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挑戦者であり続ける、アニメ業界の「まちこうば」

東京
株式会社ダンデライオンアニメーションスタジオ 代表取締役 西川 和宏 氏
2007年の設立以来、その確かな「技術力」で多くの作品を世に送り出してきたダンデライオンアニメーションスタジオ。その代表である西川 和宏(にしかわ かずひろ)氏は、ご自身もCGアニメーションディレクターとしてのキャリアを積まれながら起業し、会社の経営を続けてこられました。西川氏は、ダンデライオンについて「技術をもった職人たちが集まる、アニメーションのまちこうば」と表し、大量生産を求められる「工場」のようなものづくりではなく、「必要とされる技術」で表現する「まちこうば」であり続けることが大切だといいます。そんな西川氏に「まちこうば」であり続ける意味や目指す先について、伺って参りました。

CGアニメーションの世界と出会うまで

まずは現在、展開をされている事業について教えていただけますか?

主軸はもちろんアニメの企画・制作なんですが、我々の業務には「ブランディング」と「ライセンス」という、更にふたつの軸があります。まず「ブランディング」、キャラクターやアニメーションを使って「地域」「企業」「サービス」などをより発展させるためのブランディングをする事業を⾏っています。そして「ライセンス」、⾃分たちや日本で作られた作品を海外に輸出したり、まだ⽇本にはない海外の作品の権利を買って、⽇本やアジアで放映、商品展開などの2次使用のライセンスをしていくことを⾏っています。

それでは、起業されるまでのお話を伺っていきたいんですが、やはり昔からアニメがお好きだったのでしょうか?

子供のころから突出してアニメが好きというわけではなかったのですが、自分が好きで見ていた作品のエンドクレジットの中に共通して宮崎 駿さんや高畑 勲さんのお名前を何度もお見掛けするうちに、「アニメは誰が作っているんだろう?」ということには興味を持っていったんだと思います。その後、大学生になってからは「情報学部」に所属してコンピューターや情報処理を学んでいたんですが、就職活動の時期になってもまだ自分の進路についてピンと来ていませんでした。さすがにこれはまずいと思って、「自分は何に興味があるのだろう?」と考えた時に「映画産業」に関わってみたいと思ったのです。ある時、Yahoo!で「ハリウッド」と検索したら、「デジタルハリウッド」という専門学校が出てきました。その頃はまだ「アニメーション」というよりは、とにかくコンピューターを使って「映画産業」に関わりたいという思いで、大学卒業後にそのスクールへ1年間通って最低限のCG技術を習得して就職活動をしました。そして、入社したのが「VSL(現・ダイナモピクチャーズ)」というCG制作やモーションキャプチャー事業を行う会社だったのです。そこで、実写用のCGなどを制作していた時に、たまたま『銀河鉄道999』のイベント映像に関わったんです。その作品で監督をされていた細田 守さんと一緒にお仕事をさせて頂いて、実写でVFXを作るよりもCGでアニメーションを作るほうが面白いんじゃないかと思うようになって、そこから徐々に「CGアニメーション」という分野に絞って行ったという感じです。

それは、小さな「チーム」からの出発だった

いつごろから独立・起業ということを意識されたのでしょうか?

当時はまだアニメ制作現場の空気も「CGってなにができるの?」という感覚で、あくまでも2Dアニメーションの中でCGを部分的にどう使っていくかという時代でした。そんな中で、⾃分としては例えば「フルCG」作品などで、よりCGキャラクターを中心としたアニメーションというものを作りたいと考えた時に、独⽴してみようかと思うようになっていきました。そこで当時、会社や職種を超えて⾃分の考えに共感してくれた5人で集まって、まずは「⼩さい単位」でやってみようという所から始めた感じです。

CGディレクターの仕事をしながら、どのように経営の勉強をされたんですか?

起業当時は「経営」というものをさほどやる必要がなかったんです。というのも、最初の頃は、この作品のこの箇所をダンデライオンという「チーム」で引き受けて作る、といった感じでしたから。それが、だんだんとキャリアのあるスタッフだけでなく、新人スタッフたちも採⽤するようになって会社の規模が30名~40名に拡⼤してきたときに必要性に迫られて経営のことを考えるようになっていった感じです。

起業された当初、会社経営で苦労されたことはありましたか?

まず、経営者になったことで自分に求められる「守備範囲」が今までよりも圧倒的に広くなりました。いちクリエイターとして作品に関わっていた時とは違い、今までやらなくてよかったことにもぜんぶ関わっていかないといけないわけですから。でもそれは、自分だけでなく一緒にダンデライオンにやって来たスタッフたちにも求められたことで、それぞれの立場で苦労はしたと思いますが、結果的にそれが色々と新しいものを吸収できるきっかけになりました。例えば予算を考えて作品づくりをするようになったり、その為に作り方を工夫してみるなど、むしろその苦労から得るものの方が多かったと思います。

様々な作品づくりに必要な「誰か」がいる

ここまで会社が成長されてきた理由は、どのような所におありだと考えていらっしゃいますか?

成長ができた理由としては、大きくふたつあると思っています。ひとつは、一緒にいるダンデライオンのメンバーの一人ひとりが高いレベルで技術を持っているということ、そしてふたつめは「スタッフの多様性」というものがあると思います。みんなで画一的なものを作る、スピード重視で速く作るという組織や人ではなくて、それぞれの技術や表現の違いという多様性があるから、例えば「こういう作品で、こういうものを作りたい」となった時に、それに対応できる「誰かがいる」ということなんです。それは、技術的なこともそうですし、作品のテイストとか雰囲気も含めて、様々なものに対応できるということです。それからダンデライオンのメンバーには、一緒に作品をつくりながら「一緒に成長していこうというムード」があるんです。それが、人や作品の規模が拡大していってもダンデライオンとして安定したクオリティが提供できる理由なんだと思います。

「一緒に成長していこうというムード」はどういったところに、感じていらっしゃいますか?

初めからある程度上手い人とかキャリアのある人が入ってきて、一緒に仕事をするケースももちろんありますが、どちらかというと新卒などのキャリアが浅いうちに入って来た人たちが徐々に増えてきたときに、彼らのような技術的にまだこれからの人たちと「どうやったら一緒にダンデライオンとしてちゃんとした作品をつくることが出来るか?」ということを考えて、「一緒に成長していこう」という意識がだんだんと強くなっていったんだと思うんです。それに加えてなによりまだ、みんなが「自分たちはまだ挑戦の途中にいるんだ」という意識を共有していることが大きいと思います。

世界の子供たちにプレゼントを届けるために

ダンデライオンさんは「世界の子供たちにプレゼントを」という素敵なモットーを掲げていらっしゃいますが、そこにはどのような想いがあるのかをお教えいただけますか?

まず、ダンデライオンが「子供向け作品」にこだわる理由には「より多くの方々に見てもらえる作品をつくりたい」という思いがあります。子供向けの作品には、子供たちが大人と一緒に見ていても楽しめる、子供『も』見られる作品という意味合いもあると思うんです。親が「これは、うちの子供に見せたいな」とか、反対に子供が「これは、うちの親に見せたいな」とか思うような作品をつくっていきたいと思いますし、経営的な側面から考えても、より広く共感されるような作品づくりが重要だと思っています。そこで、今の日本の「少子化」や「大人向け作品の増加」などの環境的な背景を考えた時に、我々が日本だけでなく「世界」の子供たちに向けて作品をつくっていくという姿勢になっていったのです。そうして、弊社が設立10周年を迎えたときに社内外にその部分を明確に示して、今までのように単純に日本で作ったものを海外に輸出するのではなく、海外の企業と一緒に企画ベースから考えて作っていくとか、もう一歩踏み込んだ形で他の国の「文化」や「価値観」を取り入れながら物を作るということを、今はやっています。

「まちこうば」であり続けることの意味

ダンデライオンさんのHPを拝見すると、ご自身で「まちこうば」と表現されている会社の規模について、今後、拡大していく可能性に関してはどうお考えでしょうか?

そういう意味で言うとダンデライオンとしては、今後の規模拡張といったことはあまり考えていません。現在の約80人体制をさらに増やして会社の「体」を大きくするというよりは、同じような考えを持つ会社や個人の方たちといかに連携して「ものづくり」をしていくか、ということを考える方が自分たちにとっては自然だと思っています。
大量生産を求められる「工場」のようなものづくりは、我々には向いていないと思いますし、「必要とされる技術を磨いていく」ためにも「まちこうば」であり続けることが大切だと思っています。

今後、会社としてはどのような目標をお持ちでしょうか?

まず、我々は近い将来の目標として自分たちが制作する「劇場用映画」を作り切りたいと考えています。自分たちが中心となって制作した映画を国内外に「ダンデライオンの作品」として送り出し、しっかりと感動を伝えらえる成果を上げていくことが重要だと考えているからです。そして、将来的には映画やテレビシリーズを作り続けることで、世界中に「ダンデライオンアニメーションスタジオ」の作品ブランドが広がっていくことを目標としています。

起業以来、合同会社として活動を続けてこられた「ダンデライオンアニメーションスタジオ」は、本年3月20日に「株式会社 ダンデライオンアニメーションスタジオ」として新しくスタートされました。これを機に「クリエイター集団」という枠を越え、資本的、業務的にも今まで以上の体制を作り、「これまで実現できなかったこと」にもチャレンジされていくそうです。アニメ業界という大草原を勇敢に駆けてきたダンデライオンアニメーションスタジオが、設立12年目を迎えてさらに大きな「狩り」に旅立たれると思うと今後の展開が楽しみでしかたありません。 本日は貴重なお話をたくさん聞かせて頂き、ありがとうございました。

取材日:2018年2月23日 ライター:小山 真

株式会社 ダンデライオンアニメーションスタジオ

  • 代表者名:西川 和宏
  • 創立年月:2007年4月(2018年3月組織変更)
  • 事業内容:
    1.デジタルアニメーション映像及びアプリケーションソフトウェアの企画、制作及び販売
    2.劇場用映画、テレビ用映像及びソーシャルメディア向け映像の企画、制作及び販売
    3.知的財産権(著作権、商品化権、商標権等)の実施、使用、利用許諾及び管理
    4.キャラクター及びブランドライセンスにおけるコンサルティング及び開発
    5.販売促進用品及び玩具の企画、制作及び販売
    6.ビデオグラム及び音声ソフトの企画、制作、使用、利用許諾及び管理
    7.インターネットを使用した広告、サイト運営及び通信販売業務
    8.マーケティングリサーチ及び市場情報の調査、収集及び提供
    9.前各号に付帯する一切の業務
  • 所在地:〒178-0063 東京都練馬区東大泉2丁目7番地28号三慶第二ビル
  • URL:http://www.dlas.jp/
  • お問い合わせ先:Tel) 03-6904-5161、Fax 03-6904-5189
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