大切な人と暮らすこと

北海道
校正
徒然なるままに日々思うこと・感じること
こまこま

1年近く歯抜けになっていた漫画「きのう何食べた?」(よしながふみ著)をようやく揃えたので、今まで持っていたものも合わせて読み返しています(夫が集めている漫画なので、ここ最近「早く買って圧」をかけていたのです笑)。

昨年、西島秀俊さんと内野聖陽さんがキャストとなったドラマでも話題となっていた作品です。

 

物語はとてもシンプルで、
同棲している同性愛者の男性2人の日常生活の中で、料理と食事にスポットを当てた1話完結のショートストーリー。
料理の作り方はとっても詳しく書いてあるので、レシピ本としても活用できるほど。

料理や食事シーンの前後には主人公たちの仕事や家族、友人たちとの人間関係の様子がリアルに描かれていて、「うわーあるある!そういうこと!」と思える内容もたくさんあります。
また、いわゆるBL(ボーイズラブ)のような恋愛要素が少なく、どちらかと言うと大切な人と一緒に暮らすという「家族」的な要素が強いです。
というのも、主人公2人の生活だけではなく、主人公たちの親、職場の同僚や友人の家族なども数多く登場し、何事もなく暮らしていながらもそれぞれ親子間、夫婦(または同性パートナー)間での家族ならでは悩みも抱えていたり、さまざまな家族の関係も描かれています。

この物語は同性カップルだからこその悩みや問題を抱えている描写もありますが、同性異性に関係なく好きな人・大切な人と暮らしていく上での相手への思いやりがとても丁寧で、その何気なく出ている優しさにハッとさせられます。

 

食事のシーンでは
料理全般に対して漠然と「おいしい」と伝えているのではなく、一つ一つの料理に対して食感や香り、味など何のどこがおいしいのかをしっかり伝えています。
レシピを紹介している漫画だからこそ食レポ要素があるとも思えますが、作った料理に一つ一つに「おいしい」と言ってくれるのは、作った人としてはものすごく嬉しいものだと感じます。
そして、おいしいごはんを食べた後の二人はいつもほっとした表情になり幸せそうです。

 

一方、メニューを考えるシーンでは
スーパーで売っている安い食材から料理を考えるだけでなく、季節や誕生日などのイベント好きのパートナーと一緒楽しめるレシピや、遊びに来る友人に向けてのおもてなし用のレシピなどなど、誰かを思って作られるメニューがたくさん登場します。

 

料理や食事以外のシーンでは
相手の話をちゃんと聞いてあげていたり、「ありがとう」や「ごめん」などをちゃんと言っていたりと、お互いを尊重しあっている様子が伺えます。
(初期はまだ独りよがりで、怒ったり冷たくあたったりしていることもありますが、巻が増すごとに主人公たちが少しずつ変化していくのも面白いです)

 

いずれも当たり前にやっているはずのことではありますが、現実では疎かになってしまいがち。
特に家族とは長い時間一緒にいるので、何かをしてくれることが当たり前に感じてしまい、感謝や相手の思いやりが薄れてしまったり、心のどこかに「別に言わなくてもいいよね」という甘えみたいなものがどうしても出てきます。

久しぶりにこの漫画を読んで、大切な人との暮らし方を見直すきっかけとなりました。
特に今年は巣ごもりなどのストレスで、家族関係が危機に瀕しているニュースも目にします。

せっかく好きな人と一緒に暮らせるようなったのに、喧嘩はするとはいえ相手を憎むようになるまでの関係にはしたくないもの。

なるべく感謝や配慮などを示していきたいのですが、心の中では「ありがとうって言わなきゃ」とか「忘れないうちに言おう」とか、実はまだ自然に言えてない時も少なからずあります…。

 

いずれはこの漫画の主人公たちのように、どんな時でも自然に思いやりと感謝を言葉や姿勢で伝えられるようになりたいですね。

 

 

歯抜けが揃ったとはいえ、実はまだ「きのう何食べた?」は全巻揃ってはいないので、只今絶賛続きが気になり中です。
夫には歯抜け分を揃えてくれた感謝を伝えつつも、早く続きを用意してもらえるようにお願い(という名のちょっとした圧力)をしてみよう思います(笑)。

プロフィール
校正
こまこま
デザイン系の大学に行くも、就職で迷走。ライターをかすめる程度にやってみて、現在はウェブや誌面の校正の仕事に携わる。失敗と勉強が重なる毎日。真冬の北海道生まれだが、寒さに非常に弱く冬が苦手。「きのう何食べた?」の料理で実際に作ったみたのは長芋とトマトの味噌汁。とてもおいしかったです。

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