徹底した品質管理で、質の高い3DCGを提供!

京都
株式会社D4A 開発室室長 チーフディレクター 田路直樹さん(右)
マネージャー 田嶋一夫さん(左)
高度なデジタル技術を駆使しながら、「感性」というアナログを大切にする意味を込めた「Digital Design for Analogs」に社名の由来がある株式会社D4Aは、京都の東寺に本社を置く3DCGの制作会社です。常に質の高いコンテンツを制作し、クライアントが求めている以上のものを提供することを会社設立当初から遵守し、成長してきました。今回、D4Aで、すべてのプロジェクトを管理する開発室室長兼、チーフディレクターの田路直樹(たじ なおき)さんと、同社の新たなデジタル技術である3Dスキャンスタジオ「SCANBA!(スキャンバ)」の管理者兼、マネージャーの田嶋一夫(たしま かずお)さんに伺いました。

恩師から声をかけられ、立ち上げメンバーに

田路さんは会社の立ち上げメンバーの一人だとお聞きしました。代表である木村和宏社長とどのように出会われたのでしょうか?

田路さん:コンピュータグラフィックス(CG)を学ぶ専門学校に通っていた時に、話がとても面白く、魅力あふれる講師の先生がいました。いつかその先生と一緒に仕事がしたいと思い、その旨を先生にも伝えていたのですが、先生自身がフリーランスで、卒業後はゲームソフトなどを開発している会社に入社しました。2年後に退職することになり、そのタイミングと同時期に、先生から「会社を設立するから来ないか?」と声をかけていただき、立ち上げメンバーとして関わらせていただいたのがきっかけです。つまり、その専門学校時代の講師こそ、弊社の代表の木村です。教え子でフリーランスとして活動していた7人のクリエイターを集めて、木村は法人化することで社会的な信用の獲得とフリーランスで活動するより多くの案件を引き受けることを目指し、株式会社D4Aの設立に至りました。

会社設立から13年ほど経ちますが、これまでで一番大変だったことについて教えてください。

田路さん:立ち上げ当時は人数が少なかった為、受けられる仕事量や受注先が限られていました。特に当時は遊技機の映像制作をメインで受けていたこともあり、業界の景気に左右され、一ヶ月まったく仕事がないという月もありました。その大変な時期を乗り越えて今があるのですが、当時はただただ不安でした。今では社員が36名になり、受けられる業務も増えたことで、安定して仕事をいただいております。

デザイナーとしての積み重ねた経験を3DCGに

田嶋さんは転職されて入社されたそうですね。入社までのいきさつを教えてください。

田嶋さん:前職では、映像や映画に使用する美術のデザインを担当していました。基本、鉛筆で製図をしたり、絵を描いたりがメインの仕事です。当時はコンピューター自体も触ったことがないくらいでした。30歳の時に、これまで積み重ねてきた技術を生かせる別の仕事がしたいと思い、その会社を退社し、D4Aに入社することを決めました。D4Aにゆかりはありませんでしたが、CGであれば今まで人にお願いしていたことが自分で制作できるし、おもしろそうだと思ったのです。絵が描けるのでソフトの使い方を覚えれば対応できたので、大変なことはありませんでした。何よりも、田路さんをはじめとする先輩方がサポートしてくれたことがありがたかったです。

お二人の社内での役割について教えてください。

田路さん:ディレクションが主な役割で、制作物の品質を一定以上に引き上げる管理業務を行っています。品質のばらつきをなくし、全体的な質を向上できるように担当者に指示を出します。また、仕様の遵守が必須であるゲーム制作においては、抜けがないかを確認し、修正指示を出します。

田嶋さん:私はクライアントと仕事の交渉を行ったり、プロジェクトの全体を見るのが役割です。私の他にマネージャーが2名いるので、それぞれ分担して業務を行っています。また、今春オープンした3Dスキャンスタジオ「SCANBA!」の責任者をしています。

誰もが利用可能な3Dスキャンスタジオを関西に初オープン

3Dスキャンスタジオ「SCANBA!」を運営

3Dスキャンスタジオ「SCANBA!」とはどういったものでしょうか?

田嶋さん:100台のデジタル一眼レフカメラを備える3Dスキャンスタジオです。
円筒状に配置したカメラで、中心にある被写体を瞬時に同期撮影して得られる画像を元に専用のソフトウェアで計算することで、3Dモデルデータを生成することが出来ます。簡単に言うと、立体写真スタジオです。出来上がった3Dモデルデータから、ゲームや映像、VR、フィギュアなどを制作することができます。お客様のご要望に応じて、スタジオオペレーターが最適な撮影プランをご提案します。

「SCANBA!」という名前の由来は何でしょう?

田嶋さん:ゲームや映像制作に限らず、クリエーションに携わる全ての方に「開かれたスキャンする場所」という意味で命名しました。
現在、一般のお客様が利用できる3Dスキャンスタジオとしては関西で唯一の場所です。 3Dスキャンの技術は古くからあるのですが、一般には未だ浸透していないのが現状です。当スタジオを通じて、3Dスキャンデータが多くの方の目に触れるきっかけとなり、さらに、より多くの企業さまに活用して頂くといった好循環が生まれることを期待しています。

「大変」より「楽しい」が先に立つ

御社の事業内容について詳しく教えてください。

田路さん:大きく分けて、コンシューマー向け・アーケード向けのゲーム、スマホアプリ、遊撃機(パチンコ、パチスロ)の3つのグラフィック制作が主幹業務です。それ以外に、アーティストのプロモーションビデオのCGやVRコンテンツ、3Dアイドルのシアターライブ映像など、3DCGに関わるあらゆるコンテンツを制作しています。クライアントから発注をいただく際に要望を細かくヒアリングして、どう表現するかを提案し、合致すれば制作に進みます。すべての制作物に期限があるので、期限内に求められている品質以上のものを提供できるように努めています。

お二人にとって、仕事でやりがいを感じることはなんでしょうか?

田路さん:普段、あまりエンドユーザーの反応を見る機会がないのですが、先日、弊社が制作に関わったゲームの発表の場にご招待いただいた際、お客さんの反応や歓声がすごかったんです。その時はやりがいを感じ、とてもうれしかったです。

田嶋さん:クライアントからもらった2Dの絵を3D化した際に、自分なりに納得できて、クライアントにも喜んでいただけたのなら、とてもうれしいですし、やりがいにつながったことを感じます。

一方でこの仕事の大変な部分を教えてください。

田嶋さん:大変だったことはまったく覚えていないです。(笑)

田路さん:一緒。(笑)

田嶋さん:大変だった瞬間はたくさんあったはずなのですが、今、この場にいる時点で大変なことを越えられたか、避けられたはずなので、その大変さよりも「楽しい」が勝ってしまいます。ただ一つだけあるとすれば、今マネージャーとしての立場で後輩に仕事を教えているのですが、人を育てることには難しさを感じています。

田路さん:私も同様で、世代ごとの考え方があり、教える側としても若い人の考え方を尊重し、個性を認めて、歩み寄らなければいけないこともあると感じています。

品質を向上させるために「学び」は必須

競合他社にはない御社の強みを教えてください。

田路さん:弊社の一番の強みは品質の高さです。すべてのプロジェクトにおいてディレクターを立てて、しっかり品質管理を行っています。それは会社設立当初から大切にしていることで、今でも受け継いでいます。技術や知識を高め合うために社内で勉強会を実施したり、外部の交流会に参加したり、他のクリエイターから新たな知識と人脈を得たり、率先して学ぶ者もいます。この業界は変化が激しいので、常に勉強と業務を両立させないといけません。私自身も休日を勉強の時間に充てています。

変化が激しい業界ということで、今後、3DCGはどう展開していくと予想されていますか?

田路さん:3D、AR、VRと毎年のように新しいコンテンツは増えているので、3DCGの仕事自体は増えることがあっても減ることはないと思っています。しかし、主流の形体は変わっていくと予想しています。3DCGにはプリレンダー※1とリアルタイムCG※2があって、リアルタイムCGの性能が進化しつつあるので、これからはプリレンダーが徐々に減少し、リアルタイムCGが中心になっていくと考えています。つまり、これから3DCGを勉強する人はリアルタイムCGを勉強する方が良いと思います。

※1 プリレンダリングの略で、あらかじめ生成された映像をつなげて、一つのシーンを作り出す3DCGのこと。
※2 リアルタイムで生成される3DCGのこと。

オリジナルのビュジュアルコンテンツを展開したい

会社としての将来のビジョンについて教えてください。

田路さん:今は受注業務を中心に行っているのですが、オリジナルのビジュアルコンテンツの制作にも目を向けています。先日、東京ビックサイトで行われた「デザインフェスタ VOL.47」において、弊社オリジナルのキャラクターを使った絵本を出展するなど、実用化に向けて開発を進めている段階です。まだまだ改善の余地はあると思っているので、場合によっては今のコンテンツ自体を見直して、更に新たなものを生み出すかもしれません。試行錯誤の段階ですが、必ず達成したいビジョンです。

最後に、クリエイターの皆さんにアドバイスをお願いします。

田路さん:仕事をするにあたって、まずその仕事が「好き」であることが一番大切です。そして、その好きな仕事に対して常に情熱を持ち、勉強し、業務を高い質で行っていく。そこを意識しているかどうかで、5年後、10年後に大きな差が出ます。スタートの段階でそれをクセ付けることが大切です。

田嶋さん:「おもしろいことができますよ」や「やりたいことができますよ」と耳ざわりの良い言葉で人材を確保しようとする会社がありますが、すべては自分次第です。会社がそうしてくれるのではないことを改めて理解して、本当の意味で、おもしろくて楽しい仕事に従事していただければと思います。

取材日:2018年5月28日 ライター:7omoya

株式会社D4A

  • 代表者名:木村 和宏
  • 設立年月:2005年2月
  • 資本金:10,000,000 円
  • 事業内容:CGソフトを使用した、ゲーム、映像、マルチメディアコンテンツの制作
  • 所在地:〒601-8414 京都府京都市南区西九条蔵王町30-1 三井生命京都南ビル
  • 電話 :(075) 661-388
  • URL:http://www.d4a.co.jp
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