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文化やライフスタイルをデザインする 戦略的なブランディング&プロモーション

札幌
有限会社アリカデザイン 代表取締役  小林仁志 氏
雄大な自然をはじめ、そこで育まれた食や文化など、とても魅力的な北海道。今回訪問した有限会社アリカデザインは、そんな北海道の商品や企業をメインにブランディングやプロモーション事業を行っているデザインプロダクションです。近年、札幌で一大ブームになっている『札幌シメパフェ』の仕掛け人でもある代表取締役・アートディレクターの小林 仁志(こばやし ひとし)氏にお話を伺いました。

独学でデザイン業界に飛び込みフリーランスに

デザイン業界に関わるようになった経緯を教えてください。

私は東京出⾝ですが、⺟が札幌出⾝ということもあり、何度も来ているうちに東京よりも札幌の方が住みやすく働きやすいと思いました。 札幌で飲⾷店のアルバイトをしていた時に作ったメニューやPOPを褒められたのをきっかけに独学でデザインを学び、デザインプロダクションへ就職しました。 今思うと、知識も技術も実績も何もない⼈間をよく雇ってくれたなと思います。

学校などでデザインを学んだわけではないのですね

もともと絵が好きで得意というのはありましたが、デザインやデザイン系ソフトを学校などで本格的に学んだことはありません。会社員として勤めはじめてから、先輩や上司にいろいろなアドバイスをもらったり、時には注意されたことなどもありました。中には「それはおかしいんじゃないか」「こうした方がもっとよくなるのに」と思うこともあり、それなら⾃分でやってみようと思い、28歳の時に独⽴しました。
キャリアも全くない状態で独立してしまったので、フリーランスと言えば聞こえはいいですがほぼフリーターに近い状態でしたね。知り合いの事務所の一角に間借りをして、パソコン1台からのスタートでした。

現在はデザイン制作以外にも仕事の幅が広がっているようですが、どのようなことをされているのですか。

事業内容は大きく分けると4つあります。メインは広告デザイン部門で最近だと北海道新幹線開業キャンペーン、文化庁メディア芸術祭、シゴトガイドTVCMなども手がけました。商品開発やプロモーションなど企画の段階から関わることが多く、地域のブランドづくりのお⼿伝いなども積極的に⾏っています。
2つ目は飲食部門で、札幌市内に飲食店を3店舗運営しています。
それからあまり案件は多くはないですが、アーティストやタレントのキャスティングを⾏う興⾏部門と、札幌パフェ推進委員会の事務局をしています。

札幌の新しい食文化『札幌シメパフェ』の仕掛け人

小林さんは2015年から札幌でブームになっている『札幌シメパフェ』の仕掛け人なのですよね。

『札幌シメパフェ』は、飲食店のプロデュースをお手伝いしたことがきっかけで始まったプロジェクトでアルバイトを中⼼に運営しているのでそんなに⼿の込んだ料理は作れない、かといって美味しいものを出さなければ飲食店としてのリピートもしない。さらに、遅い時間帯の集客も増やしたい、などたくさんの課題がありました。
そんな中、生まれたメニューがパフェでしたが、1店舗だけで、ムーブメントを作るには手間も時間もかかるので札幌のパフェ全体の盛り上げてみよう!ということで始まったのが『札幌シメパフェ』です。
現在は事務局として広報活動やサイト運営をしており、当社でも「パフェ、珈琲、酒、佐藤」というパフェのお店を運営しています。

札幌シメパフェ http://sapporo-parfait.com/

「シメパフェ」という言葉を初めて聞いたときは若干困惑しましたが……。

すすきのには元々、深夜までパフェをはじめとする⽢いものが⾷べられるお店が結構あったので、なんとなく⽂化の下地はあったのだと思います。
東京の知人が札幌に来た際に、こんな夜中に⽢いものを⾷べるなんて札幌だけだよ、なんてよく言われてました(笑)。
シメパフェは、札幌の⾷⽂化に名前をつけて、みんなで盛り上げていこうという取り組みで⼀過性のブームで終わらせるのではなく、札幌のラーメンやスープカレーのように地元の⼈にも愛される「札幌の食文化」を定着させ、札幌の新しい観光資源としてパフェの魅力発信したいと思っています。

商品を流行らせるのではなく、文化をつくる

「ブームを仕掛ける」ことはやろうと思っても出来るものではないと思うのですが、具体的にはどのようなプロモーションを行ったのですか?

それがうまくいくときはうまくハマるものなんですよね。まずは地元の人に認知と愛着を持ってもらうために、北海道のメディアを中心にプレスリリースを出しました。その時は北海道でかなりたくさんのメディアに大きく取り上げていただき、道内から徐々に「札幌にはシメパフェという文化がある」ということが浸透していきました。その後、全国ネットや北海道外のローカルTVでも紹介されるようになりました。Yahoo!ニュースに載ったことも大きかったですね。東京でポップコーンやパンケーキが流行った時は、外国で流行しているものをメディアが外から持ってきましたよね。北海道のシメパフェは、それとは逆の流れです。

なるほど。では媒体へのリリース以外にはどのようなことをされたのですか?

北海道最大の食イベント『さっぽろオータムフェスト』や、北海道内百貨店の催事などにも参加をしてPRブースを出しました。『札幌シメパフェ』の訴求が目的なので、あえて店名は出さないブース作りをしていましたが、どれも大盛況でした。また、名古屋高島屋の催事では、「寿司・ラーメン・パフェ」という商品構成とし、内心「本当に大丈夫か?」と思いながらも、来ていただくお客様は商品そのものを食べることが目的ではなく、その土地の文化を体験することが目的ですので、『札幌シメパフェ』が“食文化”として認知されて広まるように仕掛けました。

パフェという商品ではなく、“食文化”のプロモーションなのですね。

パフェの材料となるソフトクリームは乳製品なので北海道の産業との親和性も高く、道産牛乳の消費拡大への取り組みという側面もあります。また、現在は札幌市が「夜景とパフェ」という新しい観光プランを打ち出し、それによる旅行代理店とのタイアップなども始まっています。 地域の産業や観光に関わってくるようになると、メディアの中でも今度は“情報”ではなく、文化や社会的背景のある“報道”として紹介されるようになります。報道の方が番組数も多く、放送時間帯も尺も長い。一般的に報道は社会的価値が高い情報として認知されますし、他のキー局の人も見ていますのでニュースソースにもなり、情報の広がり方が全然違います。当たり前のことですが、ただ情報を流すのではなくて、どういった情報を誰に流すかを考えながら行うのはとても重要なことです。

様々な課題をクリエイティブの力で解決

どんな時に仕事に対してやりがいを感じますか?

デザインを仕上げた時より、それによって商品がしっかり売れた時や反響があった時が嬉しいですね。やっぱり結果として商品が売れたということは大事です。昔はすでにある商品のチラシやパッケージを作るだけという仕事も多かったので、その時は正直その結果商品が売れたかどうかまではあまり気にしていませんでしたが、やはり、そこに戦略がなければデザインだけで物を売るのは難しいと思ったのです。商品開発や企画の段階から携わり、ライフスタイルやブランドからデザインするような仕事が中心になった現在、その分デザインにも力も入り、やりがいを感じます。

今後の展望についてお聞かせください。

実は最近、あまり自分から何かを生み出すような動きはしていなくて、課題をもらえれば解決するよというスタイルで働いています。何か達成したい目標があって、そのために解決すべき課題を見つけ、それに対する戦略を立てて実行する。プロモーションに限らず何でも同じだと思うのですが、私たちはそれをクリエイティブ寄りの視点で行っているということです。今後は、例えば飲食部門など他とはちょっと違うところも大きくしていきたいと思っていますが、ジャンルやアプローチの方法は違っても、考え方の原点は同じです。クリエイティブの発想と力で、新しい文化やライフスタイルを作っていけると楽しいと思います。

取材日: 2017年1月26日 ライター: 小山佐知子

有限会社アリカデザイン

  • 代表者名:代表取締役 小林仁志
  • 設立年月:2001年10月
  • 資 本 金:3,000,000円
  • 事業内容:TVCM、PV、番組制作、ポスター、パンフレット、WEBサイト等の各種デザイン制作及び店舗・空間プロデュース、SP企画、イベント企画運営、ブランディング構築等
  • 所 在 地:〒060-0051北海道札幌市中央区南1条東2丁目3-1NKCビル3F
  • URL:http://www.arica.jp/
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