思います。散歩しながら名画の鑑賞ができるなんて素敵ですよね。

ドイツではこういったアート作品を開放するイベントがよく行われます。それは「アートとは必ずしも美術館のショーケースに鎮座する格式高いものではなく、みんなが気軽に触れるべきものだ」というドイツ人のクリエイションに対する姿勢の表れでもあるように思うのです。

プロフィール
編集ライター
Joshy
ヨーロッパに20年間滞在し、日本のメディアに情報を発信してきました。海外生活で経験したこと、帰国して感じたことを綴っています。

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