WEB・モバイル2015.08.05

「ITの時代に泥くさく」 デジタルな仕事と 人間味あふれるアナログな関わり合い

仙台
株式会社メキメキ 代表取締役 佐藤 裕 氏
その名を耳にする度に思わずワクワクしてしまう企業、株式会社メキメキは、Webサイトの制作・企画・運営、ECサイトコンサルティングなどを手がけている会社です。設立のきっかけは2011年3月11日に起きた東日本大震災。別々に活動していたクリエイター同士が、未来を見据えて、今自分たちの活動を持続的に続けていくために、個々の活動ではなく会社として運営していく方向を考えて立ち上げました。何より大切にしているのは人と人のつながり。「ITの時代に泥くさく」と語る代表取締役・佐藤裕氏に、設立までの経緯、現在の取り組み、そしてこれからの展望などたくさんの興味深いお話を伺いました。

クリエイターセミナーを通して出会った仲間たちとの かけがえのないつながりがやがて会社設立へ

佐藤代表が共同執筆した書籍。「プロとして恥ずかしくない 新・WEBデザインの大原則」(MdN)「HTML+CSSデザイン|基本原則、これだけ。【HTML5 & CSS3対応版】」(MdN)

佐藤代表が共同執筆した書籍。「プロとして恥ずかしくない 新・WEBデザインの大原則」(MdN)「HTML+CSSデザイン|基本原則、これだけ。【HTML5 & CSS3対応版】」(MdN)

まずは佐藤社長のこれまでの経歴について、聞かせていただけますか?

僕はもともと20歳の時からフリーランスとして活動しておりました。IT全盛期が訪れるずっと前の時代に、雑誌のWebサイトを作ることになり、独学でWebサイトの勉強を始めたのがWeb制作に携わるようになったきっかけですね。それから約12年位フリーランスとして活動を行いましたが、何の保証もないフリーランスで苦い思いも山ほど体験して、途中行き詰まった経験もたくさんありました。ちょうどその頃、東京で開催されている『CSS Nite』というクリエイターのセミナーが評判を集めていて、東北での開催を待ち焦がれておりました。ようやく東北で開催される!となった時、手放しで喜びましたが、仙台を通り越して青森での開催になり、車を飛ばして青森に向かいました。その『CSS Nite』での出会ったクリエイターたちが、今こうして一緒に会社を立ち上げた仲間たちです。

待ちに待った地方開催。実際に参加していかがでしたか?

正直なところ、青森はWeb制作者の熱が高くて、とても感銘を受けました!それから僕も完全にスイッチが入り「僕が仙台版をやります!」と宣言して東京と仙台を行ったり来たりしながらイベント作りを学び、『CSS Nite in SENDAI』を開催しました。それが今から9年前の話で、今現在も年に1回位を目安に開催しております。今年もまた11月に仙台で開催する予定です。

情熱的な出会いから始まったみなさん。起業のきっかけはなんですか?

2011年3月11日の東日本大震災ですね。もともと僕たちは卸町(おろしまち・仙台市若林区)にあるTRUNK CREATIVE OFFICE SHARINGという共有スペースでそれぞれ活動しておりました。ちょうどこれから個々で活動できる範囲について考えていた頃、東日本大震災が起きて、今自分たちがやっていることを継続的に行い、次世代にも受け継いでいくには、会社として活動するのが自分たちにとってベストな形ではないか?と考えさせられました。そして2012年4月に『株式会社メキメキ』を立ち上げました。

それぞれクリエイターの方々の専門分野はありますか?

クリエイティブディレクター、プロデューサー、Webディレクターですが、実際は何でもやります。僕は大学に非常勤講師として勤めておりますが、今年初めて元教え子を新卒で採用しました。ずっとクリエイティブ業界に興味を持っていた子でしたが、こういう職種なのでどう踏み出して良いか迷っていた時に、声をかけてみたら来てくれて、今は毎日頑張ってくれています。どの職種もそうかもしれませんが、次世代を育てるというのはとても大切だと思いますが、実際はなかなか育たないのが現状だと思います。僕もこの歳になって、次世代に残すこと・伝えることの大切さを感じて、これからはもっとこういう取り組みに力を入れていきたいと思います。

はじまりは『メキメキ』という一言から 幸せと驚きを感じる『Make IT』の世界

社名の「メキメキ」は、ロゴや名刺のデザインにも反映されいる。

社名の「メキメキ」は、ロゴや名刺のデザインにも反映されいる。

とても気になっているのですが、会社名の由来を教えていただけますか?

気になりますよね。会社を立ち上げる際に、ある会社の方に色々相談に乗っていただきました。その企業様の名称もカタカナ4文字で、とても響きが良くカタカナ4文字というのは決まっていたんです。スタッフ同士で何度も話し合い悩んでいる時に、一人のスタッフの奥さんが「メキメキは?」と提案してくれました。その言葉の響きと上昇を感じられる意味合い、そして英語にすると「Makeit」という言葉に結びつき「MakeIT(アイティー)」にもなるなど、その一言で点と点が線で結ばれたような感覚になり、満場一致で採用になりました。今では会社のロゴや名刺のデザインにもなっていて、気に入っております。

そういう由来だったんですね。企業テーマも会社名のように上昇するイメージですか?

そうですね、企業理念として大切にしている「Happy(幸せ)、Wonder(驚き)を感じてもらえるような、豊かなWeb体験をユーザーに届けます」というテーマの元、仕事に取り組んでおります。

実際に会社を立ち上げてみていかがでしたか?

まず一番に思うことは、仕事の幅が広がったこと。クリエイターそれぞれの役割分担があるので、自分の苦手なことも誰かが補えるというのがベストですね。個々で受けている仕事もありますが、全員で取り組む仕事に関しては、誰が打ち合わせに行って、誰が制作を担当するなど、それぞれの得意分野をいかせます。もちろん、会社ゆえの悩みもありますよ。フリーランスの時と違って自分だけが生活できれば良いと言うのではなく、しっかりと売り上げを立てて、計画性を持ってやっていかないとダメなので。ですが、総合的に見てやっぱり会社にして良かったというプラス作用の方が大きいですね。

気持ちはお客様の会社の一員 ずっと継続的にサポートし続ける大切さ

現在取り組んでいらっしゃる仕事内容について教えてください。

僕たちの会社は自社商品を持つのではなく、依頼があってお客様のサービスの仕事を作るという流れです。ご依頼があった企業様の一員になったつもりで今抱えている問題点や課題を探り、それを噛み砕いてアウトプットするようなイメージですね。なので、打ち合わせの回数は多い方だと思います。例えば、Webサイトを作って終わりではなく、継続的に運営していくことが大切なので、アフターフォローも含めて、ずっと一緒にサポートさせていただいております。まだまだWebというと「難しくてわからない」と思われる方が多いのも現状です。実際に横文字の専門用語ばかり並べられても、難しいだけですよね。ですがWebを活用することで商売の幅が広がり、便利なケースはたくさんあります。初めは「Webってなんだろう?」でも良くて「どうやら便利らしいから、うちも取り入れてみようかな」と思って声をかけていただけたらうれしいですね。

ご依頼いただいた企業様に対して、大切にしていることはありますか?

現場のスタッフさんはもちろんのこと、責任者である社長様ともしっかりとコミュニケーションを取るように心がけております。仕事以外で飲みに行くこともありますし、腹を割って話し合えるような関係でありたいと思っております。僕のこれまでの経験の中で、一番大切だと感じるのが「人と人のつながり」です。それがあって今の自分が存在しますし、誰かと出会い仕事をして、またそこから新しい出会いにつながって、どんどん世界が広がっていく。ITの時代に泥くさく、職種はデジタルでも、中身はアナログで人間味あふれる関わり合いを作っていきたいですね。

とても粋で洗練された中にも温かみがあると愛用のWatalisの名刺入れを見せる佐藤代表。

とても粋で洗練された中にも温かみがあると愛用のWatalisの名刺入れを見せる佐藤代表。

これまで企業様との係わりで思い出深い経験はありますか?

どの企業様も思い入れが強いですが、あえて挙げさせていただくと亘理町(わたりちょう)のWatalis(ワタリス)様ですね。東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県南部の亘理町にある企業様で、女性たちの雇用促進のために、着物生地を使ったリメイク雑貨を販売されております。創業当時からWeb周りの制作や商品開発に携わらせていただき、今もなお継続的にサポートさせていただいております。Watalis様の商品はとても粋で洗練された中にも温かみがあって、僕も名刺入れを愛用中です。そんなWatalis様の魅力がどんどん社会に伝わり、活動範囲を広げられていく姿を見ているのは、心の底からうれしいものがあります。

興味を持ったら一歩踏み出す そうすることで動き出すことも多い

人とのつながりを大切にされる佐藤社長。ご自身が大切にされていることは何ですか?

「興味を持ったら勇気を持って一歩踏み出す。そうすることで動き出すことが多い!」ですかね。昔は人前で話すことなんて無理だと思っていた僕が、動き出したことで今のようにたくさんの出会いに囲まれるようになりました。下手でもいいから他の人に自身のパーソナリティを話してわかってもらえると経験値になっていく。失敗しても大丈夫。それが次へつながっていくと思います。これは今の20代の若い世代にも伝えていきたいことですね。

最後に、今後の展望について聞かせていただけますか?

一つひとつの出会いを大切に、色々なことをやっていきたいですね。これまでの経験を下敷きに、自分たち株式会社メキメキにしかできないことを提供したい。その時代のニーズに合ったサービスと、本当に意味で「いいもの」を作っていくのが目標です。

取材日:2015年7月23日

企業名 株式会社メキメキ

  • 代表者名:代表取締役 佐藤 裕
  • 設立年月日:2012年4月
  • 事業内容:Webサイト制作・企画・運営および保守管理/ECサイトコンサルティング/講師業 テクニカルライティング/イベントの企画・制作・運営/写真撮影 その他インターネットを用いた新規サービスの企画・制作
  • 所在地:〒984-0011 宮城県仙台市若林区六丁の目西町1-43-2F FLight Room A(仙台印刷団地会館内)
  • URL:http://makeit2.co.jp/
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