目指すは、人間に立ち返った表現で ”面白いモノ”を見せるエンタテイメント集団

Vol.121
次世代型エンタテイメント集団 白A(SIRO-A)
近未来的なテクノサウンドと映像に生身の人間のパフォーマンスを組み合わせ、オリジナリティ溢れた表現を作り出す次世代型エンタテイメント集団「白A」をご存知ですか?アメリカの人気オーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」で評判となり、ここ日本でも注目されつつある白Aの演出家 cocoona(こくーな)さん、パフォーマー 阿部俊紀(あべと しのり)さん、映像担当 則兼大地(のりかね だいち)さんにインタビュー。先端的でクールなイメージとは異なり、「面白いものを見せる」サービス精神に溢れた人柄に笑いの絶えないインタビューとなりました。
 

高校の演劇部仲間で結成。 ひたすら自分を掘り下げる独特のモノづくり。

阿部さん(左)、則兼さん(真ん中)、cocoonaさん(右)

阿部さん(左)、則兼さん(真ん中)、cocoonaさん(右)

「白A」結成のキッカケは?

阿部さん:自分とcocoona、荒井(パフォーマー荒井寿也さん)は、宮城の同じ高校の演劇部で一緒だったんですよ。演劇部と言っても、一般的なイメージとはかけ離れていて、ダンス、映像、お笑い、コント、それからマンガの作品集を出したり、もう何でもありの演劇部でした。

cocoonaさん:阿部はアニメ研究会からの移籍ですからね(笑)。

阿部さん:“異文化表現”をしていたと言うとそれっぽいのですが、そんなきれいなものではなく“カオスな表現”、もっと言うと“ごった煮表現”でした(笑)

高校を卒業してからも、宮城で引き続き活動していたのですか?

cocoonaさん:演劇部の顧問の先生が、サブカルチャーが好きで劇団を立ち上げたので、最初は、そこに所属して活動していました。相変わらずカオスなことばかりやっていて、その頃、ヌード写真集も作ったりしていました(笑)。

阿部さん:CDとDVDに、なぜかあぶらとり紙をセットにして販売したり(笑)。

cocoonaさん:20人程の劇団だったのですが、その中で「もっとぶっ飛んだ表現をしたい」「枠にとらわれない表現をしたい」という男6人で新しい集団を作って活動を始めたんです。白塗りのスタイルもその時に生まれました。最初は山海塾※1のマネだったんですけど(笑)。

※1 1975年に設立された天児牛大(あまがつうしお)主催の舞踏グループ。パリを拠点に活動し、全身白塗りで行われる舞台は世界的にも評価が高い。

阿部さん:当時は、“エンタテイメント”というよりは、“修行”ですね。お客さんは関係なくて、周囲をシャットアウトして、自分たちのやりたいことをひたすらやる。独特のモノづくりをしていました。

cocoonaさん:当時からダンスは取り入れていましたが、誰もダンスのイロハを知らないから、人体の構造を無視した動きをしたり。だからこそ、当時からオリジナリティだけはありました(笑)。

「高校を卒業してから」というと、進学したり就職したり、人生の選択をする時期と重なりますよね。

cocoonaさん:20代前半から中盤にかけての、大事な時期でしたが、そんな周囲の状況からは目を背けていました(笑)。

阿部さん:将来の不安から目を背けて、ひたすら自分たちを掘り下げていましたね。

則兼さん:僕は後から入ったのですが、その頃のDVDを見ると、ひたすら掘り下げる姿が、新鮮です。今とは全然違う方向を向いているので。

「白A」の名が生まれたのは?

cocoonaさん:当時、アートフェスによく出ていたのですが、仙台メディアアークで開催された嶋本昭三※2スカイアートパフォーマンスのプロデュースをする機会があり、そのパフォーマンスの作品名を「白A」としたんです。

※2 現代美術家。具体美術協会(具体)の創立メンバー。瓶詰した絵具を画面上で炸裂させる大砲絵画パフォーマンスや、ヘリコプターよりペイントを落としての絵画制作パフォーマンスなどが有名。

阿部さん:白いキャンパスに絵を描くパフォーマンスだったので、ピッタリの名前「白A」と名付けたのですが、それがいつしかグループ名になりました。

cocoonaさん:今では「何色にも属さない、何者とも特定できない」という意味だと言ってますが、ほぼ後付けです(笑)。

阿部さん:ちょうどいい名前付けといて、良かったよね(笑)。

すべて独学、オリジナリティ溢れる表現で アミューズ主催の劇団フェスティバルで全国2位に!

お話を聞いていると、現在のパフォーマンスとは方向性がだいぶ違う気がするのですが(笑)

cocoonaさん:そうですね。転機は、2001年頃、みんなでお金を出し合ってプロジェクターを買いました。表現の幅がグッと広がって、今のような映像を取り入れるキッカケになりました。

阿部さん:今思えば、2001年頃から「プロジェクションマッピング」をすでにやっていたんですよね。白塗りの顔を映像に映し出したり、映像で映し出した人と生身の人間が一緒に踊ったり。

cocoonaさん:とは言え、今のプロジェクションマッピングのようにコンピューターで計算したりできなかったので、紙とペンで計算してアナログで作ったプロジェクションマッピングなんですよ!

阿部さん:いざ舞台に持って行くと、そんなアナログ計算が合うわけがない!

cocoonaさん:本番前、楽屋で必死に作り直すんだよね。本来ならば、クリエイターとして学んでおかなくてはならないことを誰も知らない(笑)。専門学校で制作について学んだり、制作会社などに入って下積みしながら学んだりとか、そういう経験を誰もしてないんです。信じられるのは自分の経験のみ!すべてステージ上で作り上げてきました。

阿部さん:僕なんて、大学は応用物理学科、仕事は漏水検査でしたから(笑)。

プロジェクターを買っても、なかなかアングラな世界から抜けだしてこないようなんですが(笑)

cocoonaさん:地上にアタマを出すキッカケは、20代後半になった2008年。アミューズ主催の劇団フェスティバルに東北代表として出演したこと。他にも東北で人気のある劇団はたくさんあったのですが、どうやら「異端枠」として代表に選ばれたようです。

阿部さん:「異端枠」ですから、王道の中の「差し色」だったんですけど(笑)。全国で第2位になって、アミューズに所属することになったんです!フェスでは相変わらずの"ごった煮表現"だったので、アミューズの担当者に「映像と人間がシンクロした表現を追求するべきだ」「時代やお客さんと向き合うべきだ」と言われました。

cocoonaさん:地下から地上に出た瞬間でした(笑)。今まで自分としか向き合ってこなかったので、オリジナリティには自信がありました。そこから表現を絞って、今の形に近づいてきました。

 

SIRO-A: Dance Group Stuns with Visual Dance Experience - America's Got Talent 2015

10分1ラウンドのアイデア出しで人間の本質に迫る! 「コラボ」することで、今までにない表現を取り入れていく。

ステージの構成は、どのように決めていくのですか?

cocoonaさん:まず最初に、メンバー全員で10分1ラウンドでアイデア出しをします。10分間、会話もせず、ひたすら考えてA4の紙にアイデアを書き出し、順番に発表していきます。このやり方は、高校時代から変わっていないんです。

阿部さん:最初は、朝見たYouTubeやニュースなど、すぐに思いつく流行りものとかをアイデアとして出していくのですが、延々とラウンドが続いていくので、アイデアが枯渇してくるんです。

則兼さん:そうなると、日常の中から、今まで気にも留めていなかったような些細なことに意識が回り始めるんです。アイデアを絞り出すための、探す目線が変わってくるんです。

阿部さん:卵で言うと、最初は手っ取り早い白身のアイデアを出していくんですが、それもすぐになくなって、コアな自分である黄身を出すしかない。そうすると、人間の本質が出てきて、思いがけない方向に発展することもあります。

cocoonaさん:全員でアイデア出しして、コンセプトや構成を決めたら、振り付け、音楽、映像、道具など、担当ごとに作っていきます。最後に、稽古場で合わせて詰めていくのですが、この工程が一番キツイかもしれないですね。合わせてみたら全然ダメで、捨てることもあります。何度も作り直すこともありますが……。10個のシーンを作ったら、1、2個がそのまま採用されて、あとの8個は捨てている感じですね。

「白A」のステージは、常に新しい技術が取り入れられているイメージがあります。外部に「外注」することはあるのですか?

cocoonaさん:コアな表現である「映像」「音」「ダンス」「舞台づくり」を全部自分たちでできるのが「白A」の強みです。「外注する」というよりは「コラボレーションする」イメージですね。完全にお願いするというのではなく、コアなアイデアは自分たちで作り、技術面のできないことをお願いしています。丸投げにはしません。

則兼さん:例えば、LEDレーザーが出るスーツや、3DCGは、自分たちでは作れませんから。

cocoonaさん:それと、毎回、1つは新しいものを取り入れたいと思っています。お願いする場合は、いわゆる「本流」のプロフェッショナルな人と仕事をすることになるので、これまで本流を知らずにすべて独学で作ってきた我々にとって、理屈を知ることはすごい発見なんですよ(笑)。

阿部さん:理屈がわかると、自分たちでも、ちょっと出来るようになるんだよね(笑)。その上、それをキッカケに、発想やアイデアも変わってくるので、すごく刺激的です。

cocoonaさん:本流の人たちにとっても、我々と仕事するのは刺激的みたいなんですよ。あまりにも独学で培ってきた我々のノウハウが異色過ぎて、「そんなことやっていたんですか!」と、よく驚かれます(笑)。

最新テクノロジーを追求するのではなく、人間に立ち返った表現を。 昔の表現が、今や最新!?

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今後の方向性としてはどんなことを考えていらっしゃいますか?

cocoonaさん:今やプロジェクションマッピングは巷に溢れ、それだけではオリジナリティがある表現ではなくなってきました。映像と人間がシンクロした表現も当たり前で、もはや、それを使って何をやるか?という段階に来ていると思うんです。だからこそ、僕らは、原点である人間に立ち返った表現をしていきたいと考えています。

阿部さん:僕らは、進化したテクノロジーを追い求める集団ではなく、もっと土くさい人間を表現するエンタテイメント集団という原点に近い方向になるかもしれません。宮城でやっていた頃の表現に近づいていく感じです。昔流行っていたファッションが、一周回って最新ファッションになるように、昔の僕らが最新であるような気がしています(笑)。

cocoonaさん:テクノロジーが進化して、スマホやタブレットの出現に伴って、エンタテイメントの形も変わり、家で一人で楽しめる時代になって来ています。それに対して、真逆の欲求が出てくるだろうと予想しています。つまり、みんなでひとつになるとか、お客さんが主役になるとか、お客さん自身が体験する参加型のエネルギーがかかったエンターテイメントが求められるようになると思っていて、僕らはそれを追求していきたいと思っています。

最後に、若手クリエイターにメッセージをお願いします。

則兼さん:僕はダンスがしたくて東京に出てきて、ダンスのスキルを高めれば食べていけると思っていました。今から考えると視野が狭かったです。「白A」に入って、お客さんが面白いと思うことをやって、評価してもらうことが一番大事だとわかりました。面白いことが最初にあれば、そこに技術や思いは後から付いてくると思います。技術を高めることも大事ですが、まずは面白いことです!

阿部さん:何事にも捨てる経験はないということですね。アイデアを考えたり、モノを形にするチカラを身に付けるには、どんなことも経験になるし、糧になります。自分が本来やりたいこととは違うことをやっていると思っている人も多いと思いますが、無意味なことは何ひとつない。すべてを貴重な経験として突き進んでいけば、必ず面白いものができます。

cocoonaさん:意見が対立したときこそがチャンスだということ。荒れたり揉めるのが嫌で、つい折れたり、無理に押し通したりしがちですが、最後まであきらめずに議論すると、これまでを超える強いアイデアが出てくることが多いんですよ。考え方が違う人の意見を聞くのは誰でも嫌だと思いますが、きちんと向き合えば、何かしらアイデアや解決策が出てくると思います。 僕らは、これからもそうやってクリエイティブに取り組んでいきたいと思います。

今後の「白A」に期待しています! ありがとうございました。

【プレゼント】「白A 東京新作ライブ」に、2組4名様をご招待! 白Aが所属する株式会社アミューズ様のご提供により「白A 東京新作ライブ」(12月20日(日)18:00スタート、恵比寿 ザ・ガーデンホール)へ、クリステメール読者の中から、2組4名様をご招待いたします。 ご希望の方はクリステメールプレゼントページよりご応募ください。 たくさんのご応募、お待ちしております。

※ライブの詳細につきましては白A オフィシャルサイトをご覧ください。

取材日:2015年10月14日 ライター:植松織江

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Profile of 白A

「テクノサウンド」と「映像」そして「パフォーマンス」の融合を表現する次世代型エンタテイメント集団。 2002年東北・仙台で結成。 2011年8月に、スコットランドにて行われた世界最大の演劇祭「エディンバラ・フェスティバル・フリンジ」にて1ヶ月の公演を行い、『Spirit of the Fringe2011』を受賞する。 2012年にはドイツ・デンマーク・オーストリア・フランス・スイスの5カ国を周るヨーロッパツアーを実施。 2013年は、ロンドンにて、155日間に及ぶロングラン公演を行った。 2014年はドイツ・アメリカツアー、そして全117公演に及ぶロンドンロングラン公演を行い、London Cabaret Award のBest Circus/Speciality Act部門を受賞した。 今後も既存のパフォーマンスの枠を超え、新しい表現を追及しいく。

オフィシャルサイト:http://www.siro-a.com

 

L'ULTIMO BACIO Anno 15 白A 東京公演 「SIRO-A」

日時:12月20日(日) OPEN 17:00 / START 18:00 場所:恵比寿 ザ・ガーデンホール チケット料金:全席指定 ¥4,500 (税込/drink別) ※3歳以上有料 ※ロビー内で飲食展開あり 一般発売:10/31(土)

チケットぴあ 0570-02-9999 Pコード:279-137 http://t.pia.jp/ ローソンチケット 0570-084-003 Lコード:77635 http://l-tike.com/ イープラス http://eplus.jp

お問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION TEL:03-5720-9999 http://www.red-hot.ne.jp/

主催:HOT STUFF PROMOTION 企画制作:AMUSE 協賛:恵比寿ガーデンプレイス

 
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