WEB・モバイル2018.07.18

クラウドソーシングを活用して実績を積み会社を設立、福岡のWebデザイン業界に新風を吹き込む

福岡
株式会社ミニヨン 代表取締役社長 加藤若菜 氏
「25歳で独立し、30歳で起業する」。高校卒業後、システムエンジニアとしてキャリアをスタート。コンテンツディレクター、広告代理店の制作業務を経験し、フリーランスのWebコーディネーターに。クラウドソーシングを活用して実績を積んだ後、Webコンテンツ制作を中心に手がける株式会社ミニヨンを立ち上げた加藤若菜さん。みごとに目標を達成し、さらに、起業3か月で活動の拠点を東京から福岡へ。スタッフを育てながらサービスの拡充に力を注ぐ加藤さんに、会社設立までの経緯、事業への思いと人材育成、今後の展望についてうかがいました。

病気療養をきっかけに進学を断念

そもそもWebデザインの仕事を始めたきっかけは?

高校は東京にある進学校で、医学部進学を目指していました。ところが、センター試験の直前に病気が発覚し、即入院。手術を経て、半年間の療養生活を送ることになりました。病院のベッドの上で、退院後の進路について考えをめぐらせているうちに、この後に6年間勉強するより、すぐに社会に出たほうがいい、と思うようになって。両親が自営業を営んでいたせいか、手に職をつけて自活する生き方への志向が元からあったのかもしれません。趣味でホームページを作っていたこともあって、Web系の仕事をしたいと思うようになり、まずはシステムエンジニアになりました。

その時点ですでに「25歳で独立、30歳で起業」することを考えていたそうですが。

そうですね。目標を設定したほうが、そこに向かって計画的かつ、効率的に動けました。ゴールを決めて、それを達成するために必要なことを組み立てて実行するのが好きな性格だからかもしれません。タスク管理も、目標設定と同じように重要性を感じていて、学生時代から意識してやっていました。25歳になり、元いた職場で私の代わりになる人材を育てたあと、独立を決行しました。30歳での会社設立は、自然にそうなったといいますか、自分ひとりでは、仕事がどうしても抱えきれない量になっていたので、ちょうどいいタイミングだと思い起業しました。

強みは、顧客本位の制作姿勢と納品スピード

そういう意味では、独立から起業まで、業績面はとても順調だったわけですね。

まず、独立したのがクラウドソーシングに注目が集まり始めた時期で、とても運がよかったと思います。会社員からフリーランスになる際、仕事をどこから取ってくるかが大事だと思っています。就職する前に読んだブログに、 「Webデザイナーは、デザイン力だけではダメ。プログラミングやシステムまわりの知識、デザインセンスに加えて、営業力、対応力もしっかりと身に付けていなくては生き残れない」というアドバイスが書かれていて、その教えを強く意識してきました。ですから、丁寧なヒアリングによって「お客様の頭の中を具現化する」姿勢と納品スピードは自負しており、強みと言えると思います。また、スタッフには、レスポンスの早さなど、プロ意識を徹底させるよう努めています。

フリーのWebデザイナーとしての活動で磨いた能力や気づきが企業経営における理念に活かされていると言えるのでは?

そうかもしれません。会社員時代、営業職には歩合給がつくのに、デザイナーにはそれがないのが不思議でした。フリーは仕事をすればするほど稼げますよね。私は「節約」が好きではなくて、欲しいものがあれば稼いで手に入れたいと思ってしまうタイプ。欲しいものを手にしたい気持ちが、目の前に山のように積まれた仕事に向き合う原動力になる。これは会社を作ってからも同じで、私のほかにスタッフが4名いますが、全員が豊かに幸せになってほしいと考えています。そのために、なるべく早いうちに私がフリーの頃に抱えていた仕事量を処理する力をつけられるよう、スタッフを指導しています。

会社設立に伴って、人材育成がやるべきことに加わったわけですが、それによっての気づきはありますか?

フリー時代から仕事をともにしていた人がスタッフにいて、状況に応じて私のアドバイザーをしてくれています。当初、「なぜ、みんなが私と同じスピードで仕事を進められないのだろう」と嘆いていた時に、「あなたの完璧なクローンを作ろうとしても、それは難しい。能力的に100%の人材を作り上げようとするのではなく、まず30%の人材を数人同時に育てれば、総合力で目指す成果は上げられるのでは」と言われ、救われる思いでした。そこからは、まず一定レベルに能力を引き上げさせて、その先は徐々に経験を積ませ実力を上乗せし、独立できるまでにしていくという方針に頭を切り換えました。

ようやく設立して2期目を迎えました。 人を育てていくのはまだまだこれからの段階。周りが成長していくのを間近で見るのは、フリーの頃には味わえなかった歓びとも言えます。苦労はあるものの、会社の経営が楽しいと思える実感もあります。

東京で起業してまもなく福岡へ

起業して3か月で東京から福岡へ会社を移した理由は?

理由は三つあります。まず、マーケットとしての魅力的な可能性を福岡に感じた点。人材面、物流面、海外からの注目度など、いずれにおいてもビジネス展開に追い風となる状況ができあがりつつあると思いました。二つめは、東京にくらべて人件費が抑えられる点。福岡はスタートアップ企業が多く、事業成長が見込める環境があります。そして、最後は、個人的な直感からなのですが、どうしても一緒に働きたい人が当地にいたからです。彼女は、まったくの異業種で働いていたのですが、知人を通じて知り合い、細やかな心配りのできる人柄、コミュニケーションスキルの高さ、人脈の広さに惚れ込んでスカウトしました。今は経理をはじめ会社運営のマネジメント全般を担ってもらっています。当社の一員として欠かせない、とても大きな存在です。

Webデザインに関して、東京と福岡の違いを感じるところは?

あくまでも個人的な感覚ですが、福岡のほうが保守的なデザインが目立つように感じます。当社のホームページを見た地元のクライアントから「ファッションデザインの会社かと思った」と言われたこともありました。たしかに、福岡の同業他社のサイトを見ると、トレンドを追うようなデザインは少なく、しかもデザインの方向性、テイストを打ち出していないところが多いです。だから相対的に、当社は他社よりデザイン自体に関心がある人には飛びついてもらいやすいとも言えます。
今のところ当社は「加藤さんのデザインだからお願いする」というお客様に支えられている側面があります。つまり、私自身のデザインが看板になっていて、ホームページもそのテイストを踏まえた作りになっています。ミニヨンとしてのデザインテイストを確立し、イメージブランディングを進めていくことが、当面の課題だと考えています。これに関しては、スタッフによるブログを通じた情報発信などを始めています。

最後に会社の今後について考えを聞かせてください。

売上を伸ばしつつ、人員体制はしばらくこのままでいきたいと考えています。必然的に一人当たりの仕事量は増えることになりますが、そこは効率を上げる作戦でカバー。当社では残業は一切しません。期限を決めて集中することで生産性、つまりは仕事の精度と個人の能力がアップします。私はクラウドソーシングによる仕事を経験してきたので、将来スタッフ全員が何でもできるオールラウンダーに成長したら、それぞれが在宅で仕事を行えるスタイルへ移行することも検討中です。さらに福岡という地の利を活かしたグローバル展開も視野に入れています。手始めは韓国。今年中の事業開始へ向けて、私自身、韓国語の習得に力を入れているところです。

取材日:取材日:2018年6月26日 ライター:堀 雅俊

株式会社ミニヨン

  • 代表者名:代表取締役社長 加藤若菜
  • 設立年月:2017年7月
  • 事業内容:Web制作、サービスサイト企画・開発、オウンドメディア運営、Webマーケティング・SEO解析、FP事業、広告代理事業など
  • 所在地:福岡県福岡市西区今宿駅前1-15-18 マリブ今宿シーサイドテラス3F
  • URL:https://324.co.jp/
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