WEB・モバイル2007.09.20

ユーザーの視点から コンサルティングすることが クライアント様へのベネフィットになると確信

東京
株式会社ビービット 代表取締役 遠藤直紀氏
 
気づいている人は気づいているとは思うが、今、インターネット立ち上げ、リニューアルに際してコンサルティング専門会社が活躍し始めている。そんな中でも、際立っているのが株式会社ビービット。徹底したユーザー心理分析により成果創出を実現するインターネットコンサルティングカンパニーだ。同社のユーザビリティテストは、ターゲットとなりうるユーザーに協力を依頼し、同社ユーザビリティテストラボで実際にサイトを使ってもらう。クライアント担当者は、別室からその様子を見学できる。また、2006年4月に業界でもっとも早く導入したアイトラッキングシステムを併用し、ユーザーの視認の有無や注目度の違いなどを判別する。あらゆる案件をケースバイケースで個別に徹底検証し、効果創出のための最適選択を導き出す。そんな独特の方針が、多くのクライアントから着実に評価を獲得している。
視線追跡

【視線追跡】
ユーザの目の動きをとらえ、見ている箇所、その順序を取得することにより、コンテンツ配置の検証をする

視線滞留時間分析

【視線滞留時間分析(ヒートマップ)】
多くのユーザの視線の動きを重ね、平均することで、よく見られている箇所を特定する。

当社は、“一般論”でWEBはつくりません。 毎回ケースバイケースで違う。

御社の実証手法は、かなり徹底していますね。

ユーザビリティテストは、昨年は計1,215人のユーザーさんに協力してもらいました。当社のコンサルティングにおいては、このテストを行うことが基本ですし、クライアントの担当者さんに見学していただくことも基本と考えています。

ユーザビリティテストの現場

ユーザビリティテストの現場

ユーザビリティテストの現場左上に掲げられた注意書き

ユーザビリティテストの現場左上に
掲げられた注意書き

特にユーザビリティということで言えば、100の理論より1つの実証テストの方がはるかに説得力がある。

そうですね。当社は、“一般論”でWEBはつくりません。クライアント様の業種も、商品も、サービスも違うのだから、毎回ケースバイケースで違うものになって当たり前。毎回きちんと実証することで、それができるわけです。

いかにして、その方法論にいきついたのですか?

ユーザビリティという用語には、狭義のものと広義のものがあります。狭義でユーザビリティと言った場合、それは、ボタンの位置やリンクの色という話題になっていきます。広義に捉えるなら、そこには、「ユーザーにとって役立つ情報、使いやすいサイト」という視点が必要になります。当社は、その後者を目指し、ユーザーの視点からコンサルティングすることがクライアント様のベネフィットになると確信しました。そして、検証し、実証しながら、クライアント様と一緒にウェブを構築する手法が最善との結論に達したのです。

御社の営業資料を見ると、御社の手法でリニューアルしたサイトは、劇的な効果向上を果たしていますね。

KPI(キーパフォマンス・インディケーター)の測定などで問題点を洗い出す作業は、他社制作案件だけでなく自社案件にも徹底して行います。自社制作物を、自分たちで分析し、問題点を洗い出すのにも躊躇はありません。自分で自分の喉もとにナイフを突き当てているイメージですね(笑)。特に当社は、業務を「納品して終わり」ではなく、「効果創出するまで」が仕事と考えているので、それが当たり前になるのです。納品したクライアント様には、3ヵ月後、4ヵ月後にこちらから「その後、いかがですか」とご連絡するのを常としていますし、問題点が指摘されれば、一緒に対策を考えていきます。

最初は、笑われましたね(笑)。 なぜそんなことが必要なんだと。

御社は、2000年に遠藤社長と3人の仲間で設立。当初から、現在のようなコンサルティング会社のイメージがあった?

このドメインを見つけるのには、3~4ヵ月を要したと記憶しています。それが発見できてからは、かなり確信を持ってやってきました。

検証、実証を中心に置いたコンサルティングはすぐに受け入れられた?

最初は、笑われましたね(笑)。何をやっているんだ、なぜそんなことが必要なんだと。ただ、当時は、今に比べればインターネットの重要性は、まだまだ格段に低かった。この数年で、その存在価値が飛躍的に高まっていますが、その高まりとともに理解してくださる方、共感してくださる方が増えてきました。要は、サイトがビジネスに果たす役割が大きくなるにしたがって、クライアント様の真剣さも大きくなり、当社の考え方が受け入れられるようになったのだと感じています。

一度御社にお願いしたクライアントさんは、他には頼めなくなるのでは?

そうなると嬉しいですね(笑)。実は、現況、クライアント様の半数以上がリピート顧客です。その信頼を裏切らないよう、今後も研鑚しつづけねばと思います。

今後も、この手法は変わらない?

基本は変わりません。ただ、誤解のないよう付け加えると、人の感性やデザインの理論を全否定するつもりはありません。現在でも必要とあれば、「デザイナーの感覚」は取り入れていますし、今後もそうするつもりです。要は、案件の事情に最適なやり方を、ケースバイケースで採用しているのですね。

日本の企業サイトは、テクノロジー基盤が弱い。 その改善も担っていきたい。

今後の方針、ビジョンは?

事業を伸ばし、3年後には現在の30人体制を100人体制にまで広げたいと考えています。もうひとつの目論見としては、テクノロジーの取り込みが大きな目標です。

テクノロジーの取り込みとは?

日本の企業サイトは、まだまだテクノロジー基盤が弱いですね。その改善も担っていければいいなと考えています。具体的には、サイトには、もっともっとソフトウェアでできること、解決できることがある。コンテンツマネジメントシステムもそうですし、SEOやアクセス解析などもそうですね。人手ではなく、技術でサイトの質を高める。そのお手伝いも事業に組み込んでいく予定です。

実証の次のステップは、テクノロジー。きわめて戦略的なビジョンですね。

コンサルティング強化の次に、テクノロジー強化。それを果たした後に、クリエイティブ強化と考えています。今はデザインのすべてを外注デザイナーさんに頼っていますが、ゆくゆくは自社にデザイン部門を育てる必要があるでしょう。デザインはWEB制作に不可欠なものですから。

会社経営の視界は、かなり開けているようですね。

25歳で独立して暗中模索でやってきましたが、最近、やっと「すべきことは見えている」と言えるようになってきました。成果をあげることで報酬をいただく。そのために、常に検証し、実証する。その方針さえ揺らがなければ、まだまだ伸びるネットのニーズとともに成長できると確信しています。

取材日:2007年9月13日

株式会社ビービット

  • 代表取締役:遠藤直紀
  • 資本金:3,200万円
  • 事業内容:インターネット事業コンサルティング(ウェブサイト戦略策定、設計、構築、リニューアル、ユーザビリティ評価 他)
  • 設立:2000年(平成12年)3月15日
  • 所在地:〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-18-1 虎ノ門10森ビル7F
  • TEL:03-3509-7601
  • FAX:03-3509-7605
  • E-mail:info@bebit.co.jp
  • URL:http://www.bebit.co.jp/
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