小さな商店から大きな企業まで SNSを活用した「集客」の方法を提案する

- 沖縄
- 株式会社Pix 代表取締役 櫻井 雄一 氏
「このままで大丈夫だろうか?」ITバブルの真っ只中に感じた不安
櫻井さんはもともと東京でお仕事をされていたそうですが。
櫻井さん:中学までは私立校に通っていましたが、そのうち学校に行かなくなり、16歳から19歳まで建築現場で仕事をしていました。周りの友達がいい大学に入って、楽しそうな学生生活を送っているのを見て、このままじゃダメだ!と思い、大検(大学入学資格検定)を取得しました。昔から絵が好きだったこともあって、グラフィックの専門学校に入り、卒業後は小さなIT企業へ入社しました。ITバブルの影響で、入社後は一気に従業員数が増えていきました。
一気に会社の規模が大きくなったのですね。
櫻井さん:この先を考えて上司に相談。「辞めます」と上司に伝えた3日後に会社がなくなってしまいました。そこからフリーランスで仕事をするようになりました。フリーランスになって初月で80万円を売り上げて、会社を友達と立ち上げ、経営者のキャリアがスタートしました。ジェラード屋を立ち上げたりもしましたね。
幅広いですね。なぜジェラード屋を?
櫻井さん:あるジェラード屋の広告制作を行っていた当時、そのジェラード屋のブランドを立ち上げた方から、資金集め、企画、経営、店舗デザイン、全てを教わりました。その時に師に「これまでのソフトの知識は全部捨てろ」と言われ、このジェラード屋立ち上げの経験が、今の企画や経営の基礎となっています。
「ここで出来なかったら何も出来ない」と1日で会社設立。
ジェラード屋の立ち上げを経て、沖縄で起業しようと思ったきっかけは?
櫻井さん:持っていた仕事を今の役員に引き継いで辞めました。ちょうどその頃、東日本大地震が発生し、子供が生まれたタイミングでもあったので、月に20万ぐらい稼げれば環境を変えて生活できると思い東京から沖縄に来ました。沖縄に来てからは毎日、海で遊んで、少しだけパソコンをカチカチっと叩いたら今日の仕事は終わり、という風にのんびりと暮らしていました。
どのようなきっかけで株式会社Pixを設立されましたか?
櫻井さん:沖縄に来てから受けていた仕事が契約満了になった3月31日、以前から頭の中にあった会社の構想をもとに、会社設立のための資料を作り、その翌日の4月1日に会社を立ち上げました。
高良さん:設立の前日に、急に「会社を作るから」という連絡がありました。4月中だったらいいなと思っていたら、まさかの翌日。会社設立って、何をどう準備するの?って思いましたね。とりあえず会社設立に必要な書類を片っ端から集めました。
櫻井さん:設立が1日でできるというところに連絡してみましたが、「1日は無理ですね。2週間くらいかかっちゃいますね」と言われました。ここで出来なかったら何にもできない、だったら自分でやろうと思い、自分で法務局に行き手続きを進めて行きました。
会社を設立したばかりの頃に苦労されたことを教えてください。
櫻井さん:最初の頃は本当に大変でした。立ち上げ当時のメンバーは、自分と高良さんと大学生アルバイトの3名。人手が足りなくて、お客さんの対応を大学生アルバイトに任せたりしていました。その後、大学生アルバイトの繋がりから4〜5人一気に入ったことで会社がうまく回るようになりました。
現在は事務所内にたくさんのスタッフがいらっしゃいますが、最初は3名体制だったのですね。
櫻井さん:何も知らない状態の大学生アルバイトに、お客さんのヒアリングをお願いすることもありました。彼らの一番好きな企業の商品を売るための企画書を書いてもらい、その企業に自分で電話して営業し、結果的に100万円の受注がとれたことも。その時に大学生って意外とできるんだな、企画などを自分で考えて動ける人をたくさん作りたい、と思いました。
色々なカラーの人が集まることで、大きなことを成し遂げていく
会社名のPixという由来は何ですか?
櫻井さん:フリーランス時代に「ピクスデザイン」という名前で仕事をしていました。その話を高良さんにしたところ、株式会社Pixという社名にしょうということになりました。デジタルの世界は小さなピクセルの集まりでできています。この現実世界では色んなカラーの人がいて、それぞれが集まって大きなことを成し遂げるという思いが込められています。個性的なメンバーが多く、中にはアイドルやモデルをしている子もいます。
Webマーケティング事業について詳しく教えてください。
櫻井さん:例えば、最近、沖縄に来る観光客は事前にインスタグラムを使って沖縄で流行っている場所や観光地を検索し、「私も行きたい!」と思った場所を、旅行前や移動中に旅行サイトなどで比較・検討して行き先を決めています。実際に現地についた観光客は、その場所をインスタグラムにアップし、その投稿が拡散されていきます。こういったSNSでの仕組みづくりをお客さんに提案する仕事をしています。ただ、SNSは実際に効果が出ているかが分かりにくいため、ツールを使ってその効果の分析も行なっています。今後もっと多くしていかなければいけない事業でもあります。
一緒に働くスタッフに対して、どのようなことを求めていますか?
櫻井さん:面接の時に必ず「将来何がしたいか?」という質問をするようにしています。自分に可能性があることに気づいていない人が多いと感じます。こんなこと自分にはできないと思わずに、自分の好きなことを見つけて欲しいです。自分が将来何をしたいのかを見つける過程としてPixにいてもいいですし、将来独立したいと考えた結果Pixにいるのもいいと思います。集客の経験は必ず役に立つはずですから、自分の可能性にプラスの経験を積み、将来自分のやりたいことをやっていって欲しいと考えています。
大学生が企業訪問した様子を発信。OKINAWA × MAGAZINE =『Okimag』
『Okimag』はどのようにして生まれましたか?
櫻井さん:立ち上げ当時、話をする中で、大学生の構想から『Okimag』は生まれました。自分が行きたい企業や将来やりたいことについて、何をしていいかわからないという大学生が沖縄にはたくさんいます。採用担当者ではなく学生が企業訪問をした様子を記事にして発信することで、企業側もこれまで気づかなかった斬新な切り口で企業を紹介することができます。ライターの中にはSNSのフォロワーが何百人・何千人といる大学生もいて、SNSの重要性を再確認することもできました。学生だからこそ、これまで行きにくかった企業と出会うこともでき、今では『Okimag』がPixの営業ツールにもなっています。
記事ごとに個性があって読んでいて面白いですね。
高良さん:記事をチェックしていて気になる部分もありますが、極力大学生の言葉のままで掲載するようにしています。修正しているのは分かりにくい沖縄方言だけです。例えば、沖縄では「行こう」を「来よう」、「行く」を「来る」などと言います。
取材した記事は、取材に行った大学生が入力しています。WordPressを一度も使ったことない学生もいましたが、記事の入力方法から見せ方まで自分で調べて作業してもらいました。ライターそれぞれの記事の見せ方があっておもしろいです。会話方式やブログ方式、中には絵文字満載の記事もあり、個性あふれる記事となっています。
誰でも簡単に導入できる集客ツールを沖縄から世界に向けて発信していきたい
今後の展開について教えてください。
櫻井さん:これからすごく面白いことが2つ起こるんです。まだ詳しくは、言えませんが(笑)。
ざっくり言うと、飲食店などの店舗やホームページを立ち上げる時にある共通する課題があります。それは、立ち上げた後の集客を苦手とする人が多いことで、小さな商店から大きな企業まで、共通する課題は集客です。
企業だけでなく個人レベルでも、自分のサービスを簡単に売り出せるような仕組みをつくっていきたいと考えています。業種やターゲット、予算を設定するだけで、Facebookなどの広告を自動で設定できるツールの開発を行う予定です。周りからは、海外でもまだないツールでハードルが高いと言われることもありますが、それをやるのがこの会社の目標です。
取材日: 2017年3月24日 ライター: 田邊早織
株式会社Pix
- 代表者名(ふりがな): 代表取締役 櫻井 雄一(さくらい ゆういち)
- 設立年月: 2016年4月
- 資本金: 400万円
- 事業内容: Webマーケティング、Web企画・構成・制作
- 所在地: 〒900-0006 那覇市おもろまち4-9-3-1 CREビル3階
- URL:http://pix.marketing/
- お問い合わせ先: TEL 098-943-1380