映像2022.07.28

映画ソムリエ/東 紗友美の”もう試写った!” 第13回『もっと超越した所へ。』

Vol.13
映画ソムリエ
Sayumi Higashi
東 紗友美

『もっと超越した所へ。』

▶修羅場疑似体験で、恋愛偏差値アガる度:100

ずばり、ダメンズ好き!?恋愛がなかなかうまくいかない人にオススメ!

 

 

歯に衣着せぬ会話の数々。重力が心臓に直撃するかの如く刺さる、刺さる、刺さる。
胸の重心に響くような、直撃力のある恋愛映画が誕生してしまいました。

2015 年に下北沢のザ・スズナリで上演された舞台『もっと超越した所へ。』は、ダメ男を引きよせる女たちの恋愛模様を描いた作品です。“映像化不可能”と思われていた作品が満を持して、映画化します。

本作の登場人物は男女 8 人。クズ男を引き寄せてしまう女たちのリアルな苦悩と、それぞれにもたれかかる男たちの本音が、セリフとエネルギッシュなストーリー展開で紡がれていきます。
ダメ恋愛体質の女たち&彼女たちに甘える“クズ男”のカップルを、個性豊かなキャストが演じ、公開前からも話題をさらっている本作。

原作・脚本を手掛ける根本宗子は、弱冠26歳にして演劇界最高の名誉・岸田國士戯曲賞の最終候補にノミネートされた才能の持ち主です。
今回の映画化ではコロナ禍に突入した2020 年と 2018 年を舞台にし、映画用にアレンジを加えたニューバージョンとして仕上がっています。

宣伝担当さんからも「めっちゃ面白いですよ!」と言われ、期待値あがっての鑑賞でしたが、いやぁすさまじい映画でした。
ブチ切れ&ブチ上がりの恋愛バトルが延々と続くんです。
そしてどの会話も、リアルすぎる。キャストたちの表情も、リアルすぎる。8人がそれぞれくるしさの体現者として全員、表現者として素晴らしいです。

そのため、私の恋の思い出じゃないのに、映画を通して、4人の男性と付き合った感覚になり、心が揺さぶられて圧倒されました!

「ワタシじゃなかったのかな?」「本命じゃないのかな?」「誰でも良くてただ女の人といたいだけなのか?」「本気だったのは自分だけかな?」

そんな真剣に恋をしたことのある人ならばきっとわかる、このズキズキした痛みと切実な不安。どの恋愛の辛さも私にはわかりました。この共感値の高さよ…。

そしてまさかの、ここに登場するキャラクターの誰とも交際したことがないのに、エンドロールのタイミングでは全員元カレ感がにじみではじめていました…。(笑)
それは、劇中のままならない恋をしている女性たちが全身全霊で男性たちにぶつかっていったからだと思います。
本気が、スクリーン越しに伝播してきて、このおもいで”ワタシもしっている”と胸を突かれた気分になるからです。

そしてもう1つ、この映画がすごいのはそれだけじゃありません。4つの修羅場を通して、怒りは鎧のように別の感情をガードしていることを教えてくれます。
怒りの裏には、ほんとうの感情が隠れていることが人生にいかに多いことか。
愛されたい、一緒にいたい、自分を見てほしい。そんな切実な思いが隠されていることを教えてくれます。人間が怒りの感情が湧いているときほんとうの気持ちに気付くのは、たいていあとになってからなので、大切な人を失う前に”いかり”の感情を因数分解する術をこの映画を通して学べるところも興味深いです。ただ、ぶつかり合う男女をおもしろおかしくみているのとはワケが違うと言えますよね。ああ、もっと早く出会いたかった。恋愛の後遺症、最小限にしてくれるかも。

舞台版では、4つの部屋を4分割画面っぽく見せる手法だったそうですが、映画では一つひとつのエピソードにフォーカスしながら、話が進んでいきます。
クライマックスには、おどろきの映像マジック が仕掛けられていて、映画と舞台の良いとこ取りができたような気分です。
究極の元カレ4人追加体験、しちゃってください!!恋愛経験値、あがった感…ありますよ…。

『もっと超越した所へ。』
10
月14日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか 全国ロードショー

 

出演:
前田敦子 菊池風磨
伊藤万理華 オカモトレイジ
黒川芽以 ・ 三浦貴大
趣里 千葉雄大

監督:山岸聖太

原作:月刊「根本宗子」第10号『もっと超越した所へ。』

脚本:根本宗子

音楽:王舟

主題歌:aiko「果てしない二人」(ポニーキャニオン) 

配給:ハピネットファントム・スタジオ 

©2022『もっと超越した所へ。』製作委員会

■公式サイト:https://happinet-phantom.com/mottochouetsu/

■Twitter: https://twitter.com/mottochouetsumv

■instagram:https://www.instagram.com/mottochouetsumv/

 

プロフィール
映画ソムリエ
東 紗友美
映画ソムリエ。女性誌(『CLASSY.』、『sweet』、『旅色』他)他、連載多数。TV・ラジオ(文化放送)等での映画紹介や、不定期でTSUTAYAの棚展開も実施。 映画イベントに登壇する他、舞台挨拶のMCなどもつとめる。 映画ロケ地にまつわるトピックも得意分野で2021年GOTOトラベル主催の映画旅達人に選出される。 音声アプリVoicyで映画解説の配信中。

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