サクラ、サイタ

東京
ライター
来た、見た、行った!
かつらひさこ

カフェやお菓子などで桜や抹茶のメニューが登場すると、そろそろ春だなと思う。

 

先日、子供の受験の結果がすべて出て、おかげさまで本命の学校に合格をいただけた。

本命の学校の合格発表当日の朝。うとうとと布団の中で寝坊していたら、隣の部屋から子供の狂喜する声が聞こえてきて、ああ、受かったんだなぁとわかった。

心からほっとした。

 

割と辛いことが多かった1年だったが、全部が全部辛かったかというとそうでもない。

たとえば去年と今年の冬は、毎日のようにいちごを買っていた。

毎日だと結構いいお値段になったのだけど、それでもちょっとした癒しになるものが欲しかったのだ。

気休めなのだが、それでも手数勝負とばかりにそういうものを揃えていたおかげか、なんとか乗り切れた気がする。

 

10年前の東日本大震災、私も被災者のひとりになった。

自分が住んでいる所では水道がいつ復活するかわからず、夜になると車に洗濯物を乗せてコインランドリーに走ったり、スーパー銭湯に行ったり。

あの時も「先が見えない」という辛さがあったが、癒しになってくれたのはとあるテレビのお笑い番組だった。

「笑うことができる」という単純なことで、なんとなくだが「大丈夫かもしれない」と思ったのだ。

 

辛い時期に寄り添ってくれたもの、というのは不思議なことに曲でも本でも言葉でも食べ物でも、なぜかずっと印象に残っていて、それを見るとその頃の感情や情景を思い出す。

 

コンビニ帰りの夜、ふと見上げると桜が咲き始めていた。

また、春がきた。

 

プロフィール
ライター
かつらひさこ
1975年札幌市生まれ。自分が思い描いていた予定より随分早めの結婚、出産、育児を経て、7年前からライティングを中心とした仕事を始める。毒にも薬にもならない読みやすい文章を書くことがモットー。趣味はクイズと人間観察。

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