ママも子どもも笑顔の食卓に!食の大地北海道で、子どもと食に悩むママにより添うフリーペーパーを。

札幌
株式会社モグマグ 代表取締役 高橋さやか 氏
子育て中のママが気軽に手に取れる、食育を題材にしたフリーペーパー「mogmag(モグマグ)」。旬の食材を使った専門家監修の離乳食への取分けができるレシピをはじめ、食材の豆知識、食のお悩みなど、子育てママに寄り添った内容です。家族みんなの笑顔を育もうと奮闘する高橋さやかさんに、クラウドファンディングを活用したフリーペーパー発行までの経緯と、発行部数の拡大に伴う読者や家族の反応、さらには、webマガジンへの取り組みや、今後の展望などについてお話を伺いました。

子育てママの食事の悩みに取り組む

「mogmag」立ち上げ以前は、どのようなお仕事をされていたのですか?

大学卒業後は東京で数年働き、その後、札幌に戻ってきました。印刷会社でDTPのオペレーターとしてデザインの基礎を学び、その後、広告代理店で数年間、映画の宣伝業務を担当しました。28歳で結婚して退職してからは、実父とススキノでカフェバー「oyaco」を運営して接客や調理を行いながら、フリーランスでデザイナーとしても活動をしていました。

「mogmag」創刊までの経緯を教えてください。

私は33歳で第一子を出産したのですが、自分が子どもを産んでみて、気付いたことがたくさんありました。特に初めての離乳食にはいろいろと惑って……。例えば、この食材はいつからあげていいか、どういった離乳食がいいのか、成長とともに食事の量や回数をどう変えていくかなど、気が付くと朝から晩まで、ご飯のことばかり考えていたんです。もともと料理は好きだったのですが、食べたもので体がつくられると思うと、いつも「これでいいのかな?」と漠然とした不安を抱えていました。周りの人たちはちゃんとやっているのに、自分だけ上手く出来ていないのかな?と思っていたんです。

子どもの食事については、多くのママが悩むことですよね。

そうですね。でも1人でいるとそれが分からなくて……。子どもが8カ月になった頃、子育てサロンやベビースイミングに通うようになり、そこでほかのママたちと離乳食など食事について話すことが多くなったんです。そこで、「あぁ、みんな自分と同じように悩んでいるんだ」と気付きました。子育て世代は食育に関心が高く、日常的に栄養バランスのとれた食生活を送りたいと思っています。でも、何をどうしたらいいか、誰に聞いたらいいか分からない。だったら、専門家が監修したレシピを中心とした情報誌があれば、ママたちも喜ぶのではないかと考えたのです。

クラウドファンディングを利用してフリーペーパーを創刊

「mogmag」創刊号

創刊に際し、フリーペーパーという形を選択したのは何故ですか?

最初は書籍にすることも考えました。でも、ママにとっては、子どもを連れて書店に行くのも結構ハードルが高い行動なんです。荷物も多いですし、子どもが泣いたりぐずったりしますので、ゆっくり本を選ぶというのはなかなか難しいんです。ですから、フリーペーパーなら、もっとママたちが身近な場所で、必要な情報を簡単に手に入れられるんじゃないかなと考えたんです。

創刊資金にはクラウドファンディングを利用されたんですよね?

そうなんです。フリーペーパーとなると、広告収入が必要になりますが、実績のない人に出稿しようという企業はなかなかないですし、私自身、営業の経験もありません。どうしようかと考えていた時に、クラウドファンディングという方法を知りました。この方法なら共感して支援してくれた方たちにお返しもできますし、まずはやってみようと思って、取り組んでみることにしました。

クラウドファンディングを利用した結果はいかがでしたか?

2015年2月に、30日間の期間を設けて支援金を募りました。ありがたいことに、期間中に北海道新聞や経済新聞に取り上げていただいたこともあって、多くの方から注目され、ママたちからも支援をいただくことができました。結果的に、目標の28万円を上回る33万円の支援金を集めることができ、それをもとに、2015年4月にフリーペーパー「mogmag」を創刊することができたんです。創刊号は20ページオールカラーで1,000部を印刷しました。因みに名前の由来は、モグモグのmogとマガジンのmagから取りました。

本誌はどういった内容で構成されていますか?

ターゲットは、0〜3歳児を持つママとパパ、おじいちゃん、おばあちゃんです。荷物の多いママのために、バッグの中でも邪魔にならないようA5判にしました。内容は、特集ページのほかに、レシピや旬の食材の紹介、お悩み相談などです。創刊時は春先だったこともあり、震災を特集テーマにし、いざという時のために子どもの物資も備えておこうと提案しました。また、レシピは、管理栄養士であり大学の講師でもある実母に依頼し、調理の過程で、赤ちゃん用にちょっと取り分けて離乳食にするアイデアを加えることで、ママの負担を軽減するとともに、家族みんなで同じものを食べようというメッセージを込めました。

食育をテーマにしたコンセプトが全国で評価され、創刊1年目で受賞!

1号目はクラウドファンディングで資金調達ができましたが、2号目以降の広告収入はどうされましたか?

1号目が好評だったことから、JAグループ北海道様がスポンサーとしてサポートしてくれることになったんです。そのおかげで、年4回の季刊発行が実現することとなりました。しかも、2号目から発行部数が1万部になり、さらに2016年7月発行の6号目からは2万部と、スポンサー様の協力で順調に部数を増やすことができました。設置場所も札幌市内を中心に、子育て支援センターや保育園、小児科や産婦人科など道内約600カ所へと広がりました。

増部したことに伴い、制作スタッフも増えたのでしょうか。

アシスタントのスタッフが1名加わり、ライティングのサポートをしてくれていますが、メインの部分は私が担っています。毎号、企画を考え、取材・ライティング・デザイン・編集までを行っています。自分が知りたいこと・子育てで困ったことをノートに書きとめているので、そこからアイデアを練ったり、周りのママたちや読者の皆さんからの疑問•質問に応えたりして特集を組んでいます。

そうした活動が評価され、受賞に至ったんですね。

ありがとうございます。食育を軸としたぶれないコンセプトが評価され、「日本タウン誌・フリーペーパー大賞2015 新創刊部門」において、最優秀賞を受賞しました。「mogmag」を作ろうと思い立って形にしてから、とても短い期間で評価を受けたことで、私自身とても驚きました。思いがけないご褒美を受けた気分で、すごく嬉しかったです。

読者や家族の反応はいかがですか?

「mogmag」は、娘がいたおかげで誕生しました。ですから、折に触れてそのことを娘にはきちんと伝えています。とても喜んでくれて、「mogmag大好き!」と言って応援してくれています。読者の皆さんからは、「知りたかったことが取り上げられている」「分かりやすくていい」といった声をいただいていますし、近ごろは子育てに積極的なパパも増えていて、パパから「参考にしています」といった声も聞かれるようになりました。そうした反応をいただくことで、私自身も励まされていますし、やる気にも繋がります。もっと多くの方に「mogmag」を利用していただき、それによって家族の食の時間が楽しくなってくれると嬉しいですね。

ゆくゆくは発行エリアを拡大し、多くの人に読んでもらいたい

意外にも、会社を立ち上げたのは最近なんですね。

そうなんです。創刊からしばらくはフリーランスとして発行を続けていましたが、法人化することでお付き合いの幅が広がればという思いと、クライアントや取材先からの信頼度を高めるため、2017年3月に「株式会社モグマグ」を設立しました。

さらに「mogmag」のwebマガジンも始まりましたね。

はい。取材に伺って生産者さんたちのお話を聞いても、紙面のスペースには限りがあります。せっかくのいい話を、なんとか多くの方たちに紹介したいということと、「mogmag」が手に入らない方にも知ってほしいと思い、webマガジンを始めました。夫がインターネット関係の仕事に携っているので、webに関しては相談しながらすすめています。母もそうですが、私の周りには専門家が多いので、そういった面でも家族に支えられていると思いますね。

本誌からwebへと拡大しましたが、今後の展開はどうお考えですか?

2015年からスタートし、早くも3年目に突入しました。ありがたいことに、発行エリア拡大を希望される声もいただいておりまして、ゆくゆくはそうした声にも応えていきたいと思っています。まだ構想段階ではありますが、実際にエリア拡大に向けて動いていく中で、人を増やすことも考えていきたいですね。

また、イベントや講座など、読者の方たちと直接関わりを持てる場づくりも盛り込んでいき、地域に根差した取り組みをしていきたいです。

食料自給率200%を超える北海道にいるからこそ、未来を担う子どもたちの体をつくる「食」の大切さを、さまざまなかたちで発信していきたいと思っています。

その際は、どういった人材を求めますか?

自ら考えて行動できる人です。アシスタントをしてくれているライターさんは、自ら志願して連絡をくださった人です。彼女は積極的に何にでも取り組んでくれますし、新しい提案もしてくれるので、安心して任せられて、とても助かっています。本誌に関しても、少しずつ業務をお願いしています。今後も少しでも多くの悩めるママたちの力になれるよう、周りで支えてくれる人たちとともに、より良いものを提案していきたいと思っています。

取材日:2017年8月1日 ライター:八幡智子

株式会社モグマグ

  • 代表者名(よみがな):代表取締役 高橋さやか(たかはし さやか)
  • 設立年月:2017年3月
  • 資本金:10万円
  • 事業内容:フリーペーパーの発行、Webメディアの運営、インターネットマーケティング、デザイン、執筆・講師など
  • 所在地:札幌市中央区南18条西14丁目
  • URL:http://mog-mag.com/
  • お問い合わせ先:上記HPの「お問合せ」より
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