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スマートフォン向けゲームのUI/UXのノウハウから、全てのコンテンツをエンタメに―アイトラッキングを用いた独自のUI/UX分析技術に迫る

東京
B.C.Members 代表取締役 西田 悠貴 氏
スマートフォンが普及し、ソーシャルゲームが黄金期を迎えた2013年、スマートフォン向けゲームのUI/UXを手がけるB.C.Membersは誕生しました。B.C.Membersの代表取締役の西田 悠貴(にしだ ゆうき)氏は早くからUI/UXに目を付け、UXの検証方法としてアイトラッキングを用いた独自の分析技術を導入しました。なぜUI/UXに特化した事業を展開しようと思ったのか。西田氏にお話をうかがいました。

自分のやりたいことをやるために、大学在学中から起業しようと思っていた

まず会社立ち上げまでのキャリアを教えてください。

大学を卒業して半年でB.C.Membersを立ち上げました。今年で5年目になります。大学時代はアルバイトとしてPCのミニゲームやスマートフォンのサイト制作、ソーシャルゲームのアニメーション制作をしていました。大学卒業後はWebサイトの制作をしている企業に所属しつつ個人でも仕事を請け負っていました。その流れで起業したという感じです。

企業にお勤めになっていたということですが、なぜ半年で会社を設立しようと思ったのでしょうか?

ひとつは大学生の頃から自分で何かをやりたいという気持ちがあったからです。もうひとつは……。…勤めていた会社が倒産してしまいまして。その際に再就職や転職を考えなかったのは、自分にはやりたいことがあったからです。どんな仕事をしても、どんな形であっても、自分に何ができるかが大切だと思うのです。であれば、自分で責任をもって仕事ができる環境を用意してやった方がいいのではないかと思いました。

元からIT業界を目指していたのでしょうか?

はい。元々はゲームの仕事がやりたいという思いがありました。そんな中、スマートフォンが普及し、今後はスマートフォンの仕事が重要になっていくであろうと。起業した時からスマートフォン以外の仕事は考えていなかったです。

会社名の由来についてもお聞きしてよろしいでしょうか?

3つの単語から成っています。BがBest、CがCreative、そしてMembersです。最高よりも最良を目指したいという思いがあるのであえて、MostではなくBestを使っています。デザインにおいて、一番いいものって決められないと思うのです。日々変化し続けるソーシャルメディアにおいて、最高を作ろうとしても日々それが変わっていってしまうと思います。だから最高のものを作るより、最良のものを作るための会社でありたいと考えています。

独自のUI/UX分析技術でスマ―トフォンゲームのUXを考える

現在の事業内容について教えてください。

主にスマートフォン向けゲームのUI/UXの制作をしております。一応簡単にご説明いたしますと、まずUIは「ユーザーインターフェース」のことで、ソーシャルゲームの画面のデザインや画面の設計を考える業務になります。「ユーザーにどのような形でゲームに触ってもらうのか」を設計すると言うとわかりやすいかと思います。例えばゲーム上のアイコン等のパーツをデザイン・制作し、それをどこに配置するのか、タップした時にどういった動きをつけるのか、というところを考えます。

次にUXは「ユーザーエクスペリエンスデザイン」の略で、「経験デザイン」の事をいいます。ユーザーがどうゲームをプレイしていくのか、どのような心理状況になるのか、ユーザーの経験を想定したり、どのような経験をさせるか考えながら、画面の遷移設計、アニメーションの有無などをデザインしていく仕事になります。

ただ、経験をつくるといってもそのあたりは概念的なものになってしまうので、弊社ではアイトラッキングという技術を使ってUXそのものを目で見える形にして分析をかけています。

アイトラッキングについて詳しく教えてください。

アイトラッキングは、実際にユーザーがゲームをプレイしている時の目の動きを計測する技術です。
弊社では、記録データを元に動画を作成し、その情報をもとに分析をかけています。ユーザーがどこを⾒ながらプレイしたのか、それによってどんな経験を得たのか、こちらの予測した「経験」は正しいのかを分析し、修正・調整をかけていきます。

これまではゲームのリリース後、ユーザーレビューを見ながら調整をかけるのがソーシャルゲームの基本だったのですが、そうすると足が遅くなってしまうのです。昨今のソーシャルゲームは移り変わりのスピードが早く、リリース後に作り直すのは機会損失になってしまいます。そのため弊社ではまずプロトタイプを作り、アイトラッキングにかけて分析し、問題があればその対応をした上でシステムを当て、最も効果の出る可能性が高いUI/UXを構築しています。

なぜUI/UXの現場にアイトラッキングを採用しようと思ったのでしょうか。

まず、リリース後に書かれるユーザーレビューが本当か嘘かわからないという前提があります。例えば「迷ったけど、ゲーム上の機能を把握するうえではいいのではないか」という反応があったとします。これをそのまま分析すると、「多機能性を熟知し、使いこなした未来の自分」に対する期待価値が想定され、迷ったことをポジティブに結論をつけてしまう場合があります。これでは正しい分析手法にならないと考えました。

そこで弊社はアイトラッキングを導入し、分析結果をもとにレビュー内容を精査していく方法を選びました。目の動きは9割以上嘘がつけません。その結果、大切なのは良いか悪いかではなく、「迷った」という単語そのものであることがわかりました。アイトラッキングで分析するのはその迷い方です。俯瞰で画面全体をぐるりと見渡していた場合は「確認」をしている状態になりますが、ジグザグに速い視点移動をしていた場合は完全に「どこを見ていいのかわからない状態」に陥っています。これでは心理的な意味での「メンタル」を消費したことになり、ストレスを感じてゲームをプレイし続ける意欲がなくなってしまいます。このように、通常のレビューからの分析では「精度」を高めるのがとても難しいのですが、アイトラッキングならば確実なデータで細かい分析をかけて対応していけるのです。

アイトラッキングの技術はいつから導入されたのでしょうか。

2016年春頃からです。アイトラッキングの機材そのものは販売されています。日本ではまだ数が少なく、スウェーデンや、海外のゲーム企業では導入されるケースが多いようです。機材そのものはあるけど分析手法はありませんので、現在進行形で研究開発を進めています。

そもそもなぜスマホゲームのUI/UXに特化しようと思ったのでしょうか。

弊社は立ち上げ当初からゲームを筆頭にしたエンターテインメントの事業をやっていたのですが、昨今のスマートフォンのアプリ、そしてゲームはエンタメ性があまりないと感じていました。特に一般向けの機能アプリです。すごい技術を持ったものがたくさんあるのに、それらはほとんど使われていません。それは何故かというと、素晴らしいテクノロジーを使うユーザーはそもそもそのジャンルに興味があったり、誰よりも早く使おうと思うハイエンド層が多いからです。でもボリュームゾーンって普通の人たちなわけで、彼らにとって何が大切かと言うと、便利であること以上に楽しいかどうか、エンタメ性あるかどうかなのです。

今はテクノロジーを見せるだけのアプリしかありませんが、それにコンテンツと言う付加価値をつけてボリュームゾーンに普及していく、と。

そうです。それをやるにはデザインの専門会社が必要ですし、情報を的確に伝えるためには優れたUI/UXが必要です。いくらエンタメ性が高い画像を作ってもそれが伝わらなければ意味がありませんので。そういう思いからUI/UXに特化した事業展開を行うに至りました。

スマホゲームのUI/UXについての今後、これからをどのようにお考えですか?

より遊びが増えると思います。現状はスマートフォンの枠組みの中でできることで作っていますが、技術力や端末のスペックそのものが変化し、できることが増えていくと思います。スマートフォンで出来ることが増えた以上はあらゆる多種多様な遊びができようになるわけで、その遊びの部分を独自で作れる会社が残っていくのではないかと思います。そうなると、UXに強い会社は市場的にも強いでしょうね。最近では大手企業でもUXデザイナーを採用し始めたと聞きます。UXができる人材を確保し、ノウハウを蓄積していける会社が伸びていくのかなと思っています。

全てのスマ―トフォンアプリをエンターテインメントにする

今後、B.C.Membersをどのような会社にしたいとお考えですか?

スマートフォン向けのゲームのUI/UXの専門会社というのは続けていきますが、先にもお話した通り、最終的にはスマートフォンのコンテンツ全てのUI/UXを担当する企業にしていきたいと思っております。現在のUI/UXはよりシンプルに、よりわかりやすい、より直感的に、フラットにと進化してきたのですが、シンプル故にやればやるほど飽きやすくなってしまい、結果、楽しむということががなくなってしまったのではないかと考えています。だからこそ、現在、弊社が行っているエンタメのノウハウを活かしてあらゆるコンテンツに展開していきたいと思っています。あまりゲームの枠組みに縛られず、全てのコンテンツにエンターテインメントを付加していく。全ての人がもっと便利なテクノロジーに触れるように、触りやすいように、触りたくなるようにしていくのが弊社のミッションであると考えています。

一緒に働くスタッフに対して、会社としてどのようなことを求めてますか?

UI/UX専門にできる人材がそもそも少ない。これからUI/UXのデザインをやっていきたいという方に対して求めるのは、「誰のためのデザインであるのか」「何故作るのか」の答えを自分の中に持っていること。そしてそれを考え続けられることではないかと思います。

取材日:2017年8月3日 ライター:みかめ ゆきよみ

B.C.Members

  • 代表者名:代表取締役 西田悠貴
  • 設立年月:2013年4月
  • 事業内容:デザイン制作/コンテンツ/ゲーム/Webサイト/アプリ等
  • 所在地:〒194-0031 東京都町田市南大谷82-1 2F-A
  • URL:http://bcmembers.com/
  • お問い合わせ先:上記サイトのお問い合わせ欄よりお問い合わせください。
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