映像2016.05.25

あの人もきっとゾロ目好き

とりとめないわ 第9話
とりとめないわ 門田陽

 毎日のように通うコンビニ(家の1階にある家族経営のお店)で特売の袋菓子とお茶を買ったら223円。細かいのが足りなくて千円札を出したらお釣りが777円。店の若女将から「なんかラッキーですね!」と言われこちらも妙にいい気分になりました。ただのお釣りなのにね。 夜中にふと目が覚めて時計を見ると3:33だったりすると寝ぼけていてもうれしくなって気持ちよくまた眠りに戻れます。 この心理はおそらくみんな(もしかすると日本人特有?)共通だと思うのですが。人はなぜゾロ目が好きなのでしょうか?何でだろう。たとえば1から100までの数字の場合ゾロ目は9つしかありません。つまり珍しいから好きなのでしょうか。見た目がシンプルで秩序があって正しい感じもします。だから好きなのかもしれません。いや、そんな理屈ではなくて同じものが並んでいると意味なくかわいいときがあります。双子がいるとつい見てしまうあの感じは何なのでしょうか!

 さて、先日5月5日は後輩のコピーライター宮田知明くんの誕生日でした。特に家族でも恋人でもないのになぜか覚えています。それはやはりゾロ目のせいの気がするのです。そうだ、ゾロ目は憶えやすい特徴もありますね。いっそゾロ目の日はぜんぶ祝日でもよさそう(雛祭りも七夕もあるし)に思えたので、本気で調べたら意外と難しい日もありました。日本記念日協会(こんな団体があるんですね。初めて知りました)によると2013年時点で申請された日本の記念日は800を超えていて、毎週増えているらしいので今では1000くらいあってもフシギじゃないです。その一番人気はこれまたゾロ目の11月11日でなんと25以上の記念日になっています。

 ついでなのでゾロ目の日が何の日かをあげてみます。(主なものを三つほど)

1月1日:元日、鉄腕アトムの日 2月2日:夫婦の日、おんぶの日、頭痛の日 3月3日:雛祭り、耳の日、サルサの日 4月4日:獅子の日、あんぱんの日、トランスジェンダーの日 5月5日:こどもの日、わかめの日、自転車の日 6月6日:楽器の日、カエルの日、ロールケーキの日 7月7日:七夕、ポニーテールの日、冷やし中華の日 8月8日:ヒゲの日、タコの日、そろばんの日 9月9日:重陽の節句、救急の日、ロールケーキの日 10月10日:(旧)体育の日、釣りの日、銭湯の日 11月11日:電池の日、下駄の日、ポッキーの日 12月12日:バッテリーの日、漢字の日

 こうやって並べてみると祝日にできそうな日は意外と少ない模様です。3月3日、7月7日、9月9日、それと体育の日を元に戻すくらいでしょうか。あと気付くのは基本語呂合わせというかダジャレの日の多さ。そしてロールケーキの日の節操のなさ。毎月29日は肉の日で半額!と同じノリなのでしょうが二兎追うものは結果どちらの日も覚えてもらえません。ムリに作ったゾロ目はどうも好きにはなれません。そうです。ゾロ目には偶然性も大事なのです。街中でときおり見かけるゾロ目ナンバーの高級車には気持ちが揺らぎません。いや、妙に嫌な気がすることさえあります。うーむ、ゾロ目、思ったよりも手強い相手です。

 長くなってきたのでいきなりの結論。人がゾロ目を好きな理由。それはきっとチャーミングな存在だからです。ドキよりもドキドキ。コロよりもコロコロ。ザーよりもザーザー。ワンよりもワンワン。ニコよりもニコニコ。そしてゾロよりもゾロゾロのほうがチャーミングじゃないですか!オノマトペな佇まい。それがゾロ目です。だって、好きなんだもんには敵いません。超強引なまとめです。

ところで、その昔、福岡のパチンコ屋さん(玉屋)で三つ子の企画でCMを作ったのですが、そのときの三つ子がプレイボーイ誌のプレイガールで異様に美しかった話はまたの機会に。

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Profile of 門田 陽(かどた あきら)

門田陽

電通第5CRプランニング局
クリエーティヴ・ディレクター/コピーライター
1963年福岡市生まれ。
福岡大学人文学部卒業後、(株)西鉄エージェンシー、(株)仲畑広告制作所、(株)電通九州を経て現在に至る。
TCC新人賞、TCC審査委委員長賞、FCC最高賞、ACC金賞、広告電通賞他多数受賞。2015年より福岡大学広報戦略アドバイザーも務める。
趣味は、落語鑑賞と相撲観戦。チャームポイントは、くっきりとしたほうれい線。

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