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一生ダンスを続けられるように、ダンサーの目標となる場所や仕事を創造

札幌
合同会社 KING PRO. 代表/ダンサー 植田大生氏
(写真)
広報部/ダンサー 中川竜二氏
今回訪問した企業は、北海道最大のダンスイベント「キングダンスコンテスト」の企画運営を行っている合同会社 KING PRO.(キングプロ)。北海道唯一のダンスカンパニーとして、様々なダンスイベントを通して北海道のダンサーの活動の場作りとアートカルチャーの発展に尽力しています。自身もダンサーである代表の植田大生(うえだひろお)さんと広報部の中川竜二(なかがわりゅうじ)さんにダンスに対する熱い想いと今後の新しいダンスシーン構築にむけての取り組みについてお話しを伺いました。

一生ダンスを続けるために。ダンサーが踊る場、目標となる場作りを。

「キングダンスコンテスト」の様子

お二人ともダンサー、表現者でもありますが、会社を設立することになった経緯を教えていただけますか?

植田さん: 高校3年生の冬休みに単身で訪れたニューヨークでダンスパフォーマンスに感銘を受け、ストリートダンスを始めました。本格的にダンスにのめり込んで技術を磨き、全国大会などに参加しているうちに、北海道と本州のダンスレベルの差を直に感じたんです。この差を少しでも埋めて、北海道のダンスレベルを上げて行くには何が必要かを考えた結果、ダンサー仲間と一緒に「キングダンスコンテスト」というダンスイベントを2007年に立ち上げました。

その後、私が再びニューヨークへ行くタイミングで一度休止しましたが、帰国後の2010年に、北海道のダンスシーンをさらに盛り上げ、ストリートダンスの普及と発展、ダンサーの活躍の場を広げていくという強い決意の元、「KING PROJECT」を立ち上げました。今までのキングダンスコンテストに加え、その他のダンスイベントの企画や開催、運営サポート、ダンスに関わるコンテンツの作成など、北海道のダンスシーンをトータルでサポートしていけるように体制を整えました。自分自身が一生ダンスを続けられるようにダンスの舞台や仕事を生み出していきたいという思いもありました。

中川さん: 私は高校の学校祭でクラスの出し物として初めてダンスを踊ってすごく楽しかったんです。みんなの前で踊ってキャーキャー言われるって楽しいなって(笑)。それでダンススクールに通い始めたのですが、その時のインストラクターが植田です。植田の後輩のような形でダンスレッスンに通いながらダンサーとしてキングダンスコンテストにも出場していましたが、大学卒業後の2011年に、キングプロジェクトを一緒にやらないかと声をかけていただき参画することになりました。

中川竜二さん

そしてその後、法人化された訳ですが、そのきっかけなどはありましたか?

植田さん: 最初はダンサー仲間と立ち上げたプロジェクトでしたが、少しずつ軌道に乗って北海道の企業様からも協賛をいただけるようになり、2014年に合同会社KING PRO.として法人化しました。法人化にあたって特別なきっかけはありませんが、法人化したことで「私たちは北海道唯一のダンスカンパニーです」と自己紹介できるようになり、ダンスをあまり知らない一般企業の方とも取引しやすくなった部分はあります。大きなプロジェクトの企画・実施にはたくさんの企業様の協力が必要ですから。ただし、原点の想いは全く変わっていません。「ダンサーが一生ダンスを続けられるように」そのためにもまずは自分自身がワクワクしながら、楽しみながらダンスの仕事を生み出していきたいと思っています。

事業のメインとなるキングダンスコンテストとはどのようなイベントですか?

植田さん: 「北海道ナンバーワンダンサーを決めよう」というコンセプトのダンスコンテストです。道内各地で予選を行い、スタンディングで最大約2000人もの収容可能なイベントホール「Zepp札幌」で決勝戦を行っています。年に一度のコンテストに出るために練習に励む、優勝するために技術を磨く……北海道のダンサーにとってそんな場になれば良いと思っています。イベントの企画、制作、運営から、イベントで使用する映像やパンフレットなどのデザインもワンストップで制作しています。

他にはどのような事業がありますか?

植田さん: ダンスイベントの企画・制作がメインとなりますが、ダンスを始めたばかりの子供向けのダンスコンテスト「リトルキング」、北海道内の大学のダンスサークル対抗のダンスバトル「アルキタ杯」、道内で活躍するダンサーが出演する舞台公演なども行っています。また、他社さんからダンスイベントの制作、運営や、映像、デザイン制作を依頼されることもあります。

ダンスのイメージを変えるため、理解者作りから始まる

ダンサーとのミーティング風景

苦労されたことはありますか?

植田さん: 基本的には大好きなダンスに関わる事しかしていないので楽しい事ばかりなのですが、中心となるスタッフが全員ダンサーで、始めのうちは営業活動などをどう行って良いのかわからず苦戦しました。イベントを立ち上げた当時はストリートダンスの認知度があまり高くなかったこともあり、企業へ企画提案をしても「ストリートダンスって、あの不良みたいな恰好で踊るやつでしょ」「ダンスはビジネスで扱うには向いてないんじゃないの」というようなことをよく言われました。最近でこそ学校の授業でダンスが必修化されるなど認知度が高まってきましたが、担当者はノリノリでも最終的には社長の決済が下りなかった……なんてことはまだまだあります。

どうやって乗り越えてこられたのでしょうか。

植田さん: ダンスに対する理解者を増やしていくしかないですよね。可能な限り現場を見ていただいて、実際の様子を感じてもらうようにしています。大人も子供も一生懸命にダンスに取り組んでいる様子を見て、ダンスに対するイメージが変わったと言う方は多いです。

理解者を増やすところからとは地道な活動が必要ですね。

中川さん: そんな中で、協賛企業である札幌のアルバイト情報誌「アルキタ」等を運営する株式会社北海道アルバイト情報社さんとの出会いは大きなものだったと思います。2010年に北海道のニュース番組でキングダンスコンテストが10分程度の取材を受けたんですが、たまたまそれを見たアルキタさんの社長が「応援したい、協賛させてほしい」と電話をくれたんです。そこから長くお付き合いをさせてもらっています。北海道のダンスシーンを盛り上げることで北海道の若者を応援するプロジェクトを一緒にやろうということになり、2016年からは北海道内の大学対抗ダンスバトル「アルキタ杯」を開催しています。

ダンサーだからこそ作れる映像制作やデザイン制作のお仕事も多いと伺いました。

中川さん: 現在は全体の3割くらいでしょうか。自分達のイベントで使用する映像やパンフレットなどのデザイン制作はもちろんですが、他社さんのダンスイベントでの映像やデザイン制作を依頼されることも多くなってきました。
ダンスイベントに関してはノウハウが蓄積しているので、イベントの制作・運営から映像やデザイン制作までトータルで受けることも多いです。
映像制作についてはダンサーならではの感性と言うか、ダンサーにとって格好良いモノを作るのに長けていると自負しています。一般的な制作会社へ依頼するのとは全く違ったイメージのものになると思いますよ。

ダンスイベント以外の映像制作も行っているのでしょうか

中川さん: 現在はダンスイベントが多いですが、ダンス以外のイベントやテレビ番組、コーナーの映像制作にも携わっています。私自身学生時代はテレビ局で働きたいと思っていたので、現在テレビ番組の制作に関われて当時の夢が一つ叶った気持ちです。今までのイベント制作、映像・デザイン制作などで培った経験を生かしてダンス以外の分野にも広げていければ良いなと思っています。

ダンサーがダンスを踊ることで生計を立てられる仕組み作りを

撮影終了時のダンサーのみなさんと

今後の展望を教えてください。

植田さん: ダンサーがダンスをずっと続けていける環境を作りたいと思っています。その第一歩がダンサーの目標となる「キングダンスコンテスト」の立ち上げでした。次はその先の道を作りたいと思っています。現在学生でダンスを踊っている人も社会人になると辞めてしまう人が多いですし、プロとして続けようという人も東京へ行ってしまう人がほとんどです。また、ダンスの世界ではプロと言ってもダンスを踊ることだけで生計を立てられる人は本当に一握りで、ほとんどの人はダンススクールのインストラクターで収入を得ています。それも立派なプロかもしれませんが、スポーツの世界では競技でお金を稼ぐ選手がプロ、インストラクターはレッスンプロと言いますよね。ダンスの世界でも同じように、自身がダンスを踊ってその技術を披露することでお金を稼いで生活していく仕組みを作りたいのです。それを北海道で実現したいのです。

ダンサーがダンスで生計を立てられる仕組み……。今年行ったダンスの舞台公演がその一歩でしょうか。

中川さん: そうですね、今年(2018年)5月18日(金)、19日(土)に北海道を代表する7名のダンサーを集めて「zuja」というダンスの舞台公演を行いました。今までのダンスコンテストやダンスバトルは参加者から参加料をいただき、さらに参加者の家族や友人などから入場料をいただくというビジネスモデルでしたが、舞台公演では純粋にダンサーのファンを集めて、売り上げを立てる形になります。ダンサーのファンづくりの活動でもあります。こういった舞台を見て、「自分もここで踊りたい」「こんなイベントをやってみたい」と思ってくれるダンサーが1人でも増えたら嬉しいです。

ダンサーの未来設計が広がりますね。

植田さん: 純粋にダンスを踊ることで稼げる仕組みを作りたいという構想は全国的な流れになっていて、現在はエリア別のプロダンスチームによるダンスバトル、「プロダンスリーグ」の準備が進められています。本州のダンスイベント会社と協力しながら2020年の本格始動を目指してプレリーグが始まっていますが、見ている人にもわかりやすく点数制を取り入れたり、音楽や演出と融合させてエンターテインメント性をさらに高めるといった構想があります。最終的にはプロスポーツと同じように、そこで勝負してお金を稼いでいける仕組みを作るのが目標です。ダンサーが踊る場所、仕事を北海道で増やし、北海道のダンスシーン発展に力を尽くしたいと思っています。

取材日:2018年5月30日 ライター:小山佐知子

合同会社KING PRO.

  • 代表者名:植田大生
  • 設立年月:2014年7月
  • 事業内容:イベントの企画運営、ダンサー、ダンスインストラクターの派遣、
         ダンスワークショップの企画運営、
         グラフィックデザイン、ウェブデザインの制作、舞台の企画、制作、公演など
  • 所在地:北海道札幌市中央区南3条西1丁目1 南3西1ビル 3F
  • URL:http://play-the-dance.com/
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