ゲーム2016.05.11

スタッフの個性を活かして誰もが楽しめる作品を生み出したい

福岡
株式会社バンブーマウンテン 代表取締役社長 竹山諒一氏
東京と福岡でゲーム制作の現場に携わってきた竹山諒一氏が、2004年に設立したCG制作スタジオ、株式会社バンブーマウンテンは、家庭用ゲームや遊技機の映像から、様々なジャンルの映像制作やデザインにチャレンジしている企業です。専門学校の講師を務めていた頃の元アシスタント3人と意気投合して立ち上げた会社設立の経緯から、今後の展望までをお伺いしました。

偶然始めたゲームづくりを天職と感じて

会社を設立されるまでの経緯を教えてください。

もともと絵を描いたりモノを作ったりすることが好きでした。それで地元宮崎の高校を出て、東京のデザイン専門学校に進学。21歳の時、東京のゲーム会社で働き始めました。当時はまだパソコンが普及しておらず、その会社で初めてパソコンを使ってデジタルでデザインするようになりました。それまでは、プレイヤーとしてゲームに熱中したことはなく、学生時代にゲームのシナリオやキャラクターを考えたことがあって、作る側に興味を持っていました。自分で絵を描きゲームを作ることは非常におもしろく、「これは天職だ、この仕事を一生続けたい」と切に思いました。 ただ、仕事には恵まれたものの、どうしても東京の生活に馴染めず、3年で会社を辞めて福岡に引越しました。

では、転職先が決まって、福岡に拠点を移したのですか?

いえ、それが仕事も住む所も決めずにとりあえず福岡へ来て、その後、あるゲームソフト制作会社を訪ねて、面接を受けたのですが、ガチガチに緊張して全然話せずに落ちてしまいました。 それで「絵が描けるデザイナー」を募集していた広告デザイン事務所でアルバイトをさせてもらうことにしました。この時、自分で仕事を取ってくるように言われて、初めて営業を経験しました。

営業の仕事はいかがでしたか?

自分が作りたいものとクライアントやユーザーが欲するものをどう結び付ければいいのかを深く考えるきっかけとなり、とてもいい勉強になりました。僕は諦めないタイプなんです。断られても簡単にそれで終わりではなく、今後も続くという意味だと考えて、いつか「キミの作品が欲しい」と言わせてやる、と思っていました。この時の経験は、ずっと役に立っています。 広告デザイン事務所での仕事は最初から1年と決めて、会社にもそれを伝えていました。考えてみたら、それまで自分をPRできるような作品がほとんどなかったので、その間に働きながら自分の作品を描き溜めました。そして1年後、以前一度断られたゲームソフト制作会社を再び受けて、採用されました。デザイン会社のチーフにも「よかったね」と言っていただき、その時は、泣けましたね(笑)。

1年の準備と成長が評価されたのですね。

そうですね。そのゲームソフト制作会社では、デザインチームのリーダーとなり、約5年の在籍期間の中で、多くのゲームを手がけました。今では有名なゲーム会社の社長になっている人や、ゲーム業界で活躍している人も大勢在籍していた環境でしたので、仕事はとてもやりがいがありました。ただ、組織の再編で、辞めていくスタッフたちを目の当たりにして心が落ち着かず、退社に踏み切りました。

ゲームから遊技機、パッケージまで幅広く手がける

それで会社を設立されたのですか?

いえ、特に会社を作ろうという意識はありませんでした。フリーなら一人でやりたい仕事に集中できると考えて、ゲームのデザインをメインに数年間はフリーで活動しました。 一方で、知人の紹介で専門学校の講師を務め、そこでティーチング・アシスタントをしてくれた3人と意気投合し、彼ら3人と一緒に仕事をしたいと、2004年に4人で会社を立ち上げました。社名の「バンブーマウンテン」は、僕の名字「竹山」からきています。また、当時ディズニーランドで「マウンテン」と名がつく乗り物が人気で、そんな存在を目指そうという思いも込めています(笑)。名刺には観覧車や風船をデザインして、作る人も見る人も皆が楽しめるものを提供したいと熱い思いを込めました。

御社の仕事内容について教えてください。

創業当時は家庭用ゲームの仕事がメインでした。ただ、もともと何でもやってみたいタイプなので、TVCMなどの3DCGの制作はもちろん、ポスター、パッケージデザイン、手書きのイラストなど、様々なジャンルを手がけてきました。現在は、遊技機(スロットマシン)の映像ディレクションが中心になっています。

遊戯機の映像を手がけるようになったきっかけは?

以前からお付き合いのある会社から、遊技機のコンペがあるので参加しないかと声をかけていただき、4人でシナリオや企画、キャラクターを考えてプレゼン用のプロモーションビデオを短い制作期間で仕上げました。チーム全員初心者でしたが、徹夜続きで全力で取り組み、コンペで選ばれて受注した大きな達成感のある仕事でした。 遊戯機の映像制作の仕事は、実は敬遠する方もいます。ゲームやアニメのように制作サイドの名前が世に出ることはなく、完全な裏方ですから。でも、実際にやってみると、映像制作のエッセンスが全て凝縮されていて、尽きることのない良質なアイデアと高いクオリティが要求される、非常におもしろい仕事だと感じています。

柔軟さを活かし、新しい仕事にチャレンジ

今、スタッフは何人ですか?

契約社員まで含めると21人になりました。5年前まで、4人でしたが、もともと取引先だったキュー・テックが制作チームを求めており、当社としても財務面でメリットがあるため、グループ会社になりました。そこからスタッフが増えて、今は20~40代のクリエイターが在籍しています。

御社の強みはどんなところでしょうか。

一言でいうと、「柔らかさ」でしょうか。最終的なディレクションは僕がしますが、スタッフの裁量に任せている部分が多く、固定概念を持たずにクリエイター同士でセッションをしながら制作を進めています。クリエイターの遊び心と提案力もウリだと自負しています。

今後の展望について聞かせてください。

今のスタッフはバラエティに富んでいて、ゲームが好きな人もいれば、映画や音楽、パチスロが好きな人もいて、興味の対象が広範囲に広がっています。今後はそれぞれのスキルや志向性を活かしながら、いろんなジャンルの仕事に挑戦していきたいと考えています。最近、グループ会社の中で体制の見直しがあり、当社はアニメ作品を制作するグラフィニカと事業内容に親和性があるということで、直結の関係になりました。これからはアニメの仕事にもチャレンジできればと考えています。 これまでやったことのある仕事だけではつまらないし、成長しない。ハードルが高くても、新しい仕事に挑戦していけば刺激になり、達成感もありますから。失敗してもいいんです。それは必ず成長への糧になります。

いつもアンテナを張り、しっかり準備することが大切

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竹山さんが仕事をする上で心がけていることは?

私自身は、先頭に立って、常に会社の中で最も感性豊かなトップクリエイターでありたいと思っています。そのために大切にしているのは、準備を怠らないこと。日々の努力の積み重ねと抜かりない準備があってこそ、最大限に力を発揮できると考えています。 僕は、仕事とプライベートをきちんとわけていません。仕事以外の時間でも、完全にスイッチオフではなく、常に“たね火"は点けています。ずっとアンテナは立っていて、ひっかかったものはストックしておく。頑張っているわけではなく、習慣になっているんです。寝ていても“たね火"は点いていて、おもしろい夢を見たら起きてすぐメモするみたいな感じです。(笑)。

どんなクリエイターと働きたいですか?

面接をする時は、直感を大切にしています。きっと当社と波長が合うというインスピレーションは単なる勘ではなく、経験の上に成り立つものだと思っています。それに、必ずしも経験だけを重視しているわけではありません。たとえデザインをやったことがない人でも、強い熱意や好奇心がある人であれば大きな原動力になると思いますので、ぜひ採用したいと思いますね。

取材日:2016年4月14日 ライター:佐々木恵美

株式会社バンブーマウンテン

  • 代表 : 代表取締役社長 竹山諒一
  • 設立年 : 2004年
  • 事業内容 : 回胴式遊技機及び遊戯機液晶のコンテンツ開発、業務用及び家庭用ゲームソフトの映像コンテンツ開発
  • 所在地 : 福岡市中央区警固2-17-30アルバけやき通りビル7F
  • TEL : 092-716-2400
  • FAX : 092-716-2407
  • URL : http://www.bamboomountain.co.jp/
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