職種その他2016.09.21

催事会場のワクワク感を媒体へ クリエイティブを駆使して新たな事業展開を

札幌
有限会社イビ 代表取締役 滑川 鎌一郎氏
選りすぐりの北海道食品を、年間1,000回を超える全国の催事で販売している有限会社イビ。力を入れ始めたカタログ制作のクリエイティブと、今後の課題・展望について、代表取締役、滑川鎌一郎(なめりかわけんいちろう)さんにお話をお聞きしました。

「北海道の素晴らしい海産物・農産物を全国に届ける」ことを 命題として

有限会社イビ

御社の事業内容を教えてください。

一言でいうと、海産物をはじめとする北海道食品の卸・製造販売です。様々な販売チャネルの中でも創業から一貫して一番大きなウエイトを占めているのが、百貨店での催事販売です。全国の百貨店での北海道物産展やその他イベントなどで、北海道の美味しい食べ物を全国の皆さんに楽しんでいただいています。その他にも折り込みのカタログ通販や、webショップ運営なども行っています。

滑川社長は、いわゆる「創業社長」ではないのですよね?

私は元々商社、水産会社、メーカーの営業を行っていた経験がありました。その後現在のイビとご縁があってイビに入社することになりました。それが2011年、その翌年の2012年に代表という役職に就かせていただきました。

そもそもはどういう商材からスタートしたのでしょうか?

前社長が、東京でタラコや明太子などを中心に北海道食品の卸・販売を行っていたのが今の会社のベースです。2004年に、独占的に販売していた「じゃが豚」という商品がテレビ番組で紹介されて大ヒットしたのをきっかけに法人化し、本社機能も東京から札幌へ移転しました。

「行列のできる法律相談所」ですよね。当時かなり話題になりましたね。

私が入社した頃は催事販売のみを淡々と行っている会社だったのですが、そういった追い風もあり、「色々新しいことをやってみようぜ!」と百貨店顧客向けのカタログ通販を始めました。これは、折り込みチラシとして百貨店のカタログと一緒に配布してもらっています。催事商品以外の商品ラインナップが大幅に増え、それに伴って仕入れ先など取引先も増やすことができました。同じように折り込みをしているメーカーさんもいくつかあるようですが、北海道の食品に特化しつつもこれだけバラエティに富んでいるところはなかなかないと、色々な百貨店さんから継続的に声をかけていただける企画になりました。

催事での商品認知をきっかけに 直売機会の拡大を目指す

北海道物産展の盛り上がりはいかがですか?

現在、催事は年間1,000回ほど行ってはいますが、売り上げも含めて年々厳しくなっているというのが現状です。若者は百貨店離れと言われ、百貨店=ステータスだった時代も変わり、百貨店の閉店も相次いでいます。昨年催事を行っていた百貨店が今年はもう無いとなると、その売り上げがすっぽり抜けてしまうわけですからね。私たちの商品を販売する場が減っている状況には強い危機感を感じています。

一方で、折り込みカタログでの通販は同じ百貨店という市場の中でも、別の角度からのアプローチになり得ていると感じています。同じ百貨店に来店される同じお客様でも、物産展と通販では求めるものが全然違いました。物産展での売れ筋はギフトやちょっと贅沢品なのに対し、通販では完全に自家需要の日配品。常温保存できる魚の切り身やドライフルーツなど、こちらでは思いもよらなかったものが人気だったりします。通販では商品の見せ方一つで売り上げが大きく左右するので、写真やコピーなどのクオリティにも力を入れるようになりました。昔は写真も自分たちで撮っていましたが、ここにしっかりリソースをかけるべきだとフェローズさんに提案されましてね(笑)。“北海道ブランド”をさらに大きく打ち出すという方向性もそうです。誰に何をどのように提案するのか。試行錯誤、スクラップアンドビルドを繰り返しながらカタログの精度を高めていくのは、催事の運営とはまた全く違う発想の仕事です。

※フェローズは、クリエイティブ専門の人材マネジメント会社であり、また、クリエイターズステーションの運営会社です。

Webショップの状況はどうでしょうか?

現在、自社ページの開設と楽天市場にも出店をしていますが、恥ずかしながら正直全く手をかけられていません。売上も増えもせず減りもせず……という状況です。利用者は百貨店の催事で商品を気に入ってくださって検索してくれた方や、昔からのお得意様などリピーターの方がほとんどです。定期的に大量購入してくださる方が多いので、本当はその方たちに対してもっときちんとアプローチをしたり、顧客データの分析をしっかり行ったりしたいと思っているのですが、サイトの作り込みも含めて人材不足も相まって手を付けられていないので、チャンスロスしていると思います。マーケティングからwebショップの運営までできる管理者を探しているところです。こちらもフェローズさんに依頼中です(笑)。

Webショップの伸びしろは大きいということですね。

催事や百貨店の折り込み通販で購入してくださったお客様は、基本的にはその百貨店の顧客なので、その後、直接ご連絡をすることはできません。しかしそこで商品を知っていただき、直接購入のお問い合わせをいただく方も少なからずいるんですね。そういった方たちをお得意様としてしっかり捕まえておくための仕組みづくりが、webも含めて今の弊社の大きな課題ですね。その取り組みの一つとして、現在展開中の折り込みカタログを自社顧客へ配れる形へバージョンアップさせることも検討中です。折り込み用はタブロイド版ですが、こちらはきっちり冊子のタイプにしたいと思っています。通販だけでなく、営業スタッフの営業ツール、コミュニケーションツールにもなるような、弊社の魅力が詰まったカタログにしたいとワクワクしながら考え中です。

クリエイティブとブランディングの強化を足掛かりに、 新たな事業展開を

今後新しく取り組もうと考えてることはありますか?

現在準備中の「北海道七福」のロゴマーク

現在準備中の「北海道七福」のロゴマーク

現在は催事でも、webショップでも、セレクトショップ的な立ち位置で商品を販売しています。Webショップの屋号「北海道一直売」、塩干商品の「いぶき」、海鮮弁当の「兆(きざし)」、ゼリーの「フリュイテ ドゥ ノルド」などブランドも複数にまたがり、整合性が取れなくなってきています。コンセプトも多様化しているので、お客様にわかりやすく、伝わりやすい売り場づくりを目指して、ブランドの統一化を考えています。

具体的にはどのようなことを考えていらっしゃいますか?

北海道の美味しいものを食べて幸せになってもらいたいという思いを込めて、「北海道七福」というブランドの立ち上げをきかく準備中です。七福神はそれぞれ7種の幸せや福を、宝船は売り場を表し、北海道の海を越えて商品や接客でお客様に幸せと喜びを運ぶ、というのがコンセプトです。キャッチコピーは「食べる門には福来る」。世界に誇る北海道の食材、商品を全国の皆さんに知っていただき、ご縁が長く続くことで我々販売者や生産者もともに発展し続けることを目指しています。今後は催事やwebでもこのブランドで統一して展開していきたいと考えています。まだ途中ですが宝船をモチーフとしたロゴも制作中ですよ。こちらもフェローズさんに提案していただいて進めています。手前味噌ですがなかなか良いものになっていると思いますよ。

実店舗を作る計画はありますか?

それもまだ構想の段階ですが考えています。一応、札幌中央市場内に「(有)イビ」のお店がこぢんまりとはあるのですが、ブランディングがしっかりできれば「北海道七福」の名前で札幌市内や首都圏に旗艦店となるようなお店を出したいです。特約店に販売をお願いしている催事は、どうしてもある程度の制約があります。販売スタッフも全員自社社員の直営店で、経営側と現場が一体になってブランドづくりをしていきたいという思いがあります。

ブランドの立ち上げは時間と手間がかかりますね。

マーケットや販売チャネルの新規開拓や新しい分野への挑戦など、新しいことを考えるのは楽しくも難しいものですが、事業を広げていくときに、クリエイティブがこんなにも有効な武器になるとは思っていませんでした。私たち催事屋業界ではやはり現場で売ってなんぼという考え方が中心ですから、そこはどうしても後回しにしがちだったのです。もっともっと勉強をしてクオリティを上げ、他社さんから一歩抜きんでていきたいですね。弱者の法則じゃないですが、私たちのような小さな企業だからできること、ニッチな分野でいいので、何か1番になれるものを見つけたいと思っています。それが何なのか、今まさに模索しているところです。お客様に喜んでもらうのはもちろん、社員や仕入れ先、取引先にも認められる……。「あそこと組めばうまく売ってくれる。何か面白いことが一緒にできる。」そんな風に思ってもらえる企業になりたいと思っています。

取材日: 2016年9月8日 ライター: 小山佐知子

 

有限会社イビ

  • 代表者名:滑川 鎌一郎
  • 設立年月:2000年6月
  • 事業内容:北海道食材の卸・製造販売業、惣菜、海産物の加工製造
  • 所在地:北海道札幌市西区二十四軒1条1丁目3-1
  • URL:http://www.hokkaidou-bussann.co.jp/
  • お問い合わせ先:上記HP「お問い合わせ」より
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