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チームワークを大切に。録音、映像撮影、音源制作、MA。すべてを一人でこなすマルチなクリエイター

沖縄
CM、音楽ライブの映像撮影、編集、録音、音源制作 幸喜 稔弘 氏
Profile
沖縄市生まれ。熊本の大学を卒業後、沖縄の企業へ就職。会社勤めと並行して音楽活動を行い、録音、映像撮影、音源制作の技術を習得する。2012年独立、フリーランスでテレビCMやプロモーションビデオ等の制作を手がける。2015年、「549M’ST(ゴーヨンキューエムダッシュスタジオ」設立。
テレビCMやテレビ番組、プロモーションビデオ等の撮影から録音、BGM制作、MAまで、映像制作にまつわる全てを手がける幸喜稔弘(こうきとしひろ)さん。元バンドマンという異色の経歴を持つ幸喜さんが、映像制作に関わるようになった経緯や、仕事の上で大切にしているという「チームワーク」について、語っていただきました。

元バンドマンが、録音、映像撮影を手がけるようになった理由

録音、映像撮影、音源制作などを行うようになった経緯を教えてください。

きっかけは、学生の頃のバンド活動です。学園祭などでライブをする際に、音響機材のセッティングやミキシングなどを自分で行っていました。当時は2000年代初頭で、ちょうどパソコンを個人で持ち始めた時期。音源を自分でも作れる環境が整い、身内に配るためのCD制作も始めました。

熊本で学生生活を送られた後、沖縄の企業へ就職されたと伺いました。音楽や映像に関係する会社ですか?

全く違う業界です。空調設備の会社でした。会社勤めをしている間はあくまでも趣味としてバンド活動やCD制作を続けていましたが、どうしても音楽に専念したくなり、2008年頃から徐々にバンド活動だけにシフトしていきました。個人の音楽レーベルを作ってCD制作をしたりプロモーションビデオを作ったりして、ラジオ局に持って行きPRを頑張っていた時期もあります。

本格的に音楽活動をされていたのですね。録音や音源制作などの技術だけでなく、映像制作についても、バンド活動を通じて習得していったのですか?

そうです。当時はまだYouTubeが広まっていない時代でしたが、ブログに動画を載せられるツールがあり、バンドの映像を自分で撮影して、編集して、UPしていました。そもそも小学生の頃から、はんだごてを使って何かを作って遊んでいたぐらい、機械いじりや物作りが好きなマニアックな子どもでしたので(笑)、撮影や編集も全く苦になりませんでした。私のオフィスにある機材も、大人になって揃えたわけではなく、学生の頃から少しずつ集めたものです。

機械好きと音楽好きが結びついたのですね。

そうだと思います。好きが高じてどんどんのめり込んで行き、音響、映像についての知識を、書籍などから独学で習得していきました。

見る人、聞く人の心地よさを考えて作品を作る

独学で撮影や録音などの技術を磨かれたということですが、仕事にされるまでの経緯を教えてください。

全て独学だったものですから、「独りよがりの知識ではないか」と自信がない状態でした。そんな時に、沖縄でドラマを制作している会社がスタッフを募集していることを知り、自分の知識がプロの世界でも通用するのかを試すために応募してみました。その撮影現場を通じて、今まで蓄積してきた独学の知識と実践との答え合わせができ、ようやく自分の腕に自信を持てるようになりました。

その後、沖縄のテレビ番組にミュージシャンとして度々出演する中で、現場のカメラマンさんから「撮影できるのならやってみないか」と声をかけていただくようになりました。それを機に、出演側ではなく、裏方の仕事に携わるようになったのです。それから徐々に仕事の依頼が増え始め、会社を設立できるまでになりました。

自ら営業してお仕事を獲得していたのですか?

積極的に営業したことは、実はありません。基本的に人づてでご依頼頂いてます。特に沖縄の映像や音響制作の業界は、横の繋がりを重視する傾向があるように感じます。一時期こだわってPR用のホーページを作ったことがありましたが、全く仕事の依頼量は増えませんでした。人脈が何よりも大事だと感じます。

幸喜さんご自身が考える、ご自身の強みは何ですか?

音響を作る人には多い特徴かもしれませんが、私は一つの事にこだわり、のめり込むタイプ。音質にはとてもこだわります。手間をかければかけるほど音質は良くなりますが、成果は一般の方には気づかれにくいものです。しかし、例えばCMのBGMなどが特に記憶に残っていないということは、それだけ自然に聞き流せているということなので、成功したと思っています。逆に印象を残すため、うるさくならない程度にあえてノイズを入れるテクニックもあります。

細かい工夫をされているのですね。

同業者であれば誰でもやっている事かもしれませんが、このような細かな工夫が作品の質に影響すると思っています。音だけでなく映像制作でも気をつけていることは、聞く人、見る人の立場に立って作ることです。例えば、音は年齢によって聞こえる音域というのが異なりますので、その作品を聞く対象に合わせて音を調節します。子ども用の音は、子どもにとって聞こえ過ぎると言われる高音の音を下げたり、年配の方用には中域の音に揃えたり。映像では、テロップの大きさを調整したり、刺激の強い色彩は控えたりと、受け取る側が「心地よい」と感じられるものを作るよう心がけています。

チームワークが良ければ、良い作品が生まれる

沖縄より首都圏の方が映像や音響に関わる仕事が多いように思えますが、沖縄でお仕事を続ける理由はなんでしょう?

沖縄以外で働きたいと思ったこともありますが、沖縄でとても気が合うスタッフと出会えたので、しばらくは県内で仕事を続けたいです。県内の映像プロダクションと協力関係にあり、そのスタッフとは特に良いチームワークが築けています。

チームワークが作品制作には大事なのですね。

「仲間で一つの作品を作る」という意識を大事にしたいと思っています。時に冗談を言い合いながらコミュニケーションを密に取る方が、良い作品ができますし、何より楽しく仕事が出来ます。さらに先輩からいろいろな事を吸収出来ますし、人脈作りにも活かせます。

沖縄県内外での横のつながりを広げ、沖縄の魅力を映像の力で発信したい

今後やっていきたいことを教えてください。

今は沖縄ローカル局で放送されるテレビCMやミニ番組の制作が多いのですが、ゆくゆくは全国区のCMなども手がけられるようになりたいです。そのためには、より一層自分の技術や視野の幅を広げる必要があると感じ、先日「映像音響処理技術者」という資格を取得しました。今までは現場にもまれながら独学で勉強してきましたが、「学校で勉強していない」というコンプレックスが常にあり、それを払拭すべく一念発起して勉強してみました。現場での経験が絶対必要な業界ではありますが、新たな取引先を開拓する際など、資格が一種の営業ツールになると思っています。
また、県内外問わず、同業の方々との交流を深めていきたいです。今は沖縄での活動に重きを置いていますが、将来的には県外へ行きたくなるかもしれません。SNSなどを使って、県外で役立つような人脈を作るよう努めています。また県内では、印刷会社やWeb制作会社など、今まで映像を作っていなかったような会社も最近は自社で映像制作をし始めています。そのような会社とも積極的に関わり合いを持ち、人脈を広げていきたいです。

他業界が進出しているということは、沖縄の映像業界は盛況なのでしょうか?

盛況だと感じます。特に観光関連の映像の需要が高く、他県に比べて早い時期から各自治体が映像制作に取り組んでいます。そこで必要になるのが、沖縄の魅力を客観的に見られる視点だと思っています。そのためにも、県内だけでなく他県の方々との交流を通して、外から感じる沖縄の魅力を教えてもらい、映像の内容に反映していきたいです。

U、Iターンを考えているクリエイターに向けてメッセージをお願いします。

沖縄の映像や音響制作の世界は、外部の方には排他的と受け取られるほど、人とのつながりが重視されています。何のツテもないところへ営業をかけたとしても、ほとんど取り合ってもらえません。さらに映像や音響制作に携わる方は職人気質なことが多く、頑固だったり我が強かったりします。まずは、古い方法かもしれませんが、弟子にしてもらうぐらいの心構えで現場に入ることをお勧めします。自分の場合は、先輩方と親しくなって心を開いてもらって、初めて仕事をもらえるようになりましたので。

まずは先輩方の懐に飛び込む勇気が必要ですね。

そうだと思います。首都圏から来る方の多くは、高い技術をお持ちで自信もあると思います。しかし、沖縄のこの業界は何よりも「和」や横のつながりを重視しますので、その自信はしばらく隠しておいて、まずは低姿勢で臨むほうがうまくいくと思います。

最後に、学生の方へのメッセージをお願いします。

学校で学べないような、現場だからこそ知れる様々なことに興味を持っていただきたいです。現場で新卒の方と接すると感じることは、みなさんとても真面目で知識が豊富。その真面目さが時として「頭でっかち」になり、何かトラブルがあった時に、パニックになったり諦めてしまったりと、応用が効かない場面を多く見てきました。そんな時は失敗を恐れず、先輩の動きを見ながら現場で学んで欲しいです。好奇心を持って、知らないことにも挑戦していただければと思います。

今、映像や音響のソフトウェアの発展は目覚ましく、昔、手作業で行っていたことがボタン一つ押すだけでできてしまいます。若い方には、なぜそうなったのか、という歴史や基礎の部分へもぜひ興味を持って欲しいです。先輩に聞くもよし、自分で調べるもよしです。なぜなら、「改良を経て今がある」ことがわかれば、設定が自動化されたプログラムなど、最新のソフトへの理解がより深まりますし、応用にも役立つはずだからです。

取材日:2018年8月6日 ライター:仲濱淳

 

幸喜稔弘さん / CM、音楽ライブの映像撮影、編集、録音、音源制作

沖縄市生まれ。熊本の大学を卒業後、沖縄の企業への就職を機にUターン。会社勤めと並行していた音楽活動を通して、録音、映像撮影、音源制作の技術を習得する。独学でしばらく学んだのち、テレビ番組制作スタッフとして活動。2012年に独立し、フリーランスでテレビCMやプロモーションビデオ等の制作を手がけ、2015年に「549M’ST(ゴーヨンキューエムダッシュスタジオ」という会社を設立する。

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