職種その他2020.10.11

漢字をどこまで「ひらく」べきか

北海道
ライター・エディター
かーちゃんライターのつぶやきアレコレ
小山佐知子

執筆や編集の仕事でよく使われる「ひらく」という言葉。
漢字をひらがなにするという意味です。

漢字とひらがなの使いわけは、読みやすい文章を書くときのポイントのひとつ。
常用漢字はできるだけすべて使えば良いというわけでもなく、
全体的なバランスや媒体のテイスト、ターゲットとなる読者層などによって変わってきます。

基本は「記者ハンドブック」を参考にしながら書くのですが、実際はそれ以上にたくさんひらいています。

たとえば、

例えば→たとえば
大変→たいへん
爽やか→さわやか
匂い→におい
後で→あとで

これらすべて、記者ハンドブックでは漢字なんですけどね。
媒体にもよりますが、とくにwebの文章ではひらくことが多いです。

ほかにはこんな手法もあります。

●補助動詞はひらく
本を読んでください(×下さい)
ずっと学んできた(×来た)

●副詞はひらく
最も→もっとも
全く→まったく

●複合動詞はうしろの動詞をひらく
走り回る→走りまわる
眠り続ける→眠りつづける

●くりかえす言葉はうしろをひらく
一人一人→一人ひとり
重ね重ね→重ねがさね

●漢字の連続はさける、音読みの熟語(漢語)を和語になおす
必要書類→必要となる書類
帰宅時→家に帰ってきたとき

 

ひらく、熟語を和語になおす、を徹底しているとかなりひらがなの割合が増えます。
ひらがなにする目的は、文章をやわらかく、読みやすくすることです。
漢字が多いと文章がかたく見え、画数も多くてとっつきにくい印象になります。

 

私はずっと雑誌社にいたので、どちらかというと漢字の使用は多め。
少ない決まった文字数にできるだけ多くの情報を入れるためです。
基本は記者ハンドブックを遵守+媒体レギュレーションでした。

内容や読者ターゲットによっては、あえてあまりひらきすぎない方がよいケースもあります。
「帰宅時」と「家に帰ってきたとき」では意味は同じでもニュアンスが変わることもある気がしませんか?

あまりひらがなが多すぎる文章はだらだら長くなって、私はかえって読みにくいとも思うけど……
自分の好みではなく、読者にどう思ってもらいたいかが大切です。
伝えたい読者へ、読みやすい、伝わりやすい言葉を使って文章を書くのがプロの仕事です。
(※私はまだまだ勉強中です)

 

※かなり頑張ってひらいていますが、まだところどころ……
 「和語になおす」のと「同じ助詞の連続をさける」の両立がむずかしいのです。

プロフィール
ライター・エディター
小山佐知子
北海道で生まれ育ったアラフォーです。最近、毎日の晩酌を控えて、遠のいていた読書の時間を復活させました。読書を休んでいるうちに、お気に入りの作家さんの新刊がでていて嬉しいです。

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