WEB・モバイル2017.07.12

キラリと光る独自のアイデアが、新たなつながりを生み出す最強の営業ツール

京都
株式会社フィールド 常務 田伏 辰也 氏
グラフィックデザインを中心に、ホームページ制作などを行う株式会社フィールド。ポップなご朱印帖をメインとした商品開発で祇園祭を盛り上げる「乙女の祇園祭」に代表される、発信型のプロジェクトにも精力的に取り組んでいます。元々デザイナーとして15年前に同社に入社し、さまざまなプロジェクトを手がけるとともに、会社の仕組みづくりにも注力してこられた常務の田伏辰也(たぶし たつや)さんに、ご自身の入社のきっかけから、会社としての今後の展望までお話を伺いました。

「全方位良し」のみんなが喜ぶ仕事をしたい

入社されたきっかけについてお聞かせください。

私は元々デザイナーとして、主にグラフィックデザインに軸を置いて仕事をしていました。前職も広告やデザインに携わっていましたが、かなり過酷な環境で、忙しい時は1週間くらい帰れなかったことさえありました。ある日、その環境で一生働くことはできないと気付き、退職して一から就職活動を行い、フィールドへ中途採用で入社しました。その当時のフィールドは、社員数3名の会社で、私ともう一人の社員が入社して5名になりました。人数が少なかったうえ、デザイナーの経験が3年あったので、即戦力としてお仕事をさせていただきました。スタッフの声をよく聞いてくれる経営者で、風通しの良さもあって、会社の成長とともに自らを成長させられる会社だと肌で感じたことを覚えています。

社名の由来を教えてください。

子どもの頃、自分の知っている範囲というのはすごく狭いですよね。例えば、近所を探検した時に、目の前にある壁の向こうや道の先には何があるんだろうと、よじ上って覗いたりした経験がありませんか?そういった、自分の知らない世界に対して常に興味を持ちながら広げていく姿勢。新しいフィールドを常に開拓していくこと。これがフィールドの社名の由来です。

企業理念の「喜ぶ人をデザインする(仕事を通じて関わり触れ合うすべての人の喜びをデザインする)」はどういった思いで創られたのですか?

この理念を定めたのは、今から10年くらい前です。経営者の意見はもちろん、私自身の思いも反映されています。私がこの仕事を続ける意味や理由、やりがいについて聞かれた時の答えが「デザインで人を喜ばせたい」だったんです。相手は、仕事をご依頼いただくクライアントはもちろんですが、それだけではなく、周りの人すべてです。実際にご依頼いただく仕事ってクライアントの先にいるユーザーやクライアントのお客様をターゲットとしていることがほとんどです。その人達を喜ばせることを考えて取り組まないと良いものはできないと思います。
さらにクライアント側だけではなく、一緒に働く社内のスタッフや経営者、外部ブレーン、スタッフの家族まで共に喜べるような仕事をしていきたいという思いが込められています。

ともに喜べる仕事をするために社内で何か取り組まれていることはありますか?具体的な例を挙げてお話いただけますか。

月に1日程度土曜出勤があり、その土曜日の活用の仕方について年ごとにテーマを決めています。ある年は「まかない食堂」というテーマで、毎月土曜出勤の日に料理を作ってみんなで食べるという取り組みをしました。料理の作業工程が実際の仕事の作業工程と似ているところがあって、下準備が大事だったり、コミュニケーションをきちんと取らなければならなかったり、実務と少し違うところでの「学び」を促す側面もありました。

請負のみならず、自らが発信するプロジェクトにも注力する

現在の事業内容についてお聞かせください。

メインの事業内容は取引先からの請負です。ウェブやグラフィックのデザインをメインに、様々な要望にも対応しています。もちろん、ブランディングや企画、取材・編集といったこともご依頼いただいています。
デザイン会社としてクライアントからご依頼いただく仕事もありがたいですし、すごくやりがいがあるのですが、自分たちから発信できるプロジェクトにも取り組んでいます。その代表的なものとして、今年で6年目になる「乙女の祇園祭」があります。四条烏丸に事務所のあるこの環境を活かして何かできないかと考えたことからスタートしました。社寺でいただけるありがたい御朱印と同じように、祇園祭の各山鉾にも御朱印があり、ご朱印帖も販売されていました。しかし、若い世代の方々にはあまり知られていなかったので、女性をターゲットに「伝統だって、かわいくなくちゃ」というキャッチコピーで盛り上げようとして始めたのがきっかけです。「乙女のご朱印帖」というメイン商品を中心に手ぬぐい、懐紙(かいし)、ポストカード、ワッペン、鉾カードなど商品を毎年増やしています。今年はマスキングテープが新たに加わります。
ほかにも、写真を楽しむ人がアクティブに集まる広場 "PHOTO SQUARE"(https://www.photo-square.jp/)というプロジェクトで写真・カメラに関する情報発信や撮影会、企業との連携によるイベント企画などを行っています。

実際に「乙女の祇園祭」のグッズを拝見して、「伝統」という堅いイメージが覆されるような可愛さですが、アイデアなどは社員の皆さんで考えられているのですか?

このプロジェクトのメインスタッフは6年前から携わっています。もちろんスタッフ間でアイデアを出し合い、新たなグッズや売り場の装飾などを行っています。毎年、スタッフ構成は変化していますが、今年は「乙女の祇園祭」のサポートスタッフのアルバイトをFacebookで告知をしたところ、大勢集まってくださいました。
祇園祭が最高潮を迎える7月12~16日の5日間は、オフィスの前(ヤサカ四条烏丸ビル前)にブースを設けて「乙女の祇園祭」グッズを販売致します。(サポートスタッフの皆さんには売り子としてお手伝いいただきます。)
また、オンラインショップでも好評販売中ですので、こちらぜひチェックしてみてください。
「乙女の祇園祭」:http://www.otomenokyoto.com

お客様からの反響についてはいかがですか?

毎年、委託販売先も増え、ワークショップなどのイベント("オリジナルご朱印帖を作ろう"など)も開催していますので、反響としては上々かと思います。受注制作の仕事について取引先で話したりすることもあるのですが、こういったプロジェクトを自社発信でやっているという話をすると、プラス方向のいろいろな意見を聞けるのでいいですね。これらの取り組みが弊社の広報にもつながり、新たなお仕事につながっていると感じることもあります。

営業職がいない分、独自のアイデアや取り組みで自社をアピール

ホームページに、ウェブサイトやグラフィックに関する「無料相談会」という窓口を設けていらっしゃいますが、どういったきっかけで、いつ頃スタートされたのでしょうか?

デザインの相談って、普段からそういった仕事などをしている人は、当たり前のように問い合わせていただけるのですが、知らない人にとっては弁護士相談みたいに「相談費用がかかるんじゃないの?」と思われていると聞いたんです。元々無料なのですが、そこであえて「無料相談会」とうち出すことで、その敷居を下げようとした試みです。
昨秋に、はじめは1ヶ月だけ試しにやってみたのですが、公開して一週間で2件の連絡をいただき、継続して掲載することにしました。こういった実験的なことができるのも、Webの利点だなとつくづく思います。

お仕事はどういったルートで受注されることが多いですか?

既存の取引先からのリピートのご依頼、取引先からのご紹介、Webサイトからの直接のお問い合わせ、といったルートがほとんどです。特に、Webサイトの制作に関してはWebサイトのお問い合わせから、ご連絡いただくことが多いです。
もともと、弊社は営業の専門スタッフを設けていないので、全員が制作に関わっています。逆にいえば営業が苦手と言えますので、アイデアや取り組みで営業力の弱さをカバーしているのかもしれませんね。

"ワクワクする"取り組みで、より魅力的な会社に

今後の展望についてお聞かせください。

京都でデザインの仕事を20年やってこれたのは、お取引先、スタッフなど関わった全ての方のおかげと感謝しています。今後も着実にメイン事業を行うのはもちろんですが、今まで以上に魅力的な会社に成長させるために、「乙女の祇園祭」のように、ワクワクする発信型のプロジェクトも行っていきたいと考えています。毎年、社内向けのテーマというのがあり、今年は、喜び、驚き、期待、緊張、わくわくといった要素が含まれています。

一緒に働くスタッフに対してどのようなことを求められますか?

行動指針の中の1つ。「シンプルに考える(広告物から日常までその意味や目的を理解したうえで、本当に必要なもの・ことを見抜いて行動する。)」ことです。デザインをする上でも必要な考え方ですが、取引先や社内といったあらゆる対話や“コミュニケーション"でも同じことが言えます。
行動指針にはさらに6つの項目があり、私がとくに紹介したいのは「よく遊び、よく働く」という項目です。弊社は元々仕事とプライベートのバランスが取れるような働き方を理想としています。変形労働時間制という制度を昨年から導入し、「残業のない会社を作る」という方針を立てています。仮に残業をおこなったとしても、1ヶ月の中で労働時間を短縮する日を作って、トータルで残業がないようにするという制度です。
デザイナーはパソコンの前でデザインを作っている時は、アウトプットの時間なので、デザインの引き出しは増えません。インプットを増やすために、プライベートを充実させて、自分のデザインの引き出しや企画のアイデアの引き出しを増やす時間に使ってほしいと考えています。

取材日:2017年6月19日 ライター:垣貫由衣

 
株式会社フィールド
  • 代表者名:代表取締役 岡田 剛和
  • 設立年月:平成9年2月
  • 資本金:6,000,000円
  • 事業内容:グラフィックデザイン・DTP制作、ホームページ制作、コンテンツ企画・提案、データベース構築・プログラム開発、出版
  • 所在地:〒600-8009 京都市下京区四条通室町東入ル函谷鉾町79 ヤサカ四条烏丸ビル5F
  • URL:https://www.fieldcorp.jp
  • お問い合わせ先:075-251-0577
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