ハックフォープレイ株式会社

代表取締役 寺本大輝氏
ハックフォープレイ株式会社

ハックフォープレイ株式会社は、子どもたちにプログラミングの楽しさを感じてもらうことを目的に設立されたベンチャー企業。プログラミング教材の開発や子どもたちを対象とするセミナー・ワークショップの企画、運営を行っています。寺本大輝(てらもと だいき)さんは高専生時代に、ベンチャービジネスプランコンテストで獲得した賞金を基に起業しました。創業から2年、この間もさまざまなコンテストで入賞を重ね、事業を展開する寺本さんに創業の苦労と将来への思いについてお話をうかがいました。

起業支援コンテストで入賞
プログラミング学習ゲーム開発企業を立ち上げる

起業の経緯を教えてください。

石川高専(石川工業高等専門学校)5年生だった2014年、子どもたちが楽しみながらプログラミングを学べるゲーム『ハックフォープレイ』を制作しました。ゲームを基に、金沢市が実施している起業支援コンテスト「CVCKビジネスプランアワード2014」に応募したところ、優秀賞に選ばれ、その時獲得した賞金50万円を基に起業しました。

コンテストで入賞した時は、まだ現役の高専生ですね。在学中に起業することに周囲はどのような反応でしたか?

両親に反対されることは予想していました。そこで、まずCVCKに出て、50万円を獲得し、家族そろってお祝いの外食に行った時に、「もらった賞金を元手に起業するから」と打ち明けました。入賞を喜んでくれた両親ですが、起業に関しては「一度、就職してからでもいいんじゃないか」と言われました。まあ、そう言うだろうなと思っていました。特に父は「社会勉強ができておらず、常識さえもまだ知らないじゃないか」と強く反対していました。

「24時間、『ハックフォープレイ』の開発に費やしたい」
周囲を説得して、法人設立へ

ハックフォープレイ株式会社

それでも、起業の決意は揺らがなかったのですね?

そうですね。自分では入賞したら、起業すると決めていましたから。「この賞金は起業家を支援するもので、この賞金をもらったら起業しなければならない決まりになっているんだ」と父を説得し、なんとか首を縦に振ってもらいました。本当はそんな決まりはないのですが。今、思えば両親の反対も当然のことだなと思いますね。父も中小企業に勤めるサラリーマンでしたし、まだ20歳の息子に、そんな話を持ち出されて困ったでしょうね。今では両親も私の活動をしっかり応援してくれています。

学校では、在学中に起業することについてどのような反応でしたか?

高専では、就職、大学への編入、専攻科への進学という選択肢がありました。5年生になって、同級生が就職のことを考えて、面接を受けに行く中、僕はひたすら『ハックフォープレイ』を作っていたので、周りから「大丈夫か」と言われていました。その中で、指導教員だった先生がベンチャープランコンテストに出場された経験があり、「寺本君は起業を目指している」と他の先生に日頃から伝えてくださっていたようで、周囲の理解を得る事ができました。

結果として、編入や進学はせずに、会社を興すという道を選んだのですね

先生からは「専攻科に籍を置きながら起業したら」とも言われましたが、24時間、『ハックフォープレイ』の開発に費やしたかったので、それ以外のことには時間を割きたくないと思いお断りしました。石川高専では在学中に起業した人はそれまでいなかったようで、僕が知る限り初めてのケースとなりました。

取引先の信頼を得るため「株式会社」に
大企業や教育機関の業務を受託

そして、いよいよ起業を果たしたのですね。

CVCKに入賞したことで、金沢市が起業家支援の目的で開設するインキュベーションオフィスの一角を半年間無料で借りられる権利をいただきました。卒業の目処が立った2014年12月にネットで調べて、行政書士に依頼し、法人登記をしました。

株式会社ではなく、個人事業主という選択肢もあったのではないでしょうか?

プログラミングを教えるというビジネスを考えると、取引先が教育機関や自治体になると考えました。いきなり、20代の若者が「先生をさせてください」と言っても、「お前は何者だ」と断られると思ったので、しっかりとした運営母体として取引先の信頼を得るには株式会社を作るのがいいと判断しました。在学中に、ベンチャーコンテストやインターンシップを通して、スタートアップには株式会社が最適だと思っていました。会社が成長したときに、外部投資も受けやすくなると想定しました。

「ハックフォープレイ」の事業は進化を続けていますか?

はい。バージョンアップしています。『ハックフォープレイ』自体は無料で公開しており、ワークショップの受託が大半です。生徒から直接受講料をいただくことは少なく、子どもたちにスクールでプログラミングを教えたいという企業や自治体から委託されます。企業はCSR活動の一環で、受講生は無料参加というケースが多いですね。

ソフトを商品化するのではなく、ワークショップを受託することで事業を展開されているのですね。

起業後、最初の仕事のクライアントは、マイクロソフト日本法人でした。品川のオフィスで、同社のファミリーデーが開催され、その中のプログラミングワークショップに呼んでいただいたのが最初でした。その後は、IT系の業界団体やIT企業、自治体からワークショップの依頼を受けています。

プログラミングを楽しむ人を増やさないと
新しいソフトやサービスは生まれない

ハックフォープレイ株式会社

「プログラミング教育」は、2020年度から小学校で必修化される方針です。今後ニーズが高まっていくのではないでしょうか。

取り組みの強弱は、学校によって差が出ると思います。まずは、子供達にITをもっと好きになって欲しいと思います。将来IT系以外の仕事をするにしても、プログラミングを使って自己表現ができるようになって欲しいのです。その為にも子供のうちからプログラミングに親しんで欲しいというのが、僕の主張です。プログラミングを楽しめる人を増やさないと、新しいソフトやサービスは生まれません。
会社として、幅広く誰でも学べるプログラミング教育を啓もう活動のような形で進めるのがよいのか、英才教育の場としてのプログラミング教育に取り組んでいくのがよいのかは、迷うところです。

『ハックフォープレイ』について教えてください。

『ハックフォープレイ』は、プログラミングを進めていく際に、プレイヤーの位置を変える、HP(ゲームのキャラクターの体力値)を変える、そんなところから次第に深堀りし、すべてを書き換えることができるゲームを目指しています。ステップを可視化して、ユーザーが体験として学習するソフトウェアです。学校の授業では、C言語やJavaといった基本からスタートします。しかし、これだけソフトウェアが複雑になった時代、プログラム言語を「かっこいい」と思う人もいれば、「意味わかんない」という人もいます。だから基礎から始めるのではなく、いきなり応用から始めて最終的に基礎の分野に至るほうが、技術が高度化した今では、正しい順番なんじゃないかと思います。それを実現、体感できるソフトウェアを開発したいと考えています。

会社としての目標は?

あまり定量的な目標は持っていませんが、プログラミング教育をきちんと普及させたいという目的をしっかりと持って企業活動をしています。IT関連企業の中には、プログラミング教育を浸透させることで社会に貢献したいと思っている企業は多いと思います。でも、企業には、時間がない、手段がない。それに対して、僕は時間と技術を提供できます。ここに投資していただくことで、ハックフォープレイは成立すると考えています。もともとコンテストの賞金や助成金をいただいて始めた会社なので、僕の中ではこれをプログラミング教育を通して社会に還元していくという考え方を持っています。会社を大きくしようという考えはあまり持っていません。社会に必要とされる企業であり続けたいと思っています。

取材日: 2016年12月6日
ライター: 加茂谷 慎治

ハックフォープレイ株式会社

  • 代表者名(よみがな): 代表取締役 寺本 大輝(てらもと だいき)
  • 設立年月: 2014年12月
  • 事業内容: プログラミング教材の開発、セミナー等の運営
  • 所在地: 石川県金沢市昭和町12-6 Beta instruction 3階
  • URL:  http://hackforplay-company.weebly.com/
  • お問い合わせ先: 上記HP内の「ご依頼について」より