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マグノリア~隠された意味~

 本日は若き巨匠、ポール・トーマス・アンダーソン監督(以下PTA)の名作、「マグノリア」(1999)をご紹介したいと思います。あらすじとしてはLAの警察官、その警官が恋した女性、クイズ番組の司会者、天才クイズ少年、元天才クイズ少年などなどの人々の人生が偶然にも絡み合う思いがけない一日を描いた群像劇です。

 本作には多くの謎、ヒントが隠されています。ネタバレを巧みに避けつつ本作に隠された謎を読み解いていきたいと思います。まず本作の「マグノリア」というタイトル。「マグノリア」とはモクレン科の花の名前であると同時に、本作の舞台になっているサン・フェルナンド・バレーに実際に存在するストリートの名前でもあります。登場人物たちの人生が偶然にもすれ違う場所、実は非常に意味深長なタイトルです。

 本作をよーく目を凝らして観てみると、「8」と「2」という数字が多く出てくることが分かります。降水確率82%、死刑囚の服に記された囚人番号「82」、ダイバーをひっかけた飛行機の番号「82」、カジノで飛行士が要求したカードは2、ディーラーが渡したカードは8、検死医協会の表彰式は午後8時20分といった具合に様々な場面に顔を出してきます。この「8」と「2」が意味するものは何か?これは「旧約聖書8章2節 出エジプト記」を意味していると思われます。「出エジプト記」とはユダヤ人を迫害したエジプト王に対し神が天罰を与えるという話です。「出エジプト記」結末と本作の驚きのラストは全く同じ内容になっています。また作中でクイズ番組の観覧客がご丁寧にも「Exodus82」(Exodusは『出エジプト記』という意味です)と書かれたプラカードを持って立っています。ちなみにPTA自身は以前のインタビューで「聖書?知らないよ」なんてシラを切っておりましたが、「そんなわけはないだろう!」と思います。

 もう一つ本作を読み解くカギは「チャールズフォート」という人物です。チャールズフォート(1874~1932)とは生前UFOや超常現象などを含む科学で立証できない現象の研究を行っていた人物です。死後彼の名を冠した英国の雑誌「フォーティアン」(信じられない現象を取り扱ったもので、日本でいう「ムー」のような雑誌です)により名が広く知れ渡りました。残念ながら彼自身の書籍は日本語翻訳されたことが一度もありません。しかし、彼は本作のラストで起こる現象についての研究を行い、一応の解明までしていたと言われています。そして冒頭で示される「3つのエピソード」の中のひとつに「ラストに起こる現象に対してのチャールズフォートなりの結論」のイメージをさりげなく重ね合わせたものが出てきています。さらにはラストで「ある現象」が起こっている最中「ある人物」がこれまたご丁寧にチャールズフォートの本を読んでいるのです。またタイトルとのつながりで言うと、チャールズフォートの書籍では「マグニア」という天の上にある神話的な場所が登場しています。ここは災厄が降り注ぐ前に、一時的にとどまる場所とされています。本作の内容に対して非常に示唆的であるという点で、おそらくダブルミーニングになっているのだろうと思われます。

 このように「マグノリア」という映画は「読み解いていく楽しみ」に満ちた映画であると言えます。(もちろんそんなことはしなくても抜群に面白い作品です)そして本作には「示唆的に意味を重ね合わせた箇所」がまだまだあります。ネタバレを巧みに避けた結果、何とも舌足らずな内容になってしまいましたが、気になった方は是非一度ご覧になってみてください!

画像:アマゾンより引用

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                                          クリステ編集部 渡邊正人

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