アニメ2017.09.09

ジブリの現場から見る、作品制作の本質

 

毎回観る者の心をつかんで離さない<ジブリ作品>。

これらの作品はどのようにして生まれているのでしょうか。

今回は、『仕事道楽-スタジオジブリの現場-著:鈴木敏夫』から見ていきたいと思います。

 

【取材ノート】

“作家が何かを言ってきた時に相槌をどう打つか。相槌をうまく打つにはその作家の教養の元を知っていて自分も同様の教養を身につける必要がある。”

というのが鈴木さんの考え方で、映画を作る際には原作に登場する人物のセリフや立ち位置まで詳細に覚えることをしているそうです。

他にも、宮崎監督とお知り合いになられて間もない頃、対等な立場で話せるようになるため、長時間の会話の内容を

喋り言葉そのままにノートに書き留める

喫茶店に入って、このメモをもう一回まとめる

帰宅後、大学ノートに書き写す

ことを繰り返していたそうです。

 

取材ノートに書きまくった。彼らを知るにはそれが早道だし、それしかないと思った

 

こうした事の積み重ねによって鈴木さんはプロデューサー職に就きます。

なかなか真似出来ることではありませんが、相手を理解しようとする姿勢はどの仕事においても大切だなと思います。

 

【オリジナル建造物】

 ジブリの作品の中で皆さんが最も印象に残っている建物はなんでしょうか。

「千と千尋」、「ハウルの動く城」、「天空の城ラピュタ」、、行ったことのない架空の国が、観ている者に”存在していそう”と思わせ、作品世界に没入させてくれる理由についても少し触れられていたのでご紹介します。

 

  < 記録より記憶 >

「彼(宮崎氏)は本当に真剣に見る。何となく見ているんじゃないんです。

感覚をフルに働かせ、それまでの知識・情報を動員してつかんでいく。あの建物の屋根は何様式、家の間取りはこうで、窓の様式はこうだとか、要素でいっぱい覚えてくる。」”(仕事道楽より抜粋)

 

旅行に行っても写真に残さず、じっくり対象物を観察されるそうです。記録に留めておいても半年ぐらい経つとせいぜい残るのは10個中半分ぐらい。

自分の印象に残った所は強調され、曖昧な部分を、想像と日々の観察による推測から埋めていく。そうする事でオリジナルの建造物が生まれているというわけですね。

手元の資料に頼るのではなく、その場で感じた空気感を作品に落とし込んでいく事が人々の心に訴えかける背景に繋がる といえそうです。

 

  また、徹底したリアリティーの追求という点において、ジブリ作品はまず

“どんな洋服を着ているか、どんな髪型か、何を食べているか、どんな家に住んでいるかそこからイメージが膨らませていく”という極端な細部から発想を始めるそうです。

以前何かの番組で、『ジョジョの奇妙な冒険』の作者の方も<身上調査書>を作るという話をされていました。 

<そのキャラの家族や”恐怖”に思うことを考える。そうすることで、キャラクターの一貫した性格が個性となり、起こす行動に説得を持たせることができる。>

といった内容だったと思いますが、こうした詳細な設定を設けることが差別化を図る上で大切なのかもしれません。

 

 

 本書では、鈴木さんのこれまでの人との関わりの中で得た教訓から、

プロデューサーにとって大切なこと”が書かれています。

ここでは書ききれなかった、アニメージュ創刊やナウシカ誕生の秘話等、非常に密度のある内容で面白いので、関心のある方は是非一度手にとって読んでみてください!

『仕事道楽-スタジオジブリの現場-』(岩波新書)

 

クリステ編集部 坂本江里華

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