WEB・モバイル2013.01.16

リサーチ、プランニング、実践。 この川の流れを止めることなくあらゆる場面で支えていきたい。

福岡
株式会社 談 代表取締役 丸野香代子氏

言葉の炎と書いて談。株式会社 談は、販売促進に関する様々なニーズに対応している会社です。マーケティング立案と、それに伴う制作物の出版編集、社員研修までを手がける同社は、九州を中心に業績を伸ばしてきました。編集プロダクションとしてスタートした同社ですが、今やその業績は“販促プロダクション”の領域に達しています。5年前からは中国へも進出し、海外への足掛かりをつかみました。熱く燃える火の国、熊本出身の丸野香代子社長に、これまでの歩みと、中国での事業についてお話を伺いました。

大きな流れを支える会社でありたい

社長の社会人経験はフリーライターからだそうですが

そうなんです。私たちの時代は、まだ男女雇用機会均等法ができていませんでしたから、女性が総合職に就くことが難しい状況でした。私もご多分に漏れず就活に失敗し、大学を卒業後、地元の熊本に戻りました。だからといって仕事があるはずもなく、ミニコミ誌を発刊したり、地元新聞にコラムを書かせていただいたり、フリーライターのようなことをしていました。グループで初めてお仕事を引き受けた1987年をスタジオ談の創業としています。1990年に法人化しましたが、もしかすると九州で初めて法人化した編集プロダクションだったかもしれません。1997年、福岡に事務所を開設して、現在に至っています。

制作物から人材育成と、幅の広いフィールドで活動されているようですが

そう思われますよね。販売促進、マーケティング立案実施、CS支援、セミナー企画、WEBサイト構築、取材編集出版と掲げていますから。ですが、私共としては、幅広くやっているという感覚はありません。一連の流れを、川で考えていただくと分かりやすいかもしれません。お客さまの要望が何なのかを聞き取り、リサーチするのが川上だとすると、ニーズを目に見える形にしていくのがプランニング、これが中流です。川下にはそのプランを実践する実働部隊、現場があるわけです。この川の流れを止めることなく、支えていきたいというのが、弊社の考えです。もちろん、その一部をお手伝いすることもありますが、丸ごと関わっていけば、お客様に一貫したより良いサービスが提供できます。その結果、企画の立案からそれに関わる制作物、現場のスタッフの研修までを手掛けるようになりました。おかげさまで自治体や観光関係、通販業界と、多くのお取り引き先が生まれてきました。

編集プロダクションの粋を超えていますね

そうですね。振り返ってみると、岐路はあったと思います。設立当初は、出版社や広告代理店から雑誌の取材原稿や記事体広告の制作などを受注する、純粋な編集プロダクションでした。選択肢としては、このまま下請けの制作会社のままでいくという道と、自らクライアント企業に直接営業する道の、二つの道があったと思います。私は、マーケティングが好きなので、出版物を作るだけでなく、やはり自分たちで直接クライアントに関わって、プランニングから参加するという道を選びました。おかげで事業内容に広がりが生まれました。今の柱は、販売促進企画です。マーケティングも含めて、それに関わるあらゆることに携わらせていただいています。

女性の方が多い職場ですね

あえて女性を採用しようとしたわけではないのですが、弊社の採用試験にマッチングした人はたまたま女性が多かったということでしょうか。社内の約8割が女性です。お客様には、食品関係や、美容関係の会社も多くあります。販促企画を出すうえで、女性の視点は欠かせません。また、一口に“食”と言っても、地域づくりや観光事業に関わることもあります。そのどれをとっても、利用者は圧倒的に女性が多い。女性の気持ちを掴める人材をと集めたら、女性率が高くなってしまいました。社内のバランスを考えると、今後は男性と半々になるように採用したいと思っています。

WEB事業やパッケージデザインにも力を入れられていますが、 これも販促の一環としてということでしょうか

その通りです。実を言いますと、はじめは自社でデザイナーを抱えることに多少の抵抗がありました。プランナーとアートディレクターが、案件ごとにデザイナーさんに外注するという方法を採っていました。デザイナーの皆さんは、それぞれに個性があり、こだわりがある方が多いですから、その良さを適材適所に有効に生かしたいと考えてのことです。一人を雇ってしまうと、その人の色でしかできない制作物に限られてしまう可能性があります。ですが最近、販促に関わる全てに携わるようになり、商品開発やWEB販促の仕事が増えてきたので、この分野のデザイナーを増員することにしました。

日系企業の中国進出をバックアップする人材育成事業

上海にもオフィスを設けられたそうですが

はい。6年前、中国に現地法人を設立しました。福岡は中国と近いですから、出るなら中国!と思っていました。最初は日本のサービストレーニングを売るつもりでしたが、当時はまだそのマーケットが熟していませんでした。そうこうしながら、中国進出している日系企業のお困りごとをリサーチしていくと、現地社員とのコミュニケーションが難しい、働く姿勢に対する文化の違いがあるなどが上がってきました。「これだ!」と思い、階層別研修をはじめ様々な人材戦略コンサルティングを柱に事業を組み立てなおしました。これまで国内で行ってきた人材研修商品をグローバル化させ日系企業の中国人社員対象に行うことで、現地の日系企業を支えています。

世界で大人気のクールジャパンの広告コピーを、中国語で表現できる人材

進出後6年経って、中国マーケットの状況も肌感覚でわかってきました。さあ、これからマーケティングもやれるぞ!と思っています。販促企画分野で中国でも最初に携わったのは、通販の広告コピーの翻訳でした。日本女子たちに超人気の下着ブランドの新作商品の広告コピーです。日本のファッション、音楽、アミューズメントなどは、中国でも非常に人気があります。中国進出を考えている企業で、「うちは中国人の留学生を雇ったから、現地の広告制作は大丈夫だよ」とおっしゃるところがありました。これは大きな落とし穴だと私は思います。例えば、日本人だからと言って、全員が文才があり、効果的な広告コピーが書ける人材というわけではありません。外国語ができるからといって適切な翻訳ができる人材とは言えません。 コピーを書くには、それなりの技術と才能が必要です。この点を見誤ると、ボタンは掛け違ったままなのです。日本式のコピーのままでは、中国の人たちに響かないことも考えられます。どんなコピーが受け入れられるのか、訴求力があるのかを考えながら、販促物を作り込める人材でなければ意味がないのです。私たちは、この点にも注目しています。ただ日本語ができ中国語が書けるだけの人材ではなく、日本のセンスを受け止めながら、中国の人々に届く言葉を編み出せる人材の育成にも力を入れています。

中国については様々なことが言われていますが、 現地で何か感じられたことはありますか

個人的な感想ですが、サービス業に関しては、特に大きな影響があるようには感じていません。日系のサービス業は、中間層以上を意識した展開をしている所が多いです。先日、訪れた時も、中国の方々の日本製品、日本のサービスに対する満足度は根強く、大幅な客離れなどは感じられませんでした。

これが成功すれば、世界が見えるのでは

あははは。まだまだです。中国の現地法人はおかげさまでやっと軌道に乗ったところですから、まずはここで頑張っていこうと思っています。ただ、お取り引き先が、他国へ進出する際には、ついていくことも出てくるかもしれません。インドネシア、タイ、インドと、アジア各地に進出する企業が出てきていますから、中国での事業が成功すれば、他国展開の可能性も高くなるでしょうね。夢は大きく、ですかね。

取材日:2012年12月

株式会社 談

  • 代表取締役:丸野香代子
  • 事業内容:
    • 販売促進マーケティング立案実施
    • CS支援、セミナー企画運営
    • WEBサイト構築
    • 取材編集出版
  • 所在地
    • 福岡本社(中小企業診断士事務所)
    • 〒860‐0001 福岡市中央区天神4丁目2-36 天神第一ビル4F tel: 092‐761‐8057 fax: 092‐761‐8138 E-mail:fukuoka@dankk.co.jp
    • 熊本本社
    • 〒860‐0856 熊本市中央区妙体寺町5-1 tel: 096‐345‐2737 fax: 096‐345‐2736 E-mail:kumamoto@dankk.co.jp
    • 上海オフィス
    • 上海市盧湾区瑞金南路1号・海興広場27階F室 tel: 86‐21‐64220352 fax: 86‐21‐64220353
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