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大切にしているのは、クライアントの思いや強みを丁寧に汲み取ること。広告デザインからトータルブランディングまで手掛ける信頼感

仙台
榎本デザイン事務所 榎本幸弘 氏
才能豊かな仙台のクリエイターが集う「クリエイティブ・シェア・オフィス TRUNK※1」の一角にオフィスを構える『榎本デザイン事務所』の代表・榎本幸弘さんは、学生時代にデザインを学び、企業で広告デザイナーとして研鑽を積んだ後、フリ―ランスで活躍しています。いつもにこやかで、穏やかな人柄同様に、クライアントの思いにしっかりと寄り添い、企業の魅力を最大限に表現する広告物を世に送り出す榎本さん。その実力と信頼感はクライアントから高く評価され、一つの広告物の制作からはじまった依頼も、いつの間にか企業のトータルブランディングまで任される関係性に発展していることが多い。今回は、独立の経緯から今携わっているお仕事、そして今後の展望まで、たっぷりと聞かせていただきました。

※1 卸町(おろしまち)から、クリエイティブとテクノロジー、アートのコラボレーションによる新しいビジネスモデル、ライフスタイルを生み出していくことを目的に、ホテルをリノベーションして造られたクリエイター向けシェアオフィス。

将来設計と自分に合う働き方を考えて、会社員からフリーランスへ転身

まずは立ち上げまでのキャリアについて教えてください。

私はデザイン系の専門学校を卒業した後に、地元・山形の印刷会社へ広告デザイナーとして就職し、同社の仙台支店への異動も経験して退職。それからフリーランスで広告などのデザインを手掛けたり、絵を描いたりしながら活動していましたが、縁あって仙台の広告デザイン会社に勤めることになりました。そこで広告デザイナーとして経験を積み、2012年の後半に独立して自宅を拠点にフリーランスとして活動をはじめました。個人事業主なので、まだ法人ではありませんが、その時に『榎本デザイン事務所』という屋号をつけたんです。

仕事においてもプライベートにおいても、将来のことを考えるタイミングにさしかかり、別の働き方を探るなかで、結果的に独立を選ぶことになりました。「独立したい!」という強い意志があったわけではなく、いろいろ選択していく中で、最終的に今の道を選んだ感じです。

それから活動をする中で、『とうほくあきんどでざいん塾』という、中小企業とクリエイターをマッチングする活動などを行う団体とお仕事をすることになり、そちらの活動報告書のようなハンドブックを作るお仕事に携わらせていただきました。それから、彼らの活動拠点である「クリエイティブ・シェア・オフィス TRUNK」を紹介いただき、このオフィスを借りることになりました。

実際に独立されて、いかがでしたか?

一人ですべてをやらなければいけない大変さはありますが、自分にはこの働き方が合っていると感じます。多くのスタッフが働く環境より、自分一人の空間でじっくり向き合いながら作業をする方が向いているタイプなので(笑)。でも、フリーランスの中には、この思いに共感してくださる方が多いので驚きました。あと、もう一つ感じたのは、フリーランスで活動する方がチームを作りやすいということ。「個々で活動しているのに、なんのチーム?」と思われるかもしれませんが、例えば、1つの広告を作るのに、写真ならカメラマン、コピーならライター、同じ広告デザイナーでもそれぞれの得意分野をいかして担当を振り分けるなど、お互いの強みを活かしたチームを作れるのです。

一つの広告物の制作から、トータルブランディングまで発展する信頼感

現在のお仕事内容について、教えていただけますか?

グラフィックデザインがメインで、最近はエディトリアルやパッケージなども数多く手掛けております。あとはロゴや名刺から始まり、商品のパッケージなど、企業のトータルデザインやブランディングを任される機会も増えてきました。最初は1つの分野から始まりますが、いつの間にか全部やっていたということがよくあります。現在、取引のあるクライアントはほとんど過去の仕事からの広がりです。

デザインを通して、地元企業に関わることについてどう思われますか?

これは前職の頃から感じていたのですが、地元の中小企業やこの卸町で商売を営んでいらっしゃる方々は、高いポテンシャルをお持ちです。しかし、広報活動の手段が分からず、積極的に行っていなかった分、自社の強みを打ち出せてない企業様が多く見受けられます。しかし、広報活動をお手伝いさせていただき、提案を受け入れてくださって、実際に効果が出ると「お手伝いできて良かった」とうれしくなります。

素晴らしいですね。そこから広がる関係性もあるのでは?

そうですね。ロゴ・封筒・名刺などのデザインから始まって、店舗の建築相談まで受けることもあります。実際に私が設計を担当する訳ではありませんが、「誰かいないか」という相談を受けて、自分が紹介できる範囲のプロを紹介しています。規模が大きくない企業の場合、それぞれのジャンルごとに誰かに頼むのではなく、一人に頼むほうが楽なため気づけばすべての相談窓口になっています。とてもありがたいお話です。

仙台の伝統漬物をデザインのチカラで“女性に選ばれる仙台土産”に

新しい仙台土産をデザインされていると伺いましたが。

昨年携わらせていただいたプロジェクトで、先ほどからお話している『とうほくあきんどでざいん塾』のハンドブックのページデザインを、3年分担当しているのですが、2017年版はいろいろなクリエイターが携わってデザインを考えるという、新しい取り組みをしました。その中の巻頭特集で紹介されている、仙台の漬物製造会社・岡田食品工業株式会社の新商品開発のプロジェクトです。こちらの企業様とは数年前に、パンフレットやホームページリニューアルのデザインを担当させていただいた繋がりがあり、今回『とうほくあきんどでざいん塾』との協働で「新商品を開発しましょう!」という話になったんです。女性をターゲットに漬物を“仙台のお土産として、どうやって女性に持って帰ってもらえるか?”ということを考えて、売り上げ分析・モニター試食・ネーミング・梱包などを考える中で、おしゃれで持ち運びの楽なコーヒーカップのような紙コップ容器に、仙台の伝統的な漬物である長なすの漬物を入れようということになりました。私はデザインを考える際に、パステルカラーで選ぶのが楽しくなるように考え、紙コップを製造している会社に印刷を依頼しました。また、『仙台季香(SENDAI KIKOU)』という商品名は、仙台の地元野菜を使った季節の香の物(漬物)をコンセプトに、旅の思い出になるような紀行という意味も含めて考案されました。それから仙台駅のお店でも販売することになり、ターゲットである女性たちに選ばれ、売り上げも伸びているということなので、力になれて良かったと思います。これからもこのような仕事にどんどん携わっていけたらと思っています。

今後の展望について教えていただけますか?

これまでフリーランスとして一人でやってまいりましたが、今後は法人化も視野に入れております。共に働いてくれるスタッフを雇うのであれば、社員一人ひとりのライフスタイルに合わせて働きやすい職場環境を作り、デザインを通して企業をサポートしていきたいと思っています。あと、まだ具体的には決めていませんが、自分でデザインした商品を作って販売したいですね。自分が販売に携わることで、その難しさや楽しさを、販売者目線で感じてみたいという考えもあります。

デザインの仕事をする上で、心がけてらっしゃることはなんですか?

デザイナーは情報を伝達する職業だと思うので、なるべく発注いただくクライアントからできるかぎりの情報をヒアリングし、クライアントにとって強みとなる大事な部分をつかめるように心がけています。お話をしっかりと伺い、丁寧なコミュニケーションを取ることを、これからも大切にしていきたいと思っています。

取材日: 2017年6月9日 ライター: 桜井玉蘭

榎本デザイン事務所

  • 代表者名(ふりがな):榎本 幸弘 (えのもと ゆきひろ)
  • 設立年月:2012年
  • 事業内容:グラフィックデザイン、エディトリアルデザイン、パッケージデザイン、企業のトータルデザインやブランディングなど
  • 所在地:宮城県仙台市若林区卸町2-15-2 卸町会館5F TRUNK #43
  • お問い合わせ先: TEL)090-9108-7504 mail)y_eno9@nifty.com
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