仙台育英の快挙!甲子園の優勝旗が白河の関越え……東北人にとっては意味があることなんです

仙台
フリーランス記者・作家
スーパーいわちゃんねる!クリ目版
岩崎

今年の夏の甲子園で、ついに宮城県の仙台育英高校野球部が優勝しました!!

東北地方の学校が優勝するのは大会初、しかも準決勝で福島県の聖光学院高校を破り、彼らの思いを受け継いで勝ち取った勝利ということで、エモいにエモいが重なって記憶に残る戦いだったと思います。

ところで、メディアで「優勝旗が“白河の関を越えた”」と表現されていますが、東北地方以外の人にはピンとこないと思います。われわれ東北人にとっては悲願であると同時に超意味があることなので、僭越ながら解説させていただきます。

 

白河の関(白河関)とは、福島県白河市にかつて存在した関所のことです。

同市の説明によると

奈良時代から平安時代頃に機能していた国境の関で、

(中略)

都の文化人たちの憧れの地となり、”和歌の名所(歌枕)″として知られるようになりました。

http://www.city.shirakawa.fukushima.jp/page/page001743.html

とのこと。

あの松尾芭蕉が

「白河の関にかかりて旅ごころ定まりぬ」と、みちのく路の第一歩を踏み出したことについて感動を込めて記しています。

http://www.city.shirakawa.fukushima.jp/page/page001743.html

と一句読んでいるくらいなので、当時は関東以西の人たちがここまでたどり着くのは相当大変だったのではないでしょうか。

白河市は福島県最南端(つまり東北最南端)に位置し、東北新幹線の新白河駅があります。東北人は白河市=白河の関という認識を持っている人が多く、もしも今後どこかで「白河の関」という言葉が使われたら「あー、あの辺ねー」と思っていただければ幸いです。

ここを越えたら関東地方……つまり、白河の関は東北地方と関東地方の境目の象徴なんですね。

逆に、関東方面から見て白河の関の向こう側は東北地方。遠路はるばる、ようこそ陸奥(みちのく)へ!! よーくござったなや!! って感じです。

 

……と、ここまではちょっといい話。

明治維新後、白河の関から北=東北地方は「白河以北一山百文(しらかわいほく ひとやまひゃくもん)」と馬鹿にされるようになりました。

発端は1868-69年の戊辰戦争。「東北戦争」と呼ばれる戦いでは、東北地方の諸藩は「奥羽越列藩同盟」を組んで戦いましたが、無念の敗戦。また、白虎隊の悲劇で知られる「会津戦争」では、白河の関の辺りでも「白河口の戦い」という戦局を左右する大きな戦いがあったそうです。

で、その頃の新政府軍から「白河関から北=東北地方全域はひと山100文くらいしか値打ちがない」とディスられたようです。

1文は32.5円くらいだそうなので……いくらなんでも、ちょっと馬鹿にし過ぎてませんかね。子どもの小遣いで買えるレベルですか、そうですか。

日本国内、田舎な地方・地域はたくさんあるのに、東北だけ妙にひどく見下されてきたことにはこのような歴史的背景があります。

ちなみに、東北のブロック紙・河北新報の「河北」は、創業者の一力健治郎があえて「白河以北一山百文」から取ったそうです。それだけ当時の人たちはそう言われるのが悔しかったのでしょう。

だからと言って、暴れたり、抗議したりすることなく、時に助け合いながらじっと耐え続ける……それが東北人のメンタリティ。

東日本大震災の時「東北人は我慢強い」と言われていた覚えがありますが、もしかしたらその精神は長い歴史の中で培われたものだったのかもしれません。

 

今回の夏の甲子園決勝戦、仙台育英高校の相手は山口県の下関国際高校。

見方を変えれば、彼らは戊辰戦争で東北をボコボコにしてくれた長州藩の人たちです。

日本国は今でこそ一つに統治されて平和になっていますが、そこに至るまでの歴史を忘れたわけではありません(特に会津地方の人たちは超根に持ってるという噂があります)。

ルール無用の内戦ではなく、スポーツというしっかりとルールに守られた戦いで勝ててよかったです。かつての戦争で散っていった東北の先人たちも、さぞお喜びになっていると思います。

同時に、スポーツマンシップに則って相手へのリスペクトも忘れずに。下関国際の皆さま、仙台育英と戦ってくださってありがとうございました!

 

余談ですが、この夏は身内が新型コロナウイルス陽性になってしまい、まさかの実家出禁。今年も地元に帰ることは叶いませんでしたが、池袋の宮城ふるさとプラザの優勝セールに乗っかってきました。

なんとなくいつもより人が多かった気がします。

戦利品です。シソ巻き(左)は宮城県民熱愛グルメ。ご飯のお供のジャスティスです。

はー、実家に帰って家族と一緒にお祝いしたかったなー。

プロフィール
フリーランス記者・作家
岩崎
書いて撮って編集・デザインして発信できる「平面系マルチクリエイター」を目指す平成元年生まれ。巳年・蠍座の女。本家ブログ&連絡先は「スーパーいわちゃんねる!」で検索。宮城県出身、東京都在住。西武鉄道による刷り込み教育が実り、遂に西武ライオンズファンクラブに入会。だって〜、今年から楽天の監督だった平石洋介一軍打撃コーチがいるんだも〜ん……。

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