映像2020.12.23

iPad×編集と、限界

自宅スタジオ
映像編集&シナリオ
秘密のチュートリアル!
野辺五月

iPadのOSにマウスとキーボードが実装されてから、簡単な作業はiPadで完結させる映像の編集者も出てきた――そんな話を聞いていました。
では、実際に「どのくらい編集できるものなのか」今回はiPadProで試してみることにしました。

結論から行きます。
・カット編集はらくらく◎
・ベースのテロップやトランジションは可〇
・細かいアニメーションについては△
・コンポジット作業にはあまり向かない

総論
【映像編集者よりも、ディレクターや、自分で番組を作っていて、なるべく速度を上げたいYoutuber、ちょっとした取材ものを動画にしたいレポーター向け】

順番に説明していきます。
まず、大前提として、iPad での映像編集ソフトでのおススメはLuma Fusion……。これ一択。
次点で、Adobe Rushがあり、こちらは同じAdobeのPremiere Proにファイルを流せるのですが、多くの場合仕上げをPCのPremiereで行う前提です。
同じくiMovieもありますが、こちらも最低限の最低限で、最終のアウトプットに向くかというクオリティが劣る……ということで、上記カット編集のアウトプットはあくまでLuma Fusion前提ということをご了承ください。

 

そしてこのソフト、買い切りで3600円。
書き出し速度がかなりはやく、操作性も抜群。重ねるレイヤー数もだいぶあるので、ある程度複雑な編集に対応している他、逆再生可能・フィルター……モザイクやクロマキーも最低限可能・マスク機能やテキスト&図形の追加などの基本動作はすべて完備しています。
平たく言えば「コスパ最強×パソコンで出来ることの大まかな部分をカバーOK」。一番美味しいのはApple Pencil連携なので、「ここ伸ばしたいんだよね」「ここ削ろう」を指で出来てる……。これは、たまにPC側で作業してるときにやりたくなるやつ……です。
ちょっと前までIn/Out点をつけることができなかったり、音声部分が不安定だったりしたそうなのですが、新バージョンで大体クリアしてるようです。
操作感はPremiereにかなり近いので、ソフト慣れしてる人は割と早くなれると思います。逆にiMovieなどから来た人にはまだまだ敷居が高いと思いますが編集目線でもなかなか良ソフトといったところ。
撮って出しをしたいタイプの方、その場ですぐ書き出しまで行きたい方にはぜひ活用いただきたいソフトだなぁと思います。

ただトランジションの種類や、細かいテロップワークはどこまで求めるかによっては微妙なところ。当然なんですが……
Premiere使っていても、After Effects連携でどちらかというとAEで作業することが多いという方には、アニメーションソフトでAEレベルのものは今のところ見当たらないのでiPad完結になりません。
ただ部分的に簡単なアニメーション……特に手書きのアニメーションは別ソフトで賄うことができるため、用途と作風によってはiPadのみでも十分対応できるとは思います。

この点がコンポジットまでバリバリの編集向けではない理由です。
隙間の時間・移動などをつかってラフを組み立てたいディレクターさん・コンテ代わりにプレゼン資料にしたいプランナーさん・即日編集や撮って出しが必要なタイプの現場対応の方……持ち運び×手軽さ重視の場合は自信を持ってお勧めできます
何せ書き出しが早い×持ち運びが簡単なので、「すぐほしい」「その場で見せたい」ニーズに即座に対応できます。
またびっくりなことに4Kもさくさく……
ショートカットキーも使えるので、例えば編集さんでも【移動中にベースのカット編集だけこちらで先にくみたててしまう】といった用途で使うならかなりありかと。
ただしあとあと連携作業がなければの話です。
連携になってくると必然的にソフトが決まるので。
また手軽な持ち運びとなると、iPadは基本11インチ以下をお勧めしますが、わりと本気で編集まで挙げてしまいたい方には、断然12.9をおすすめ。
この辺りはどちらを重要視するかで変わると思います。
画面がでかい=編集がしやすいのはどうしてもありますよね。PCと同じです。

ところでソフトを覚えれば仕事があるだの、流行りのソフトでこっちの方が便利だのという話は、動画界隈……まだまだ尽きないのですが、このソフトの登場とiPadOSで、ますます「ツールの時代じゃない」感がでてきたなぁとも思います。
勉強して仕事を得るなら3Dソフトまで踏み込んで、かつそれが楽しくて吸収をどんどんしようという気概があるか……さもなくば用途の特定が必要になっていると思います。
チュートリアル=中途リアルというコラムなのでたまにはそちらの観点からも一声。
動画を勉強し、仕事に活かす観点からすると、動画は深く踏み込まなければ誰でも出来る時代に突入しているなぁという印象が強く、英語と同じで「出来る」=「で?」という流れになってくる……むしろもうそうなっている来ている印象なのです。
そんな中で、敢えて今から編集を志す方がこのiPad×Luma Fusionを選ぶ際 ポイントは「時短」であると思います。
私は結構結婚式の現場に入っていたのですが、速度でいうとエディウスが一番で、書き出しと安定性を考えて、大抵の現場はエディウスでした。
ただ今回iPad×Luma Fusionは更に現場編集にむいているような印象を受けています。同じくイベント撮影→編集、撮って出しという流れのちょっとしたレポートに使うことにもぬきんでた道具のように感じました。
細かい完成度より、速報性や、効率化を考えての選択肢として、需要は高まりそうです。
また同時に、これまで編集を経験されてきた方で、がっつり編集者でなく、簡単に完結するアウトプットを志す場合(例えば、最初にもあげたのですがYoutuberのように、「動画を作るところからアウトプットまで」が目的の場合)、大事なのは完成度はもちろん速度×習慣×中身。
その際は、いかに自分が楽にするか=仕事の効率化につながるので、iPad×Luma Fusionは悪くない選択だと思います。
アニメーション・モーション系やエフェクトをちゃんと仕上げることには、パソコンの作業の方が向いており、連携を考えても、「大きな現場」や「人数が関わるプロジェクト」の一部で活躍したい編集の方には、一長一短だということで、今回の記事を閉めたいと思います。
技術の発展・ソフトの展開は、用途に対してついてくるものなので、もっともっと面白い使い方が発見されないかなぁとワクワクもしますね。
iPad Pro×Luma Fusionは、もう少し継続的に使ってみて、またレポートする予定。気になる方はチェックしてみてください。

プロフィール
映像編集&シナリオ
野辺五月
学生時代、研究の片手間、ひょんなことからシナリオライター(ゴースト)へ。 HP告知・雑誌掲載時の対応・外注管理などの制作進行?!も兼ね、ほそぼそと仕事をするうちに、潰れる現場。舞う仕事。消える責任者…… 諸々あって、気づけば、編プロ・広告会社・IT関連などを渡り歩くフリーランス(コピーライター)と化す。 2015年結婚式場の仕事をきっかけに、映像畑へ。プレミア・AE使い。基本はいつでもシナリオ構成!のひと。コロナで趣味の飲み歩きができず、近場の映画館へ入り浸り中。

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