「好き」をパワーに、たくさんのことを学んだ 「仕事っていいですよ」と喜びを伝えたい

東京
株式会社センティアン 代表取締役社長 浅沼紀杜氏
株式会社センティアン 代表取締役社長 浅沼紀杜氏

今回ご紹介する株式会社センティアンは、映像制作の「クレスコモーションデザイン」をはじめ、日本伝統工芸品のECサイト「JapanStore.jp」、ファニチャー関連「Handmade Furniture」、アロマ関連「Inner Beauty Life」を手掛けています。さらに映像プロデュース・代理店業務に特化した「クレスコ・ディーシーエー」(クレスコデジタルコンテンツエージェンシー)を4月1日からスタート。ホールディング・カンパニーとしての展開を着実に進めています。代表取締役社長の浅沼紀杜氏に、設立のきっかけ、仕事の喜び、今後の展望など、さまざまなお話をお聞きしました。

代理店時代、コンピューターでの映像制作に可能性を感じた原体験が、今につながっている

「センティアン」を設立されたきっかけをお教えください。

設立は1997年で、広告の企画・制作会社からスタートしました。当時は媒体も扱っていまして、雑誌が多かったですね。僕自身のキャリアの出発は広告代理店の営業からで、そこから独立しました。2003年に映像制作部門の「クレスコモーションデザイン」を立ち上げました。

映像制作を手掛けたのは、どのようなきっかけですか?

代理店時代、イベントで映像を使うことが増えてきましたがCM等と比べ予算が低く、外注するにも大変でした。そんな頃、隣の席の先輩が「アップルから映像編集できるコンピューターが出るぞ」と言っていたので、「これは買わなくては」と自腹でローンを組みました。いざとなると上手く活用できませんでしたが、どうにか映像を身近に作れないか」と思った原体験があります。 いくつかイベントを手掛けましたが、毎回映像の予算が大変でした。ある時キャスティング会社の知り合いが持っていた企画書があまりに面白く「このクリエーターさんに会いたい」と紹介してもらいました。見積をお願いしたところ、すごく理想的な金額でしたが「1桁間違えているのでは?」とも思いました(笑)。不安でしたので制作現場を見せてもらったところ、オフィスの一角で2人の専門学生とコンピューターを置いて制作していました。「映像を身近に作れないか」を実現していたのです。その後、2人の学生は弊社のスタッフになりました。

ご自分でコンピューターを買わなければ、映像制作に携わっていなかったかもしれませんね。

代理店の営業を続けていたかもしれませんし、マーケティング方面に進んでいたかもしれませんね。ですが、僕はデジタルでの制作が好きで、身近なコンピューターは僕らの仕事のパートナーだと思います。Macの「コンピューターで人間の可能性を広げる」というメッセージに共感して、映像制作の世界で品質の高いものを作ることに価値があると思い、取り組み続け今に至っています。

「センティアン」と「クレスコモーションデザイン」の役割の違いについてお教えください。

「クレスコモーションデザイン」は、主にゲーム関連の映像を制作しています。元々の素材をベースに企画・制作するポスプロ(編集)に強い会社で、年間200本くらい手掛けています。 ここ数年、動画マーケティングをしたいお客様が増えていまして、企業のPRや商品広告の映像等、撮影のものが多くなっています。そこでプロデュース・代理店業務に特化した「クレスコ・ディーシーエー」を立ち上げ、プリプロ(準備)・シューティング(撮影)に強い会社を4月1日から始動させました。 「センティアン」は「クレスコモーションデザイン」「クレスコ・ディーシーエー」を支える会社として、企業目的、経営システム、人事労務などを担っています。業績向上やキャリアアップのためのプログラムをそれぞれの会社に提供し、スタッフがキャリアアップを図れるよう取り組んでいます。

「好き」をパワーにホールディング・カンパニーの道へ。 願えば望みが通じることを実感

日本の伝統工芸品関連の「JapanStore.jp」、ファニチャー関連「Handmade Furniture」、アロマ関連「Inner Beauty Life」等、映像以外の分野も手掛けていますが、どのようなきっかけからですか?

ゼロからスタートしまして事業を始めて18年間、借り入れゼロの実績により、お金を借りずに事業を続られるノウハウがあると思いました。だから「資金がないから事業を始められない。」という声を聞くと「絶対始められるよ。」と思います。基本は入りより出を増やさないことです。このアドバイスを聞いて上手くいった人もいて、「このノウハウに当てはまる仕事が結構あるぞ。」と気付きました。 個人の起業ですと、本人が疲れてくるとせっかくのいいものがシェアされないままフェードアウトしまうケースがあります。「これはもったいない。きちんと受け継がれれば小規模の立派な会社になるのに。」と思い、経営の部分で小さな会社の支援を行って、応援していきたいと思いました。自分が取り組んでよかったノウハウを教えることが社会的な使命感になっています。僕はたくさんのことを仕事から学ばせてもらったので、これは本当に伝えたいですね。「仕事って、いいですよ」と本当に思っています。

ホームページの企業理念では、「好き」という気持ちを大切にされていることが印象的です。 そのことについてお話ください。

「好き」以上のパワーはないですよね。好きなこと・やりたいことを持っている人たちが社会に出て上手く適合できれば、一直線にゴールへ向かえます。一番分かりやすいのがスポーツ選手です。トップの選手は小さい頃から今の姿を思い浮かべて努力してきた人たちです。「好き」を早く見つけた人は、長く続きますし成果も高まります。なので、まずは自分の「好き」に焦点を当てることが一番だと思っています。

「センティアン」設立以前の代理店時代もそうでしたか?

そうですね。好きなことしか取り組んでいませんでしたので、会社としては扱いにくかったと思います(一同笑)。 友達を作るようにお客様を開拓していましたし、会社の戦略計画の範囲外で動いていました。そうしているうちに、「自分で会社をやっているのと同じだ。独立できるのでは?」と錯覚しました(笑)。いざやってみると大変なこともいろいろありましたが、「好き」を基準に心のコンパスを合わせているので、結果的にはよかったと思います。好きなことに対して偽りなく心から動ける人は、すごくいいことに出会えると思っています。

社名の由来についてお聞かせください。 まずは「センティアン」からお願いします。

設立当初は「マックスアミリオン」という社名で、儲けたい直球の意味合いでした。2000〜2001年頃に「センティアン」へ社名変更をし、いずれはホールディングス化をしたいというイメージがありました。「センティ」は「センター=中心」、「中心の人」という意味があります。ホールディングス化を視野に入れ、いろいろな会社を支えるイメージで名付けました。それから15年、ようやく入口に立て、今が喜びの時です。「願えば望みが通じるのだなあ」と感じています。

続いて「クレスコモーションデザイン」「クレスコ・ディーシーエー」 の由来についてお聞かせください。

「クレスコ」は、スタッフに名前を付けてもらいたくて「好きな名前を考えていいよ」と呼びかけたところ100案くらい集まりました。「クレスコ」はラテン語で「成長」の意味です。「クレスコ」の下に事業が分かる言葉をプラスし「クレスコモーションデザイン」「クレスコ・ディーシーエー」になりました。

centeanロゴマーク

「センティアン」の「センティ」は「センター=中心」、
「中心の人」という意味で浅沼氏が名付けた社名。

crescoロゴマーク

「クレスコ」の名付け親はスタッフ。約100案集まった中から
選ばれた、ラテン語で「成長」を意味する社名。

理想は会社のノウハウや理念が受け継がれること。 若い人たちが活躍するために支援したい

設立して苦労したことをお教えください。

苦労したことは、スタッフへの評価ですね。人数が増えると、他の人と比べて自分の評価がどのくらいなのか、不安に思う人が多くなります。そこで基準が必要になります。情報はオープンにしましたが、仕組みを作ることが大変でした。今は人事制度を作って運用していますのでスムーズですが、当初は人事労務に苦労しましたね。

逆に良かったことはどのようなことですか?

「人生が何百万倍も豊かになった。」と本当に思いますね。「一人でも多くの人にこの感動を伝えたい!」という気持ちです 経営は人と人生を共にするので、社員とは全員結婚しているような気分です(笑)。責任があって大変ですが、やりがい・喜びがあります。豊かさの源泉だと思います。それを学ばせてくれたのが仕事です。これ以上の先生はいませんね。だから提供したいのです。

今後の展望、抱負などをお教えください。

まず「映像制作のインフラとして必要な場所」=(イコール)「スタジオ」=(イコール)「ライブオフィス(YouTube Spaceのような場)」を設けることですね。クリエイターが集まって学んだり、協業する場所を提供すべきだと思っています。 そして、売上や社員数もアップしていきたいと考えています。僕は大きな組織に在籍していたことがありませんので想像できませんし、ひとつの会社の大規模化を目指していません。小さな組織のままグループで束ねて、経営効率を上げるスタイルを取っていきたいと考えています。 僕は自分の名前を残すのでなく、裏方に回り、会社のノウハウや理念が受け継がれていくことが理想です。若い人たちが活躍するために協力できることがあれば支援して、バトンを渡したいですね。

先ほど話されたホールディングス化ですね。

たとえば会議のスタイル、招集のメール、運営のフォーマット、議事録の書き方などをセットにして提供すれば、小さな会社でも決裁型の会議ができ、少人数の会議でもしっかりと結論を出せます。そうすると連帯感が出てきます。そういったノウハウを「センティアン」で作っていきます。

その他の展開はお考えですか?

絶対取り組まなくてはいけないのが海外進出です。日本の市場はどんどん縮小しています。グローバルな企業が利益を上げていく中、日本の市場だけでは生き残れないと思います。絶対、海外へ進出すべきだと思いますね。 現在、いくつかの候補がありまして、マレーシアとベトナムへの計画を4年ほど前から進めています。平均年齢が低く、これから若い人たちが大勢活躍しますので、弊社の映像制作の技術もスムーズに伝えることができますし、逆に海外の仕事を日本で手掛けることも考えています。若い頃、オーストラリアに長期滞在をしていたので、海外での仕事に全く抵抗はありません。むしろ大歓迎です。

数年後の海外進出が楽しみですね。 最後の質問ですが、一緒に働く人に対して、会社としてどのようなことを求めますか?

「謙虚」「シンプル」「実力優先」の3つです。「シンプル」は、ややこしく考えないことですね。遠回りな表現で真意を隠すのでなく、自分の本質を伝えなくては意味がありません。「実力優先」は、過去の功績でずっと続けられると思って欲しくないということです。長く利益を上げるためには、功績をノウハウとしてシェアすることが、組織を作る上で重要なことだと思います。 中でも一番大切なことは「謙虚」であることですね。「謙虚 =(イコール)縮こまる」という意味ではありません。高い目的意識を持って、常に自分を鑑みて前向きに生きていると「自分なんて」と感じる時が自然とあります。上を目指す視点を大切にしながら、自信を持って欲しいですね。ただ満足しているだけの人はそこで終わります。「自分はまだまだ。」と思っていても、謙虚で意欲のある人は大人が引き上げてくれますから。

取材日:2015年3月31日

・企業名: 株式会社センティアン

  • 代表取締役社長: 浅沼 紀杜(あさぬま のりと)
  • 設立年月: 1997年4月1日
  • 資本金: 8000万円
  • 事業内容: ブランドスタートアップ/ECサイト企画運営/映像制作
  • 所在地: 東京都渋谷区恵比寿4-17-3 カゲオカビルディング8F
  • URL: http://www.centean.co.jp
  • お問い合わせ先: 上記HPの「contact」より

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