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ジャパンクオリティを世界へ・・・ ひとつのエポックをつくってみたい

東京
株式会社イマン 代表取締役 西嶋修氏
 
「暮らし方は生き方そのもの」――株式会社イマンのHPトップには、そんな言葉が掲げられている。インテリア雑貨の企画、製造、販売を手がける株式会社イマンは、クオリティの高いアンティーク調ホーロー製品で根強い人気、長年のファンを多く持つきわめてユニークな会社。価格競争に陥りがちな雑貨業界にあって、付加価値が高く、その分価格も高い商品だけを扱うワン&オンリーな存在だ。 会社そのものは足かけ20年の歴史を持つが、代表取締役CEOである西嶋修さん自身は2008年に現職に就任した。前職は大手不動産会社の常務取締役ながら、周囲の驚きをよそに転身。それを自ら「論理のビジネスから感性のビジネスへ」と解説する西嶋さんに、会社の今後、ご自身の未来のビジョンについてうかがった。

就任後すぐに3ヶ月かけて取扱店巡り。 そこから、新方針のアイデアを得た。

上場会社である不動産会社の常務取締役から、資本金1000万円のインテリア雑貨製造販売会社のオーナー経営者に。いろんな人が、驚きの声をあげたでしょうね。

「やめておけ」、「何を考えている」とたくさんの忠告、アドバイスをいただきました(笑)。ただ、私自身は大手流通業、不動産業と経営の最前線を歩みながら、「機会があれば」とオーナー経営者への転身については常に考えていました。 私は、いわゆる「会社組織」の中のほぼすべての職位を経験しましたが、唯一「オーナー経営者」というキャリアだけがなかったのです。 上場企業の経営は、徹頭徹尾、論理で進みます。20年ほどそんな世界に暮らしたので、次は感性の世界に身を置きたいと思っていた。有り体に言えば、上場企業はもう卒業ですね(笑)。それで、たまたまご縁のあったこの会社を、個人で買収する運に恵まれました。 さらには買収成立から半年後、ビジネスの基盤を盤石とするために、ダイレクトマーケティング会社であるインターコネクトの傘下に入りました。

さて、そんな意思をもってイマンの経営に乗り出して、ここまでの感想は?

楽しいですよ。上場企業のような制約のない、思った通りの環境でした。 2008年1月に正式にCEOに就任し、まず手がけたのは3ヵ月かけての全国の取扱店巡りです。そこで、イマンには本当に根強いファンがいることがわかった。もちろん、店舗オーナーさんやお客様から直接お話をうかがい、新しい方針のアイデアもいただいた。 何より実感したのは、私以外の社員、取扱店さん、お客様、ほとんどが女性であること(笑)。女性の感性がうずまいていて、予想していましたが、私にはすべてを理解することができない世界でした。

イマン image 1

女性から高い支持を集めるイマンの商品群

理解できないのは、まずいですね(笑)。西嶋さんも雑貨がお好きだから、この業界を選んだのでは?

それは、違います。以前は雑貨への個人的興味はありませんでした(笑)。ですから、足を踏み入れても僕の知識や感性が通用する世界でないのは、あらかじめ覚悟していたことですよ。 私が、「論理から感性へ」と口にするのは、決して論理を否定しての発言ではありません。この会社にも、経営には論理が必要ですし、私はそれに関するプロとして手腕を振るうのが一義です。ただし、現場でものをつくったり、売ったりするのはその道のプロに任せるべきだと思っています。

なるほど、商品企画の部分はスタッフに任せるおつもりなのですね。

大枠のコンセプトづくりには参加しますし、判断もしますよ。ですが、それ以降の具体的な部分に関しては、デザイナーや企画スタッフの感性に任せています。正直、AとBがどう違って、どちらがどういいかはわかりません、私には(笑)。それをわかっているくせに意見を求めてくるスタッフもいて、しぶしぶ「こっちがいいと思う」なんていうと、「社長は、見る目がないですね」と違う方が採用される。ちょっとしたいじめですよね(笑)。

デザイナーのマネジメントは、 クリエイターのプロイズムを知った経験則で。

イマンの人気の秘密はどんなところにあると分析されていますか?

まず、アンティーク調であり、南仏プロバンスを原点に持つこと。その点にこだわる方にとっては他に代替え品はありません。それに加えて、他には絶対にないホーローのクオリティ。「フキ」と呼ばれる技法(ホーローの上部や下部にふわっと色をつける方法)は、イマンが日本で初めて用いたものであり、加えてこのホーローは優に100年保つ耐久性を持っています。しかも、すべて日本製。

そうか、アンティーク調であって、アンティークではない。となれば、どこで製造するかは大きなファクターだし、現代、日本製以上に贅沢なものはありませんね。

日本の職人たちの技が、そこここに投影されて、胸を張れるクオリティが維持されています。ホーロー製品といっても、中国やタイなどで製造すれば、驚くほど安くつくれますが、まず、クオリティは比べものになりません。 たとえばイマンのホーローは、「安心・安全」。外部機関のエビデンスも取っています。 ところが、中国やタイなど海外で大量に安く作るホーローは、金属の表面に焼き付けるガラス質の釉薬(ゆやく)自体、安全かどうかわかりません。 調理器具や食器など、人の口に入るもの、肌に触れるものは、お客様が「安心」して使え、「安全」であると信じられる商品を提供することが、メーカーの責務だと考えています。

新経営者/西嶋さんとしての、新方針は?

まず、全国の取扱店巡りで出た意見を踏まえて、「フレックス」という名称の受注生産の仕組みを導入しました。定番商品は本社が在庫として持ちますが、その他の商品は毎月20~30発表する新商品にお客様からの発注があった分だけ生産する方式です。

なるほど、在庫負担を軽減する斬新な手法ですね。

在庫負担や固定費負担は雑貨店の経営にとって、きわめて重要なファクターなのです。加えて、私の取扱店巡りのリサーチの結果、雑貨が大好きなお客様は、「次に来店したときに、新しい何かが増えていないとがっかりする」という心理をお持ちだとわかった。 そんなファン心理に、在庫リスクなしでお応えできる仕組みをと考えた結果、「フレックス」に行き着きました。たぶん、業界では初の試みだと思います。

その他には?

取扱店は、当面500店舗にまで拡大したいと考えています。就任当初184店であったものを、最初の10ヵ月で約250店にまで増やしましたが、短期目標としての500店に達するまではそのピッチを上げていきたいですね。 雑貨にとどまらず、雑貨から派生したサービス業への進出も考えています。カフェやアクセサリー、コスメチックなどとのコラボレーションや、家に置ききれなくなった雑貨を保管するサービスなども構想しているところです。

イマンの武器のひとつでもある、デザインについては?

長年このブランドを支えたデザイナーに、全幅の信頼を置いています。彼女をはじめ、女性のスタッフたちは本当に有能だし、仕事への取り組みも真面目。前職の時代から、女性には任せると良い仕事をし遂げる人材が多いとの感想を持っていましたが、この会社に来てからもその感想に変わりはありません。

西嶋さんは、「自分の感性に自信がない」とおっしゃりながら、ものづくりに取り組む人たちの気持ちは、とてもよくわかっているのですね。

前職で、広告・宣伝を担当していたせいで、広告クリエイターたちのプロイズムはよくわかっているつもりですから。 無責任に「好き、嫌い」で修正を押しつけたりすれば、せっかくのクリエイティブは台無しです。いかにクライアントとはいえ、そんなことをする権利はないというのがその立場で私が学んだことでした。ですから、ある時期から、私から上層部には、「コンセプトを決めるまで意見は言ってもいい。しかし、それ以降は一切口だしせず、プロに任せるべき」と宣言していました。 その経験則が、この仕事にも生かせているとは思っています。

近い将来、フランスに逆上陸したい。 ジャパンクオリティのアンティーク調製品への、 反応が楽しみです。

イマン image 2

好みのシリーズで雑貨を揃えられるのも女性には魅力的

将来的な、展望をお聞かせください。

もっとも大きな野望は、海外進出です。 まず、アジアに関しては、すでに台湾には卸店舗が2店。ここは売り上げも順調ですし、しばらく体制に変更はありません。韓国は、国内事情を分析した結果、特定の1社に独占販売権を持ってもらうことを検討しています。 で、問題は中国なのですが……商圏としては、独特のさまざまな厳しさがあります。ストレートに商品を卸すと、翌日にはコピーが出回っているだろうというのももちろん大きい(笑)。直営店を出しても、外貨の持ち出し規制がある。ということで、現状は手探り状態ですが、オンラインショップを通して、いわゆる富裕層のみを対象に、直販を展開する予定です。

アジア以外は?

そこにこそ、もっとも大きな野望があります。いつか、フランスに進出したいですね。イマンブランドは、創業者がプロバンスで出会ったアンティークに触発されて生まれたもの。それを、今度はジャパンクオリティをもって彼の地に上陸させることに、とても大きなロマンを感じます。フランスの購買者の評価、バイヤーの評価を早く受けてみたいと思っています。

なるほど、そういうチャレンジングな構想にこそ、西嶋さんがこの分野に転身した本当の動機がありそうですね。

言葉が適切かどうかわかりませんが、持論として、私は「文化は、不便なもの」、「文明は人類を滅ぼすが、文化は人を育てる」と考えています。 私などは、フランスに行ってホテルに滞在しても、正直、感じるのは不便だけですよ(笑)。でも、日本の消費者は、フランスの、そういう不便さと対になった文化に憧れる。その気持ちは、私にもわかります。 ピンクのかわいらしい花柄のホーローなんて、実はフランスでは見かけません。これはもう、ジャパンオリジナルです。ですから、これは、日本が誇れる文化のひとつとして、ぜひ世界に紹介したい。海外のものに憧れて、輸入するばかりだった文化の流れに、ひとつエポックをつくってみたいと思っているのです。

取材日:2008年12月

株式会社イマン

  • 代表取締役:西嶋修
  • 業務内容:
    • インテリア雑貨の企画、製造、販売
    • インテリア雑貨の輸出入業
    • 服飾の企画、製造、販売
  • 設立:1990年1月4日
  • 資本金:1,000万円
  • 所在地:〒104-0032 東京都中央区八丁堀2丁目8番5号 第二長岡ビル7階
  • TEL:03-5540-8990
  • FAX:03-5540-8991
  • URL:http://www.imane.co.jp/
  • 問い合わせメール:上記HP「問い合わせ」ボタンより
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