2020.09.14

〈濃厚接触者〉に指定されました その3

Vol.22
編集&ライター
Juzooo
じゅーぞー

 保健所からは、「PCR検査では、〈死菌〉といいまして、感染力のなくなった〈死んだウイルス〉にも反応しますので、他の人に感染させる可能性がなくても、その〈死菌〉に反応して〈陽性〉と判断されることがありますので、無症状ならあまりお勧めしません」と言われたと会社に報告した僕。でも会社からは、「濃厚接触者に認定された以上、〈陽性〉なのか〈陰性〉なのか白黒はっきりしてもらわないと困る」と言われてしまいました。
 濃厚接触者のPCR検査の費用は国の負担なので保健所は消極的、会社はクラスターにでもなってしまったら大事だと、とにかく検査を受けろと業務命令を発令。再び保健所に電話をかけ、会社から「とにかく一刻も早くPCR検査を受けろ」と言われたことを告げると、「現在混み合っていますので、当分先になります。だいぶお待ちいただくことになります」と、そっけなく言われてしまいました。
 困ったことになった。とにかく自宅待機の身になった僕は、毎日保健所に電話をかけました。「とにかく早くPCR検査を受けさせてほしい」と。
 そうこうするうちに、感染者と濃厚接触した日から、観察期間である2週間が経ってしまいました。保健所が、「それまでに症状がでなかったら、社会復帰しても大丈夫です」といった2週間です。でも会社からは「検査結果がわかるまで、自宅待機」と言われているので、会社に行って仕事をすることもできません。会社のデータ管理は厳しいので、著者の原稿などを社外に持ち出すことはNGなので、実質何の仕事もできません。
 悶々とした日が続いたある日、突然、保健所から電話がかかってきました。
「保健所での検査ではありませんが、協力病院での検査ならアキがでました。場所は、区内の○○病院です。午後3時までに行けますか?」
 時計を見ると、午後2時25分過ぎ。あと30分ほどしか時間がありません。
「公共交通機関は使えないので、自家用車か自転車で行けますか?」
「エッ、車は持ってないんですけど」
「自転車はお持ちですか?」
「ハア、ありますけど、しばらく乗っていないので動くかどうか……」
「困りましたね」
「あの〜、タクシーじゃダメなんですか?」
 マップで調べたら、○○病院は車でも15分ほどはかかる距離です。
「できれば、タクシーも避けていただきたいのですが……」
「でも、午後3時までだったら、もうタクシーじゃないと間に合いませんよ」
「仕方ありませんね、タクシーの運転手さんに、コロナに感染しているかもしれませんと正直に言って、窓を全開にして走ってもらってください」
 そう言われ、慌てて用意をして、駅前のタクシー乗り場に走ったのでした。
                               〈つづく〉

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