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広報やイベント開催など、お客様の困りごとを最善策で解決。アート・プロジェクト『芸術専門楽群』スタート

福井
株式会社 カウベル・コーポレーション 代表取締役 森川 徹志さん、専務取締役 齊藤 理子さん
森川さんと齊藤さんがアートを軸に創業した『カウベル・コーポレーション』の事務所には、「虹のアーティスト」として知られる靉嘔(あいおう)の牛の版画をはじめいくつものアート作品が飾られ、訪れる人を楽しませています。同社が手掛けているのは、二人のキャリアを生かした会社案内や自治体等の広報誌、ウェブサイトの制作、イベントの企画・運営等々。それぞれの個性が光る事業内容と仕事に対する考え方、計画されているアートビジネスの展望などを伺いました。

映画祭開催をきっかけに編集・制作会社を立ち上げる

同仕事風景

お二人のご経歴を教えてください。

森川さん:今の仕事に繋がる原体験からお話しさせていただくと、子どもの頃、母親が定期購読していた『暮しの手帖』を愛読し(笑)、雑誌って面白いなと思っていました。しかし、中学・高校時代には関心が放送に移り、日本大学芸術学部放送学科へ進学。卒業後は東京の映像制作会社に入社しましたが、家の事情で福井に帰ることになり、2年で退社。福井では地元の出版社でタウン誌の編集を手掛け、その後、ネット系の会社を経て独立しました。

齊藤さん:私は幼いころから美術の道へ進みたかったので、家族の反対に遭いながらも筑波大学の芸術専門学群を探し出し、入学しました。学芸員やキュレーターといった美術の道へ進むつもりでしたが、父が亡くなったため福井へ戻り、地元の出版社に就職しました。森川と出会ったのがこの会社です。私の仕事は、美術館の図録や官公庁の観光ガイドなどの企画・制作でしたが、直接お客さんとのやり取りをして効果的なものを作りたいと、もどかしさを感じて独立を決意しました。

制作会社を立ち上げたきっかけは何ですか? ユニークな社名の由来も教えてください。

齊藤さん:2000年に『チェコアニメ映画祭』を二人で企画し、福井市のメトロ劇場で開催したのがきっかけです。元々互いの関心事項は重なっていなかったのですが、このときは、チェコアニメのおもしろさ、奥深さを広く知ってもらいたいという想いで一致しました。

森川さん:映画祭は2001年にも行いましたが、その間、齊藤はまだ出版社におり、僕も別の会社に所属しながらの活動でした。しかし、この映画祭が二人で手掛けた最初の事業です。

齊藤さん:二人のアートユニットという感じだったのですが、上映会のときに、『メトロ劇場』の社長さんから「名前を付けた方がいいよ」と言われ、ユニット名を考え始めました。共通点が全くない私たちですが、唯一同じなのが星座。二人とも「おうし座」なんです。それで、牛に関する名前を考えに考えて、首につけられている鈴を思い出し、さらに、バンド演奏の最初に鳴らす楽器がこのカウベルだと聞いて、カウベルに決めました。当時は会社ではなかったのですが、遊び心で会社をもじり、コーポレーションも加えました(笑)。

創業当時の目標や、目指された具体的な事業はありましたか?

森川さん:立ち上げのきっかけとなったアートイベント事業を会社の土台におきながら、それぞれがそれまでの経験を生かし、企業や自治体の広報誌の企画・編集、ウェブサイト制作等を行うという形でスタートしました。

齊藤さん:私たちは、一つの仕事を二人で行うというより、それぞれの仕事があって、たまに一緒にやるといったスタイルです。大まかには、森川はウェブサイトの制作をやりながら、最近では大学で文章の書き方を教えるなど講師業が増え、私はディレクションとライターの仕事を中心にやっています。

森川さん:目標というお話ですが、僕は、目標を決め、そこに向かってステップアップしていくというのが全く苦手(笑)。編集の仕事は、取材もするし、文章も書く。時にはテレビ番組のコメンテーターのようになったり、映画のプロデュースをしたり、さまざまなことができる職種だと思います。僕も周りからの求めに応じながら自分の立ち位置を見つけ、幅を広げていこうというスタンスでやってきました。

齊藤さん:私は、アート関係の仕事をしたいと思いながら、創業したばかりの頃は、どんな分野の方とでも話ができなくてはいけないと思い、ジャンルを絞らず仕事を受けていました。おかげで、さまざまな業種の世界を知ることができたと思っています。2人ともフリーランスでレギュラーの仕事がないので、崖っぷちのまま17年続いているという感じです。

きちんと話を聞き、対応することで繋がりという成果が生まれる

これまでに制作したパンフレット等

お仕事を進めるにあたって心がけておられることはありますか?

齊藤さん:私たちのコンセプトに一番近くて、お客様にも評判がいいフレーズが「たのしく、きちんと、おもしろく。」で、中でも「きちんと」を大切にしています。「たのしく」「おもしろく」は大抵の人ができると思いますが、礼儀やマナー、締め切りやルールを守るなど仕事上の作法で「きちんと」できているか、いつも振り返っています。

森川さん:編集者の資質として「きちんと」は重要です。うちは、案件ごとにデザイナーやカメラマンに依頼してチーム組むので、その中で気持ちよく仕事をしてもらうために、例えばメールの書き方など細かいところも含めて丁寧な対応を心がけています。また、これから独立される方への参考として、発注でも受注でも、料金の話は最初にすべきです。言い出しにくいことですが、お金は両者の関係がこじれるもとになるので、若いからといって遠慮せずきちんとしておくべきですね。ちゃんとした仕事をしようしている人は必ずお金の話を最初に言ってきます。

御社では「聞く」「考える」「つなぐ」「つくる」「ひろげる」を五大特長として掲げておられますが、中でも特に重点を置いておられる特長はありますか?

森川さん:やはり「聞く」が大事ですね。こちらから提案するといっても、結局、課題を解決した先にある答えはお客様の頭の中にしかない。ただそれを言語化できず、もやもやしているわけです。そのもやもやを言葉として引き出すには、とにかく聞いていくしかない。答えにたどりつくまでどれだけ話ができるかにかかってきます。そのために質問の仕方も相手によって変わりますし、雑談の中から答えを拾っていくこともあります。

齊藤さん:そう、「聞く」ことが一番大事です。私はお客さんに合わせつつも、結構「さあ聞きますからね」みたいな感じでかっこつけて臨むことが多いですけど(笑)。

「聞く」以外で日頃感じておられることや、記憶に残る体験はありますか?

森川さん:「つなぐ」の話になりますが、編集の仕事は、人が集まってつながる舞台をつくることだと思っています。ウェブサイトでもイベントでも、自分が仕掛けたプラットフォームで知らない人同士がつながっていくのを舞台の袖から見ているのが編集者。うちの仕事はそういう舞台をつくることです。

齊藤さん:私は、アートイベントに出展する作家さんや主催者を取材して記事を書いてきましたが、その記事を見て会場に来た人がおられたと聞くと本当に嬉しい。ウェブサイトの仕事でも、問い合わせが増えて売り上げが伸びましたといわれると、ビジネスとして成功してよかったと思います。取材した、完成しただけでは不十分で、ちゃんと人が動いて成果が生まれる、それが仕事です。

紙媒体も活用し、お客様にとってベストな手法を提案

これまでに制作した図録

パンフレットなど紙媒体の制作もされていますが、ウェブとの関連はいかがですか?

森川さん:問い合わせはやはりウェブサイト制作が圧倒的に増えています。ただ、うちの特徴として、ウェブサイトを作りたいというご要望があったときでも、まず紙媒体をお薦めすることもあります。お話を伺ってみると、紙の方がよい場合もあるのです。

齊藤さん:結構ありますね。当社では紙媒体とウェブをいっしょに制作できるので、「こういう商品を売り出したいけど、どうしたらいい?」といったところから相談にのり、ウェブにするか紙媒体にするか検討します。さらに、最近はSNSをどう使っていくかなど制作後の運用までアドバイスしています。そこまでやらないとお客様が求めている成果に繋がらないのです。

ウェブの相談を受けたものの紙媒体を薦めた事例を教えてください。

齊藤さん:最近では、カーシートなどの生地の傷みを修正する会社さんの例があります。海外で製造されたカーシートの生地の原反が入ってくるのですが、ほつれやシミが目立って、そのままだと破棄するしかない。そんな状態の生地の傷みを、その会社では、スタッフが手作業で一つひとつ直しているのです。こういう業種の会社があることを知っている人は少ないですよね。その会社さんがウェブサイトのご相談にみえたのですが、聞いてみると、営業に行くときに持っていく資料がなくて、せっかく訪問しても覚えてもらえないと言われる。そこで、まずパンフレットを作り、それからウェブサイトを立ち上げました。その後、問い合わせが増えたと喜んでいただけたうれしい事例です。

これまでで特に深く印象に残っているお仕事は何ですか?

齊藤さん:月1回発行されているJAさんの広報誌の仕事で、60歳以上のご夫婦に長年連れ添う秘訣を取材しに行くのですが、お話を聞くと、どのご夫婦にも小説よりもおもしろいドラマがあるんです。こういう方々の声をちゃんと拾って、残して行くのも大事だなと実感しています。同時に、自分は、まだまだだなっても思いますね。

森川さん:メディアに出ている人たちはアピール力もあるし、何かしら大きなことをやっているわけですけど、メディアが取り上げない、でも、日々まじめに仕事をして生活されている方にも尊敬できることはたくさんあります。そういう方々の生きざまというのは何かきっかけがないと形として残らないので、このような取材はきちんとやっていきたいと思っています。

作家やアートビジネスを支援する『芸術専門楽群』プロジェクトをスタート

事務所内の打ち合わせスペース

アートイベント事業も含め、今後どのような展望をお持ちですか?

森川さん:福井を起点にアート活動をしている人たちを、何らかの形で応援したい。福井で美術を学んでも、作家として活動する受け皿が少ないのが現状なので、福井を起点に、日本の優れた作家について世界に発信する事業ができないかと考えています。例えば、インバウンドを視野に入れてのアートツーリズムもその一つです。実は去年、『芸術専門楽群』というプロジェクトをスタートさせ、まずサイトを開設しました(URL:https://www.geisen.art/)。現在のところイベント紹介がメインですが、今後、世界から人を呼び込みたいと思っています。

齊藤さん:文化事業やアートを手掛けることで、他の制作会社さんと一線を画したいという想いもあります。これまで続けてきた美術展の企画・運営の勉強や仕事を生かし、広く皆さんにアートの見方を伝えると同時に、企業さんに対して、アートに触れたり実際購入したりすることがどれだけ会社に利益をもたらすかという助言もしていきたいと考えています。アートビジネスには一般的な会社経営と変わらない仕組みもあるので、アートに理解がある企業さんにはそういうお話もさせていただき、アートを核にして何か事業を行いたいと思われた時に、選んでいただけるよう準備していきたいと思っています。

取材日:2019年1月10日  ライター:井上 靖恵

株式会社 カウベル・コーポレーション

  • 代表者名:代表取締役 森川 徹志(もりかわ てつし)
  • 設立年月:2014年7月(創業 2000年6月)
  • 資本金:3,000,000円
  • 事業内容:広報・広告用パンフレット等制作、ウェブサイト制作、取材・撮影コーディネート、講演会等の採録原稿作成、アート系イベントの企画・運営、ニュースサイト運営
  • 所在地:〒910-0015 福井県福井市二の宮5-2-10 和光二の宮ビル2F
  • URL:https://www.cowbell.jp/
  • お問い合わせ先:0776-25-0563
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