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VR体験で衝撃を受け、開発会社を起業 “VR専業”で成功を目指す

東京
ベイオウルフ株式会社 代表取締役 森 邦彦氏

ベイオウルフ株式会社は2016年4月より本格的に活動を開始したソフト開発会社で、ヘッドマウントディスプレイを利用したVRコンテンツの開発を専業としています。第1作目として、ハムスターになって女の子の部屋を探索するアクションVRゲーム『SPOT(スポット)』を制作。オンラインのソフト販売サイト「ベクター」や「Steam」にて配信し、東京ゲームショウ2016のVRコーナーにも出展するなど精力的な活動を行っています。VRのどこに魅力を覚えたのか、どのようなVRコンテンツを作っていきたいのか。大手ゲーム会社でゲーム開発に携わっていた代表取締役の森邦彦(もり くにひこ)さんに、会社立ち上げの経緯や将来の目標について語っていただきました。

「人生を変えられた」VR体験 自分で作ってみたいと開発会社を立ち上げる

ず、これまでのキャリアをお聞かせください。

大学卒業後にセガ(現、株式会社セガゲームス)に入社しました。そこをキャリアのスタートとして株式会社バンダイナムコゲームス(現、株式会社バンダイナムコエンターテインメント)、株式会社スクウェア・エニックスといった大手ゲーム会社でゲーム開発に携わってきました。セガでは『ソニックアドベンチャー』、『プロ野球チームをつくろう!』、『ジェットセットラジオ』。バンダイナムコでは『鉄拳6』。スクウェア・エニックスでは社内で使うゲームエンジンのネットワーク周りの開発をしておりました。

業を思い立った経緯を聞かせていただけますか?

2016年のアタマくらいにバーチャルリアリティ……VRを初めて体験したんです。ちょうど横浜を散歩していたときにVRの体験会をパシフィコ横浜でやっているというのを聞きまして、ちょっと見てみようと思って行ってみたところ、「これはすごいな!」となりまして、自分もVRの開発をやってみたくなって起業にいたりました。

VRのどういったところに魅力を感じられたのでしょうか。

やっぱり圧倒的なまでの没入感ですね。私が体験したのは戦場で兵士たちが戦っている空間に自分も入るという、VRメーカーがサンプルとして出していたデモ的なものだったのですが、本当にその空間にいるのだと、ものすごく強く感じました。そこがVRの一番の魅力です。あれには本当に人生を変えられましたね。実は、それまで起業志向はそれほど高くはなかったのですが、VR体験で受けた衝撃の勢いで会社を作ったという感じです。

フェイスブックで社員を募集 VRに特化したソフトウェアメーカーを目指す

社名の由来を教えていただけますか?

ちょっと恥ずかしいんですけれども、高校生のときに『銀河英雄伝説』(徳間書店)という小説にハマって、そこに出てくる戦艦の名前からとりました。

タッフはどのようにして集められたのですか?

フェイスブックで「VRの開発会社を興すので、一緒にやってくれる人はいませんか?」とつぶやいてみたんです。そうしたら、けっこう反応があって、ちょっと面接みたいなことをして社員3名でスタートしました。その後、立ち上げ時のメンバーが1人辞めましたが、新しく1人入ったので、現在も社員数は3名です。みんなVRに可能性を感じて集まってきた仲間たちです。

初から完全に「VRありき」だったんですね。

そうですね。ですから、今のところVR以外のソフトを作る気はないんです。

まざまなVR用ヘッドマウントディスプレイが発売されましたが、どのマシンでのコンテンツ提供を考えておられますか?

PlayStation®VR、Oculus Rift(オキュラスリフト)、HTC Vive(エイチティーシーバイヴ)の3つに提供しますが、メインのターゲットはプPlayStation®VRになります。Oculus RiftとHTC Viveは両方合わせても実売が20万台ほどですが、PlayStation®VRはすでに240万台くらい売れていますので、ここに一番力を入れたいと考えています。

VRのスマホアプリの開発は視野に入れられていますか?

個人的にはやりたいと思ってはいます。会社として、一度みんなで議論したいところですね。

社時間などは社員の裁量にある程度任せているとお聞きしましたが。

勤務体系は裁量労働制で1日1回でも会社に顔を出せば出勤したとみなすという形をとっています。

第1作『SPOT』の手応えと次回作の構想

社が開発された『SPOT』ですが、このタイトルを制作しようと思い立った経緯を聞かせていただけますか?

企画担当の者から「ハムスターになって女の子の部屋に潜り込んで、その女の子とちょっと触れ合える」みたいなゲームを作りたいという話があって、1本目なので、企画担当の者のしたいようにさせようと思い、「じゃあ、それをやってみましょう」ということになりました。

さん自身は開発には関わらなかったのですか?

私は資金調達に専念していたので、開発には手が回りませんでした。

営者の立場に専念しておられたわけですね。

やってみて分かったことですが、経営者の仕事は大変です。一番大変だったのは資金調達の部分ですね。自己資本はありましたが、それだけではあっという間に尽きてしまうので、投資家に投資してもらったり銀行に融資してもらったりして、なんとか乗り切ってきたというところです。

タッフに企画・開発を任せた『SPOT』ですが、内容面についてどのように評価されていますか。

ちょっとゲーム性が弱いかなと思います。今一緒に働いているスタッフはVRにはすごく強いんですが、ゲームのプログラムを作ったことがなかったんです。だから、ゲームプログラマーとしてずっとやってきた私から見ると、少し詰めが甘いんですよね。猫やハムスターの動きなんかは、「こうすればもっと良くなる」というのがあるんですよ。ですので、次回作は僕が企画して社員にはアシスタントに付いてもらうという形で開発を進めていきたいと考えています。

でに次のタイトルの開発をお考えになっているのですね。

そうですね。『SPOT』で得られた知見やノウハウがありますので、それを次の作品で活かしたいと思っています。VR酔いを起こさないためにはどうしたらよいかというのも、いろいろ試行錯誤しながらやってきましたので、次に活かせるかなと感じています。

のようなゲームを構想しているのか、よかったら教えてもらえますか?

幕末を舞台にした一人称視点のFPS(ファーストパーソンシューター)※1を作りたいと思っています。幕末っていろいろな有名人がいるじゃないですか。坂本龍馬から始まって新選組とか、薩摩の勢力とか、長州の勢力とか。そうした組織のいずれかに自分が属して、敵対する陣営と斬り結んでいくみたいなものを考えています。

※1プレイヤーが操作する主人公の視点でゲーム内の世界や空間を移動するスタイルのゲームのこと。

末を舞台にしたチャンバラですか。

そうです。PlayStation®Move(※2)を使えばゲーム中での「斬る」というアクションを体感できます。PlayStation®Moveのようにゼスチュアで操作できるデバイスのほうが断然、没入感も大きいですから。

※2 PlayStation®用の体感型モーションコントローラー。

リースはいつ頃を予定されていますか?

開発自体はすぐに始めようと思っています。期間は半年を見込んでいます。2017年の夏くらいには出したいですね。

はり国内市場がメインのターゲットになるのでしょうか?

PlayStation®4が一番売れているのが北米・欧州になりますので、海外市場も視野に入れたいですね。まずは国内で売って、その次は海外という2段階方式を考えています。日本で販売後いろいろなフィードバックがあるはずなので、それを取り入れて北米・欧州で売るという感じにできればいいのですが。

売れるVRソフトを作って会社を大きくしていきたい 夢は大きく「ライバルはコロプラ」

社としての今後の展望・目標をお聞かせください。

PlayStation®VRで売れるソフトを作るというのが第一の目標ですが、将来的にはVRのコンテンツをたくさん出して会社を大きくしていきたいです。一方的ではありますが、ライバルはコロプラ※3と考えています(笑)。

※3『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』、『白猫プロジェクト』などの大ヒットアプリゲームを開発していうソフトメーカー。

気ですね。もしかして意外と野心家だったりしますか?

いや、そうでもないと思うんですけど……。ただ、やっぱり会社を大きくして、「コロプラ? いやあ、ウチのほうがいいよ。」みたいになれたらいいなあと思ってはいます(笑)。そういう意味での野心はありますね。

来、VR以外の分野にも進出するということはありえますか?

VRのマーケット自体がどのくらい大きくなっていくのか、まだ見えていないですよね。「VR元年」という言葉だけが先行していて、実際にVRの市場が予想どおりに成長していくかどうかは未知数だと思っていますので、会社を大きくしていく中で、VRではないタイトルも作っていくことはあるかとは考えてはいます。

営者と開発者、どちらに軸足を置きたいと考えておられますか?

ゲームのプログラマーをずっとやってきたので、正直「(ゲームを)作りたい」という思いが大きいです。なかなか今はできていませんが、事務的な処理などを外注さんにお願いする方向で調整して、次のタイトルからは経営もしながら開発もできるようにしたい思っています。

はりゲーム作りに直接関わっていたいと。

そうですね。クリエイターとして「VRを作りたい」という思いがあって起業したわけですから。今のところパブリッシャーからの受託開発も考えていません。基本的に自社のタイトルで勝負していきたいと思っています。

取材日:2016年12月28日 ライター:仁志 睦

ベイオウルフ株式会社

代表者名(よみがな):代表取締役 森 邦彦(もり くにひこ)
設立年月:2013年7月
事業内容:VRコンテンツの開発
所在地:神奈川県横浜市中区山手町13-1サンライズ山手B号室
URL:  http://www.beio-wolf.com/
お問い合わせ先:上記HPの「お問い合わせ」より

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