WEB・モバイル2016.06.15

2012年、東京オフィス開設 地方都市にいることがアドバンテージに

札幌
株式会社ルーラー 代表取締役 沼 博人氏
株式会社ルーラーは、Webマーケティングに関するサポートのほか、自社でWebサービスの企画・開発・運営を行っている会社です。代表取締役の沼 博人(ぬま ひろと)氏は、「自分たちで独自のサービスを作りたい!」と20代で起業しました。最近ではHTML5の電子カタログ『ebook5』や、読者が重点的に読んでいるパートを分析できるヒートマップ機能が付いた電子チラシ『FLY5』のサービスが注目されています。札幌という地方都市にいながら、全国はもちろん世界視野で独自のサービスを発信しているルーラーの足跡と展望についてお話を伺いました。

オリジナルサービスを展開するITベンチャーをめざして起業

株式会社ルーラー

22歳でフリーランスのWebデザイナーとして仕事を始められたそうですが?

2002年頃、当時の札幌はインターネット関連企業が少なく、誰もが手探りで進めていたこともあって比較的参入が容易で、もしかしたら「自分達も何かできるんじゃないか、何かを表現できるんじゃないか」という期待や可能性を感じていました。SOHOチーム『ルーラー北海道』という屋号で活動し、次第に仕事が増え、仲間が増え、28歳のときに会社を設立しました。

法人化するにあたり目標はありましたか?

これまでやってきた受託型から、自分たちでサービスを作って事業化するビジネスモデルへの変更が目標でした。顧客のWebマーケティングを受託して成果をあげられる実力があるならば、自分たちで立ち上げたサービスでもきっと成功できるはずだというシンプルな発想から始めました。今までに6つのサービスを提供してきて、すべてB2B領域でしたので時間はかかりましたが、収益を上げられるものも増えてきました。

北海道では(IT企業における)受託型ビジネスはまだまだ多いと思いますが、受託ビジネスのウエイトはどのくらいですか?

確かに北海道での案件は受託型ビジネスが多いといえますが、当社独自のサービスも評価をいただきつつあります。東京での仕事も増えてきていますので、現在、当社の収益上の割合は自社運営の「Webサービス事業」と受託型ビジネスの「Webソリューション事業」の半々ぐらいです。最近のWebソリューション事業は、コンテンツマーケティングを中心としたマーケティングサポートをする傾向にありますので、受託型から提案型に移行しつつあると考えています。

地方都市で仕事することは、デメリットじゃない!

最初に提供したWebサービスは何ですか?

2008年にWebサイト制作の経験から、独自のCMSを組み込んだサーバをASPで提供したのが最初ですね。翌年には、各宿泊施設のホームページで宿泊予約ができるASPサービスToph(トーフ)をリリースしました。ポータルサイトに頼らずに宿泊予約ができるので、手数料もかからず、自社サイトでの集客を希望する宿泊施設にメリットがあります。

サービス内容はどのようにして企画していきますか?

基本的には、わたし自身がアイデアを考えます。「おもしろそう!」と感じたことを立ち上げて、テスト期間を経て、サービス化していく。企画については、自分ひとりでやっているのでスローペースですが、じっくり大切に育てることもできます。

電子カタログ『ebook5』はどのような経緯で開発されたサービスですか?

2010年タブレット端末が普及し始めましたが、当時タブレット端末ではFlash Playerが使えませんでした。そこでFlash Playerを使わずにHTML5を採用した電子カタログサービスに着手しました。これまで電子カタログを制作するのは高コストでしたが、『ebook5』により手軽かつ安価になりました。ネット上で書籍や雑誌の一部を試し読みできる機会が増えましたが、その普及の一端を担うことができたと思います。

2012年に東京オフィスを開設していますが、経営戦略のひとつでしょうか?

そんな大げさなものではありません。ただ、やっぱり札幌本社しかないと、都内で行われるB2B向けの展示会に出ても、次の商談まで時間がかかり、実現しにくいこともあるので、打合せと作業が可能なオフィスを開設しました。それによって自社サービスの売上げが伸び、札幌という地方都市にいることがアドバンテージになったように思います。

東京での仕事は順調ですか?

おかげさまで(笑)。2014年には有名雑誌が期間限定で読み放題になる電子雑誌のフェスティバル「NEXT MAGAZINE」プロジェクトに参画しました。雑誌の電子化からトラフィックやアクセス解析などを手掛けさせていただき、学びや発見がありましたね。さらに、近代建築の巨匠ともいわれているル・コルビュジエのスケッチや設計図面などの資料を閲覧できる「ル・コルビュジエ・プランズ・オンライン」(http://echelle-1.net/)の制作にも携わることができました。

昨年リリースされたHTML5の電子チラシ『FLY5』のヒートマップ機能はユニークですね。

電子チラシのどこを見ているかはマーケティングにとって重要な要素です。多くの人が拡大して見ている部分は、サーモグラフィーのように色分けをして段階的に表示できるので、一目で関心の高い商品がわかるようになっています。時間帯別の閲覧数も表示できるので、販売戦略に役立ててもらえればうれしいです。

チラシ解析はじまるFLY5

発見し続けることで、働くことを豊かにしていきたい

牛をモチーフにしたLULERのロゴマーク

牛をモチーフにしたLULERのロゴマーク

ところで、もともと社長になることをイメージしたことはありましたか?

ないですよ(笑)!必要に応じていたら会社ができて社長になったという感じです。

経営理念である「発見のある組織」とはどういう意味でしょうか?

フリーランスのWebデザイナーになる前、いくつか会社勤めも経験して、会社とか、組織とか、働き方について深く考えた時期がありました。いまも完璧な答えを見い出せているわけではありません。でも、人は生きるために働いて、成長する過程を仲間と発見し共有できたら、人生はもっと豊かになると思います。成長し続けることは、発見し続けることでもあると思うので、「発見のある組織」を経営理念としました。

9期目に突入した今期の展望を教えてください。

今期は、Webソリューション事業(受託ビジネス)の見直しと強化に努めたいと思います。先ほど「マーケティングサポートを提供する仕事が増えてきた」と話しましたが、企業のオウンドメディアのブランディングや制作をサポートする方向で動いています。これはマーケティングとコンサルティングを兼ねるもので、パッケージにすると新たなサービスに発展できるのではないかと考えています。

ITベンチャーとして邁進していくのですね!

実は、全く違う分野で、ワイナリーの経営がしたいとも思っているんです(笑)。いますぐではありませんが、いつか実現したいです。最近、会社のロゴをリニューアルしたのですが、北海道らしく牛をモチーフにしています。ワインの販売は、Webマーケティングの経験を活かすのに適していると思いますね。

最後にどのような人と一緒に働きたいですか?

経営理念「発見のある組織」に共感してくれる人がいいですね。一緒におもしろいことをやっていきたいです。

取材日:2016年5月30日 ライター:石田真由美

株式会社ルーラー

  • 代表者名: 代表取締役 沼 博人(ぬま ひろと)
  • 設立年月: 2008年6月
  • 資本金: 800万円
  • 事業内容: Webサービス事業・Webマーケティングサポート事業・サーバー構築および保守
  • 所在地: 本社/北海道札幌市中央区南1条西20丁目1 アウルビル4F 東京オフィス/東京都渋谷区広尾1丁目10-6-1203
  • URL: http://luler.jp/
  • お問い合わせ先: 上記サイトよりお問い合わせください

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