WEB・モバイル2011.01.26

ソフトウェアは使いこなされて 費用対効果をあげられなければ意味がない

東京
スターティアラボ株式会社 代表取締役 北村健一氏
 
企業活動にとってなくてはならないものになりつつある、Web。しかしながらその導入、活用に関しては確固たる王道はなく、導入に失敗する事例もまだ多い。まとまった投資に踏み切りながら、それに見合う成果を見せないことに数多を抱える経営者も多いという。 そんな状況に活をいれるかのごとく、2009年、「Webolution」を合い言葉に参入したのがスターティアラボ株式会社。顧客に、費用対効果のあがるサービスを提供することが使命と自認する同社の活動方針を代表取締役/北村健一さんにうかがった。

今や必要不可欠なツールとなったWebを最大限に有効活用するためのソリューション提案

貴社の掲げる「Webolution」について教えてください。

「Webolution」という言葉は、Web Solution(Webによる問題解決)、Web Revolution(Webによる改革)、Web Evolution(Webによる進化)から、つくり出した造語です。私たちの取り組みすべてを表しています。 Webは、今や企業にとってはファッションでもトレンドでもなく、使いこなすべきツールのひとつです。とはいえ、日々進化するWebテクノロジーやWebを取り巻く環境にキャッチアップし、Webを有効活用していくためには、かなりの知識が必要となる。 そこで、私たちは、多くの企業が抱えるWebにまつわる多様な悩みを解消し、かつ費用対効果の高いサービスを提供することをめざして活動をしています。

電子ブック作成サービス「ActiBook」は、Webolutionの取り組みの結果、生まれたもののひとつなのですね。

「ActiBook」は2006年10月にリリースした電子ブック作成ソフトウェアで、現在、当社の主力商品といえる位置づけを持っています。月額9800円からのお手軽プランから利用料150万円からの本格プランまで、ユーザー様のニーズに合わせて利用形態を選べるサービスを用意しています。 基本コンセプトは、「ユーザー(お客様)が直感で操作できる専用プラグインなしのビュアー」と「難しい知識をまったく必要としないオーサリング」の2点。 ひとつの元データから、PC、iPhone、iPad、Androidなど、それぞれに最適な形式のデータを同時につくれます。電子書籍に関する特別なスキルを持った人材を確保しなくてもソフトウェアを導入できる点などで、多くのお客様よりご好評をいただいています。 現在、ActiBook導入企業は790社以上。電子書籍制作のソフトウェアが各社から発売されている中、当社のサービスを選んでくださるお客様がこれほどにまで増えたのは、うれしい限りです。 電子書籍への理解が急激に高まり、これほどのブームになるとは――正直なところ想像もしていませんでしたね(笑)

電子書籍ブームの到来。想定を超えて活躍の場が広がった

リリース当初は、「ActiBook」はどういった場面で使用されることを想定していたのでしょうか。

すでにつくられた紙媒体用のデータを、さらに有効利用するツールとして考えていました。 たとえば、通信販売カタログ。数百ページにわたる情報を、Webコンテンツ用データに加工するとなれば、莫大な時間、コストがかかってしまいます。ところが、「ActiBook」を使えば、ものの数十分でインターネット上に流すことが可能になる――つまり、DTPデザインありきで、「ActiBook」を用いたソリューションをお客様に提案していたわけです。

ところが、思いのほか早くに電子書籍ブームがやってきて、「ActiBook」の利用できるシーンが急に増えた。早い時期に電子書籍に目をつけ、取り組まれていたことが奏功したようですね。

電子書籍は、この大ブームが起こる前に、何度かブームの兆しが起こっては消え去っていったという経緯があります。 ちょうど今のブームが起こる前の2005年ごろ、オフィスのトータルプロデュースを担うスターティア株式会社の一部門であった私たちは、開発ベンチャー会社との提携のもと電子ブック作成ソフトウェア販売を手がけました。その後、開発会社がこの分野から撤退することを決め、ちょっとしたピンチを迎えましたが、思い切って自社開発に切り替えました。 お客様からのニーズと期待への感触を信じた判断が、結果的に正しかったようです。

そして2009年4月、軌道に乗った電子書籍関連の部門がスターティア株式会社から独立し、スターティアラボ株式会社の設立にいたりました。

設立のきっかけは電子書籍ではありましたが、私たちの活動のコンセプトはあくまでも「Webolution」です。それは決してぶれない軸なのですが、電子書籍ブームを支える一企業となった当社には、1、2年前とは比べものにならないくらい、問い合わせや引き合いが増え、電子書籍のブームの先端にいるのだと日々実感させられています。

現在、お客様は790社にものぼります。どのような業種のお客様が多いのでしょうか。

出版業界を中心に開拓をはじめ、今では国内の出版社約3,000社のうち、約300社がActiBookを使用してくださっています。 今、増えているお客様は、印刷会社さんですね。「紙媒体だけでなく、ユーザー側の閲覧の選択肢を増やすのに、電子書籍を導入してみては?」とクライアントに提供するためにご購入いただくケースが増えています。

ソフトウェアは使いこなされて費用対効果をあげられなければ意味がない

現在も順調にユーザーが増えているそうですが、その秘密は何でしょうか。

まだ正式発表はしておりませんが、確かに増えています。2010年7月にに、月額9800円からのお手軽プランであるSaaS版をリリースしたことが起爆剤になったようです。ActiBookの基本コンセプトはそのままに、安価な料金、さらなる使いやすさを実現しました。

ユーザーが増えると、サポートがたいへんではありませんか。

そうですね。とはいえ、ソフトウェアは、きちんと使っていただいて、費用対効果をあげられなくては意味がありませんので、サポートを万全とするのは当然のことです。 サポートの一環として採取しているデータからは、全体の約92パーセントのお客様にご満足していただけているという結果が出ています。そこで、私たちは、残りの約8パーセントのお客様にもご満足いただくために工夫に大きな力を注いでいます。 具体的に、ご満足いただけていないお客様の半数は導入時につまづかれているようだとわかりましたので、マニュアルを改善することで、満足度がかなり向上しました。また、残り半数のお客様に対しては、要望がさまざまでしたので、直接訪問して応じています。

1割にも満たない、満足をされていないお客様に対して、そこまでの対応をされることに驚きを感じます。

ソフトの価格分をペイできていれば十分と考えるお客様もいらっしゃれば、ソフトの価格の10倍程度の利益を期待されるお客様もいらっしゃる――満足のレベルも、かたちもお客様によってさまざまです。 繰り返しになりますが、お客様にきちんと使われ、想定する費用対効果をあげられるソフトウェアこそが、真に価値があるものですから、お客様の満足のために、私たちは今後も工夫と努力を重ねていきます。

貴社の今後の見通しを教えてください。

ActiBookが今、当社の主力商品ではありますが、電子書籍関連に特化せず、あくまでも「Webolution」をつづけていきます。その中でも、長期的に取り組んでいくべきだと、今、私たちが考えているのが「情報の利益化」です。 情報化、デジタル化という言葉が登場して久しい昨今ですが、まだまだ紙媒体であるがゆえに十分に活用されていないデータがたくさんあります。また、データ化されているにもかかわらず有用性の低いものも散見される。私たちは、それらを整理し、検索性を高め、さまざまなデバイスで閲覧できたり、必要な情報を簡単に加工したりして、情報を活用しやすくするといった「情報の利益化」の支援をしていきたいと考えます。 お客様に最適なソリューションをどんどん提案する、頼れるビジネスパートナーになっていきたいですね。

(取材日:2011年1月)

スターティアラボ株式会社

  • 代表取締役:北村健一
  • 事業内容:
    • Webサイトの企画・制作・コンサルティング・運営・保守
    • Webアプリケーションの企画・開発・販売・保守
  • 設立:2009年4月1日
  • 資本金:30,000,000円
  • 所在地:〒163-0919 東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリス19階
  • TEL:03-5339-2105
  • FAX:03-5339-2110
  • URL:http://www.startialab.co.jp/
  • 問い合わせメール:上記HP「問い合わせ」ボタンより
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