WEB・モバイル2005.11.20

ユーザー視点に立った 技術とデザインの融合で 新しいサービスをたくさん作っていきたい

東京
株式会社プリューデンス 代表取締役 塩月研策氏
 
横浜。みなとみらい線日本大通り駅を降り、広い歩道を歩いて数分。目の前が横浜港という、夢のようなロケーションのビルの一画に陣取るシステム開発会社。それが株式会社プリューデンスだ。2002年設立。現在の社員16名。率いるのは、若干30歳の社長/塩月研策さん。設立4年目を迎えている同社は現在、携帯コンテンツの技術開発を戦略目標に掲げて活動を展開している。

携帯コンテンツは、 日本が世界に輸出できるコンテンツになる。

これまでHP開発が事業の柱だったものを、携帯コンテンツ技術にシフトしているそうですね?

今は、日本から輸出できるような文化が減ってますよね。IT技術に関してもほとんどが、輸入。ところが携帯にまつわる技術だけは、日本が世界をリードしています。ゆくゆくは輸出できるようになるとも思ってる。そこに着眼して、経営判断しました。これから第4世代に移行していくこの時期に、弊社ならではの技術を持てるように試行錯誤しているところです。

株式会社プリューデンスの実績

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新しい目標を得て、活気にあふれている状態?

そうですね、WEBの世界は技術が“なんでもあり”なので、目標の絞りにくい世界でした。また、日本はアメリカから1年、2年遅れているというのが実情なので、新しいことをやっているつもりでも、実は海の向こうからやってくる“新しいこと”に取り組んでいるだけの繰り返しになっています。人にやらされている感があって、それがフラストレーションにもなっていました。携帯は、日本のハードウェアメーカーさんが頑張っているおかげで、イニシアチブをとれる世界なんです。今は、それにソフトがついてきていないというのが現実。それを作るのが私たちの使命なのだと思います。

最近、携帯コンテンツ用の音源を買い付けに韓国に行ったそうですね。

行きがかり上、買い付けにも立ち会うことになってしまったんですが、面白い体験でした。音源って、思っていたより、ずっと簡単に手に入るんですね。ポイントは、韓国は日本に比べて音楽著作権の法整備が遅れていること。そして日本と違ってCDがまったく売れなくなっていること。どのレーベルもCDよりMP3配信での利益のほうが大きいという状況なんです。つい昨年まではすべてが無料配信で、今いろいろ裁判がおき、関連の法整備が進んでいる最中。その間隙を縫う形になって、手に入る曲はいくらでもあります。驚くような大手さんが安価に曲を提供してくれて、びっくりしました。

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現状での開発実績は?

たとえば、携帯用ストリーミングシステム。携帯にはダウンロードの仕組みしか用意されていないのですが、それを使って、無理やりストリーミングできるようにするというシステムです。映像をサーバ側で分割して配信。それを携帯側で小さく受けて、結合して再生します。たとえば、電波が途切れた瞬間もストックしている分の映像で再生できるところが特徴です。今これを手がけておけば、次世代携帯で弊社がイニシアチブを持てると見込んでいます。その他には、某自治体向けの携帯コンテンツ用ゲーム開発や、着うた、物販サイトなどの公式サイト構築をいくつか手がけています。

携帯コンテンツ分野での戦略は?

これからの得意先は携帯コンテンツ運営会社、いわゆるコンテンツプロバイダー(CP)さんになると見込んでいます。実は、弊社も自社開発技術を使ったCPとしての活動を真剣に考えている。自社がCPとなることによる、技術と運用の相乗効果が期待できますからね。

オープンな会社にしたかったので、 あえて複数の出資者を募った。

会社設立のきっかけは?

元来独立志向でした。実は学生の頃は、DTPデザインをやってました。でもどうしても会社を作りたかったので、試算したところDTPデザインではどうやっても無理という結論に達し、SEの道を選んだんです(笑)。会社員、フリーを経て、2002年に会社を立ち上げました。

会社経営の方針、信念は?

この規模のシステム会社は、おしなべてワンマンなものです。私はプリューデンスをそういう会社にしたくはない。すべてをオープンにして、外から資本を入れて、どうやれば会社を大きく育てられるのかにチャレンジしたいと考えました。2002年当時に有限会社として発足したので資本金は300万円で十分だったのですが、あえて複数の方に出資をお願いして600万円を集めました。

経営者としての塩月さんの特徴は?

基本的には裏方に徹しています。開発者は個々がひとりだちできるくらいが理想だと思っているので、彼らの自主性を最優先にしています。また、先ほど触れたように、もともとデザインをやっていましたから、他のSEに比べデザインへのこだわりはかなり強いですよ(笑)。

サイトイメージ

塩月さんの“デザインへのこだわり”とは?

ユーザーの視点に立つ、ということと同義です。ユーザーにとっては、バックのシステムはどうでもいいこと。あらゆるサービスは、最終的にはユーザーインターフェイス、見た目がどうかが決め手になります。そう考えると、ユーザーインターフェイスを理解して仕事のできるデザイナーさんはまだまだ少ないと思います。SEにしても、使う人を意識した開発をするのは難しい。SEはどうしても、仕組みが面白ければそれだけで楽しいというところがありますからね(笑)。ユーザー視点に立った技術とユーザー視点に立ったデザインの融合で、これまでになかった新しいサービスをたくさん作っていきたいですね。

横浜は、開発拠点としては理想的な環境。 将来はもっと田舎に移転するかもしれない。

環境

会社の拠点が横浜ということには、なにか理由がある?

横浜が好きだから(笑)、東京は考えていなかったですね。学生時代から横浜が好きで、横浜に住んでましたから。現在クライアントさんはほとんど東京なので、デメリットはたしかにあります。ですが、開発者にとってはこっちのほうが明らかに環境がいい。広々としていて、空いた時間に散歩をすればリフレッシュもできる。地の不利は、営業担当の私たちが少々苦労を受け入れれば済むことです。でも、30数分で東京に出られますからね、たいしたことではないですよ。みなとみらい線が開業したので、かなり楽になりました。将来、営業拠点は都内に出すかもしれないけれど、開発環境はむしろもっと田舎になるかもしれません。

開発の方針は?

手を上げた者勝ち(笑)。週に1回のアイデア会議で、社員全員で新しい開発テーマを探っています。

これからも、研究開発を優先する?

当然そうなります。研究開発は必須ですね。全体の2割程度は研究に割いていこうと考えています。年に2~3アイテムは研究開発の成果をリリースしたいと思っています。

日本が発信源となって、輸出できるような技術――目標にロマンがある会社には、ロマンのある人材が集まるし、ロマンに共感する顧客・支援者が現れるはず。所在地がロマンチックな街であることも、単なる偶然ではないような気がする。塩月さんの抱く夢――携帯コンテンツが「日本が世界に誇る文化」に成長したころには、プリューデンスという会社の存在感も、驚くほど大きくなっているはずだ。

株式会社 プリューデンス

  • 代表取締役:塩月研策
  • 業務内容:
    • システム開発
    • HPの企画制作
    • 携帯コンテンツの企画開発
  • 設立:2002年3月6日
  • 資本金:1,000万円
  • 所在地:〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町1番地 シルクセンター1018
  • TEL:045-227-5592
  • FAX:045-227-5593
  • URL:http://www.PRW.co.jp(HP内からメールによるアクセス可能)
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