BARでドトールモーニング

Vol.1
編集者
Juzooo
じゅーぞー

 ここはどこでしょう? ドトールコーヒー? それともBAR? 実はどちらも正解です。
 この場所は、秋葉原駅から御徒町方面に向かって昭和通りを10分ほど歩くとあります。入り口は普通のドトールコーヒーの佇まい。ドトールコーヒー神田松永町店です。
 奥に喫煙エリアが設けられた、間口がそんなに広くない、よくあるドドールのお店です。僕は職場に出勤する前、朝の8時の時間帯に、週に何度か寄ってモーニングを食べています。
 オフィスが多いエリアなので、朝から結構混んでいます。喫煙エリアは約16席ほど。空いていないと、みんなモーニングの乗ったトレイを持ったまま、立って待っています。
 ある朝、さらに奥にあるトイレに行くと、不思議なものを発見しました。トイレの扉の前に、別の鉄の扉のようなものがあって、開いた状態で固定してあるのです。何だろうと思っていると、トイレから出てきた女性が、その謎の入り口に消えて行きました。
 気になったので覗いてみると、そこは小ぢんまりしたBARのような空間。さっきの女性はカウンターに座り、アイスコーヒーをすすっています。BARのスタッフの女性が、早く出て来てランチの準備でもしているのかと思ったのですが、彼女が持っているグラスをよく見てみると、そこにはなんと「DOUTOR」のロゴがあるではありませんか!
 種明かしをすると、そこはドトールコーヒー神田松永町店の本来のエリアではなく、れっきとした「BeerS」というBARの空間なのです。「BeerS」が営業を始めるのは夕方からなので、店がクローズしている時間、混雑解消にドトールサイドが借りて客に使わせていたのです。どうやら2つの店舗が1つのトイレを共用で使うというビルの構造であったため、このようなことが可能になったようです。
 ドトール側は積極的にインフォメーションしたくないのか、奥にそんな空間が用意されていることを知らせる貼り紙もありません。実際僕がその空間を使っていいことに気づいたのは、通い始めて1カ月もしてからでした。奥にそんな使って良い空間があることに気づいていないお客さんは多いと思います。
 どちらからの提案だったのか知りませんが、これはこれで、お互いWin&Winの関係なのでしょう。夕方までとはいえ、ドトール側はより多くのお客さんに利用してもらえるし、BAR「BeerS」としても毎月いくばくかの使用料をもらえるわけですから。
 その空間を発見してから、僕は正式な喫煙エリアに席が空いていても、BARエリアの方に必ず行くようになりました。そして朝の8時なのに、仕事終わりの夕方の気分で、ドトールモーニングを味わっています。

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