独自の動画ニュースサイトを開設! ウェブメディアとしてさらなる市民権を得たい

福岡
株式会社TMエンタープライズ 代表取締役 杉本尚丈氏
テレビ局の第一線でニュース番組を制作してきた経験を活かし、2011年に株式会社TMエンタープライズを設立した杉本尚丈さん。同年に開設した動画ニュースサイト「九州ビジネスチャンネル」(略称:QBC)は、質の高いオリジナルのコンテンツが支持され、新しい広報PR戦略のメディアとしても注目を集めています。エネルギッシュな杉本さんに、起業のいきさつから自社の展望まで伺いました。

高品質な映像を求めている企業や人に届けたい

会社を立ち上げるまでの経緯を教えてください。

福岡市で生まれ、九州大学農学部を卒業後、株式会社TXN九州、現在のTVQ九州放送に入社しました。当時、TVQは開局から5年目で、日経新聞やテレビ東京との人事交流が盛んに行われ、僕自身は本社の営業局を経て、東京支社業務部で5年間を過ごしました。 それから、報道部に配属されたのが2002年のこと。夕方ニュースのデスクや「九州経済NOW」「ワールドビジネスサテライト列島LIVE」など報道番組の制作に携わりました。

報道の仕事は、ハードな印象がありますね。

テレビ局の報道には、何よりもスピードが求められます。例えば、夕方のニュースに向けて、その日の出来事を取材し編集して、夕方に放送する。1日で仕事が完結するスタイルで、ひとときも気が抜けず、毎日が真剣勝負です。 取材する分野は、裁判から社長インタビュー、イベントまで、実に多岐にわたります。ひとりでカメラを抱えて海外ロケに出かけることもあり、撮影から編集、CGまで自分でこなしました。また、当然のことながら、クオリティの高さも追求します。このような現場で長く仕事をしていたため、多様な分野において、短納期でハイクオリティな映像を仕上げるスキルが身についたのです。

なるほど。では、なぜ起業しようと思われたのでしょうか。

大きく3つの理由があります。1つは、報道の仕事をしていると、日々全力でいい映像を作るのですが、その作品はオンエアが終わるとライブラリのようなところに保管されて、基本的にテレビでは二度と日の目を見ることはありません。一方で、そんな映像を取材相手が気に入ってくださると、自社のHPにアップしたり、DVDに焼いて配ったり、イベントで映像を流したいと要望されることがありました。しかしこれは著作権法に違反するのです。それで、自分の作った映像を取材相手にきちんと提供することができればと思い、起業を意識するようになりました。 2つめとして、時代の流れがあげられます。情報発信の媒体として、インターネットの台頭が著しかったので、インターネットの大きな可能性にかけたいと考えました。 そして3つめは、経済記者として数百社を取材する中で、経営者の方といろいろお話していると、たびたび「君は経営者向きだ」と言われまして。そうなのかな、と思うようになったという背景もあります。 このようなことが重なり、14年勤めたテレビ局を辞めて、2011年に当社を設立しました。

九州から街と企業を元気にするQBCが大好評

御社の事業内容について教えてください。

当社の主軸となっているのは、インターネットニュースサイト「九州ビジネスチャンネル」(略称:QBC)です。「九州から街と企業を元気にする」というコンセプトを掲げ、2011年9月からこれまで1,000本以上の動画ニュースを配信してきました。地域のニュースから企業の動向、個人の取り組みまで幅広く取材し、視聴者にわかりやすく伝えています。毎日更新の「美人カレンダー」や週1更新の「週刊九州男子」をはじめ、速報性の高いニュースやイベント情報なども盛りだくさんで、今では1日20万アクセスを誇る人気サイトへと成長し、さらにアクセス数をのばしています。

御社の強みは、どこにあるとお考えですか。

まずは、私が蓄積してきたノウハウや人脈を活かして、企画から編集までワンストップで、スピーディにハイクオリティな動画を制作できることです。とにかく高品質な映像を素早くリーズナブルに、という現代のニーズにマッチしたサービスを提供しています。しかも、当社が作る動画は著作権フリーなので、取材先のホームページに掲載したり、Facebookや YouTubeなどのSNSを駆使して広く拡散することもできます。 また、せっかくいい動画をお客様が自社のHPにアップしても、そのサイトを訪れる限られた人にしか見てもらえないのは残念です。その点、当社はQBCニュースサイトという人気の自社メディアを持っているため、取材した動画をそちらに掲載することができるなど、広報PRを強力にサポートできるというのも大きな強みです。

動画の長さにもこだわりがあるそうですね。

はい。QBCに掲載される動画ニュースは、気軽に見やすい2~3分程度というのも特徴のひとつです。要点をギュッと凝縮してお届けするので、忙しい現代人も見やすく、印象に残りやすい内容に仕上げています。 それから、QBCの動画にはいろいろなレポーターを起用しています。彼女たちはミスキャンパスやタレントなどで、これから社会で広く知られたいと望む人たちのPRにも一役買っています。

QBCを強化しつつ、新しいサービスにも挑戦

QBCのほかに、どんなことに取り組んでいるのでしょうか。

現在、福岡県からの委託で「福岡県世界遺産登録推進プロジェクト」の事務局を運営しています。また、当社が注力しているものとして、ARアプリがあります。スマホやタブレットでAR専用アプリを起動し、登録されている写真を撮影すると、写真が動き出すサービスです。撮った写真が動き出す無料ARアプリで豊富な情報をPRできるので、まずはこのアプリを多くの人に利用してもらえればと思っています。ほかにも、マスコミ出身だからこそ話せる各種セミナーや広報PRの事業なども展開しています。

今後の展望についてお聞かせください。

一昔前まで、メディアといえば新聞とテレビ、雑誌でしたが、最近はウェブの役割や認知も飛躍的に高まってきました。ウェブメディアを展開する当社としては、ウェブメディアがさらなる市民権を得られるように力を尽くしていきたいと思っています。

まずは身なりを整え、スキルや提案力を強化しよう

最後に、クリエイターの方にメッセージをお願いします。

僕は仕事を通して様々な方にお会いする機会が多く、クリエイターの方々ともお付き合いしてきました。そんな経験から思うのは、見た目は大事だということですね。クリエイターであっても、人に会う仕事なら、きちんとした服装を心がけることが大切。「この人はすごいな」と思う人は、皆きれいな格好をしていますよ。 また、これからの時代において、ひとつのスキルしかない人は厳しい状況に追い込まれると感じています。もちろんひとつは突き抜けたものが必要で、それを高めつつ、他のスキルも身につけ、ひとりで何役もできる人が重宝されるでしょう。 それから、受け身で仕事をする姿勢もNGです。ディレクターであれオペレーターであれ、どんな立場でも人から指示されたことだけをするのではなく、自分なりの感性でどんどん提案できるようになってほしいと思います。

取材日:2014年12月12日

株式会社TMエンタープライズ

  • 代表取締役:杉本尚丈
  • 設立年月日:2011年1月
  • 事業内容:マスコミを使ったPR方法のコンサルティング、短い尺で効果的なPR用動画映像の制作 TV・WEBの映像制作全般、TV放映に係わる宣伝代行、WEBサイト制作
  • 本社所在地:〒812-0011 福岡市博多区博多駅前2-5-8 ベルコモンズ博多ビル5F
  • TEL:092-474-8838
  • URL:http://tm-en.com/
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