「上で会おうぜ!」を合言葉に 気の合う仲間が集まる「部屋」から、 突き抜けた企画が生まれる

東京
株式会社RBP 代表取締役 永野 豪氏
映像制作、セミナー、イベント事業などを手がける株式会社RBP。代表取締役・永野 豪さんは、学生時代から仲間と数々の伝説(?)を作り上げてきたといいます。そこで味わった達成感が忘れられず、仲間が集まる場所「部室」を作りたいと始めたのがRBP。「上で会おうぜ!」を合言葉に、人と人との繋がりを大切にしてきた永野さん。人を楽しませるエンタメ精神と、時間や約束に厳しい高いプロ意識、そしてクリエイターを大切にするお人柄から生まれる、ユニークでPOPな世界観を体感してきました。

「学校が面白くないと感じるなら、自分たちで面白くしろ」

RBP設立以前は、テレビ番組制作をされていたとのことですが、テレビ業界を選んだ理由を教えてください。

株式会社RBP 代表取締役・永野 豪さん

中学時代にまで遡ります、PTA会長に「学校が面白くないと感じるなら、自分たちで面白くしろ」と言われたことがあり、それに衝撃を受けて、当時、『スクール・ウォーズ』の再放送に影響されていた僕は、仲間とラグビー部を立ち上げました。高校でも、3年間ラグビーを続けましたが、進路を決める時に「自分には何があるんだろう」と思い、誰もやっていないことをやりたいと、男20人の仲間を集めて劇団を作り、センター試験5日前にオリジナルの脚本で芝居を上演しました。その時の達成感から表現することに目覚め、大学では演劇サークルに入りました。高校時代に味わったあの達成感から「気の合う仲間と行動して、伝説を作りたい。その結果、生きている手ごたえを感じたい。形にしていきたい」という思いがあって、仕事にするなら収入と表現の2つの要素が揃っていないとダメだ!と思いました。それを実現できるのは、広告かテレビ。当時『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』が大好きで、プロの完成した笑いではなく、素人を面白く見せるのが好きでしたので、テレビ制作会社に入社しました。入社後は、一般の人たちをフィーチャーしたバラエティ番組を作っていました。

独立を考え始めた時、どのような心境の変化があったのですか?

組織には型があって、その中で構成も編集も直され、オペレーターのように作業し続ける状況が苦しくなってきた30歳の頃、身の振り方を考えました。 ちょうどその頃、親友の結婚式のためにドッキリ系の動画を作りました。会社の仕事でさえ忙しいのに、台本を書いて、ロケをして、徹夜で編集して(笑)。ところがDVDを持ってリハに行ったところ、映りません。ファイナライズをし忘れたのです。さすがに青ざめました。諦めきれず、仲間と一緒にデッキを探して奔走しました。結婚式が行われたのは、友人の地元である地方都市。知らない土地で民家を当たったり、カスタマーセンターに電話をしたり。最後の1件がダメだったら新幹線で一度帰って2次会までに戻って来ようと、最後にダメ元で入った駅前の不動産屋に事情を説明したところ、リサイクルショップを教えてくれ、そこにあった型番違いの同じメーカーのデッキで、なんと再生できたんです。泣きそうになりましたね。奇跡的に、ギリギリ間に合って友人からはとても喜ばれました。仲間と一緒にトラブルを乗り越えて結婚式が成功した、その達成感は仕事よりもずっと大きいものでした。帰りに仲間と褒め合い、テンションが上がり過ぎてホームを間違えて、新幹線を逃すほどでした(笑)。ラグビーや演劇で感じた、自分たちで作り上げて得る達成感がよみがえり、これを仕事にしたいと思いました。

オフィスではなく「部室」。 仲間が集まって夢を語り合い、ビジネスが生まれる場所

※画像/「RBP」ロゴマーク (キャプション)RBPとは、社名のRPBは、Relation Between People(人と人の繋がり)の略。

社名のRPBは、Relation Between People(人と人の繋がり)の略。

 

独立に向けて、何か具体的なきっかけがあったのですか?

友人がカフェバーをオープンしたことが、決定的な刺激になりました。お客様一人一人に挨拶をする充実した様子の友人を見て、やりたいことを形にしたその姿に「自分は何をやっているんだろう」と打ちのめされました。自分も学生時代のように、集まって語り合って、そこからビジネスや夢が実現できる居場所=「部室」を作りたいと思いました。独立する前にまず人脈を作ろうと、サークルからスタートしました。自分の力だけでは無理なので、仲間の力があればと思いました。それがRBP="Relation Between People" (人と人の繋がり)です。

サークルを作ってから会社設立までを教えてください。

イベント続きでパーティみたいに楽しかったですね。「次は1,000人くらいの規模で大人の文化祭をやりたい」と居酒屋で盛り上がって「場所は赤坂BLITZとかSHIBUYA-AXで」とシャレで話していたら、翌朝、後輩から「赤坂BLITZ仮予約できました」と連絡が来て、この時は、さすがに、テンションが上がりました。個人で赤坂BLITZを貸し切ったのは、僕が初めてだったそうです。それまでサークル活動と仕事を両立してきたのですが、「これは腹をくくらなきゃダメだ」と会社を辞めました。 イベントに向けていろいろな人に会って、夢を語る中で、最終的には世の中でくすぶっている人の背中を押したいと思いました。学生時代からの合言葉、「上で会おうぜ」は、「一人一人がそれぞれの分野で成長して、突き抜けて、上で会おうぜ」という意味です。モデルやお笑いタレント、アーティスト、女子プロレスラーなど総勢200名以上がイベントへの参加を表明してくれました。そして、宣伝のために作った集客動画が効果を発揮して、当日は1,500人以上のお客さんが集まりました。その時にRBPの理念が生まれました。「一歩目はノリ!」「突き抜けたノリはマジになる!」「そこに本気の仲間が集まる!」「上で会おうぜ!」です。

集客動画やブランディング動画を事業の中心にしようと決めた経緯を教えてください。

イベントは成功したものの赤字でしたが、フェイスブックでイベントの記事がシェアされて名前が広まりました。その時、「好きなことだけでは食べていけない。“ライスワーク(食べるための仕事)”と“ライフワーク(人生を充実させるための仕事)”を分けるべきだ」と痛感しました。テレビ時代に身につけた企画力や映像制作力で企業のプロモーション映像作りを依頼されたので、それを事業の中心にしてきました。その後、大きな企業と契約を結べるよう、法人化しました。 さらに効果的な動画のノウハウを提供する『集客動画塾』や、その人の個性や魅力を突き抜けさせる『キャラ立ちワークショップ』(ブランディング)のセミナーや、オリジナルストーリーをテレビ番組のように作る劇場型結婚式『ゲキ婚』を手がけたり、親のやりたいことを映像に残す親孝行スタイル『親スタ』などの企画も考えています。どれも目の前の人のために一生懸命やった結果が、ビジネスにつながったものです。

映像のカッコよさはいらない。 お客様の個性を突き抜けさせる「演出力」が強み

集客動画やブランディンク動画で多いのは、どのような業界のお客様ですか?

集客動画は、“Before/After”を映像で表現できる治療院やサロンが多いです。ブランディンク動画は新入社員募集用です。経営者に幼少期から今、未来までをヒアリングして、世界観を3分の台本にまとめます。新入社員募集にはターゲットである若い人に刺さる面白い要素を入れます。例えば、小樽の寿司屋さんのPVでは極寒の中、海を背中に白衣で腕を組んでいる姿を撮りたいと言いました。「怒られるかな?」と思ったのですが、快諾いただいて撮影しました(笑)。 リーダーや経営者って、孤独なんですよね。自分では、「こんなに頑張っている」とは言えません。だから、代わりに僕らが映像で言ってあげるんです。そして、入社2〜3年目の社員の活躍を見せます。自分も頑張ればこうなれるというお手本です。これを「3分間情熱大陸」と呼んでいます。その寿司屋さんでは、社員との面談で動画を見せたら、「こんな思いがあったんですね」とみんなが泣いたそうです。そして多くの社員が定着したと聞いて、やって良かったなと思いました。

ヒアリングに力を入れていらっしゃるのですね。

仕事風景をキレイに撮っても、それはうわべだけです。ヒアリングで、10年後も色あせない強みを引き出します。

RBPならではの強みは何だと思いますか?

「演出力」です。僕は映像クリエイターというより、演出家です。その人の個性や魅力を突き抜けた映像で表現します。集客に困っているお客様は、キレイな映像ではなく、成約率・集客率アップを求めています。ホームページの改良、コビーライティング、リスティング広告……。動画以外にも手段があるかもしれませんが、弊社はお客様が必要としている効果を生み出すために、「構成力」や「演出力」を大事にしています。 また、エンタメっぽい親しみやすさ・楽しさも強みだと思います。僕は、テレビ、音楽、小説、演劇、いろいろなエンターテインメントが好きなので、僕が表現するものは自然とポップでエンターテイメントなものになります。セミナーでも、スーツではなくドット柄のシャツにジャケットを着るようにしています。これは、自分のキャラを際立たせるためで、弊社のセミナーは「ブランディング」ではなく「キャラ立ち」と言っていますし、このオフィスも「部室」と呼んでいます。バラエティ番組のような世界観がRBPらしさですね。

期日を守れる人がプロフェッショナル。 クリエイターの感性とモチベーションを守りたい

今手掛けている仕事と、これから手掛けたい仕事をまとめた、将来のホームページの構想。その時々で新しいアイデアに入れ替え、常にアップデートされています。

今手掛けている仕事と、これから手掛けたい仕事をまとめた、将来の構想。その時々で新しいアイデアに入れ替え、常にアップデートされています。

 

一緒に働く人に、どのようなことを求めますか?

弊社は、基本的にはプロジェクトごとに人を集めるスタイルです。「約束が守れること」つまり納期や期日を守れる人がプロフェッショナルだと思っています。あとはメールのレスが早い人。問い合わせて何日も返事がないと不安になりますよね。レスが早い人は安心して任せられます。そして「いいものを作ってお互いに高め合おうぜ」という気持ちのある人。 さらに、頼まれたことをやるのはプロとして当然で、その予想を超える「サプライズ」があって初めて喜ばれると思います。アレンジを加えるだけでなく、お土産やお礼の手紙を出すことでもいいんです。おもてなしの精神があると、また一緒に仕事をしたいなと思いますよね。

ご自身がクリエイターですので、他のクリエイターを大切にされている印象があります。

僕は依頼される・する、どちらの立場も経験していますから、両方の気持ちが分かります。クリエイターを守るために契約書を交わして条件をクリアにしています。クリエイターには2タイプあって、オーダーに忠実に作るタイプの人と、自分の世界観を作るタイプの人です。タイプを見極めて依頼するように心がけています。その人の感性とモチベーションを守りたいと思っています。

クリエイターにとっては心強いですね。では最後に、今後手掛けたいことや夢などを教えてください。

今後は映像制作会社から企画・プロデュース会社へ移行していきたいと思っています。ヒアリングをして構成・台本を作り、制作は外注し、コンセプトメーカー・演出家に集中していきます。映像制作まで手がけると、できる数に限りがあります。一番得意なことに特化することで、よりお客様に質(クオリティ)を還元できますし、時間をクリエイティブに使えますから。 将来的には、バーがあるコワーキングスペースのような夢を語り合える場所や、ニューヨークにも拠点を作りたいです。おもてなしの精神を大切にしながら、持っている技術を世界に発信したいというお客様が多いんです。そういう人たちのための拠点を作りたいと思っています。まずは、目の前にいる人たちを喜ばせて、その延長線上に海外の「部室」を作れるといいですね。

取材日:2016年6月7日 ライター:保坂久美

株式会社RBP

  • 代表者名: 代表取締役 永野 豪(ながの ごう)
  • 設立年月: 2013年6月21日
  • 資本金: 1,000,000円
  • 事業内容:映像事業/イベント事業/スクール事業/セミナー事業
  • 所在地: 東京都港区三田1-2-16プラザ麻布306
  • URL: http://www.rbp-tv.com
  • お問い合わせ先: 03-6809-3921 または上記HPの問い合わせフォームより
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