業界横断的な企画、 異分野クリエイターのコラボレーション、 どんどん仕事を展開していきたい

東京
株式会社PDトウキョウ 代表取締役CEO 谷川高義氏
 
めざすのは、「デジタルコンテンツ制作のコンシェルジュ」。3DCG、2DCG、フラッシュなど、デジタル映像、画像の制作を通して、さらに制作に付帯するさまざまな事柄を創造的にサービスすることを意味する。 テレビ番組のCG映像で、ウェブ上の画像演出、映像素材で、ゲームやパチンコなどのエンターテインメントコンテンツで――実は、私たちはかなりの頻度でPDトウキョウの仕事を目にしていいます。 ワンソース――つまり、デジタル映像、画像づくりを、マルチユース――つまりさまざまなメディアで、コンテンツに提供し、しかもプロデュースやマッチングにまでサービス分野を広げた、ユニークな事業戦略で着実に業績を伸ばしている同社の代表取締役CEO/谷川高義さんにお話をうかがいました。

業界を横断したグラフィック制作を、 サービス業ととらえて活動する。

「デジタルコンテンツ制作のコンシェルジュ」とは、どんなことを指すのでしょう。また、どんなきっかけで生まれたコンセプトなのですか?

現在、デジタルなグラフィック制作の業界は市場にぶらさがっている状態です。要は、映像業界には専門の制作会社があり、印刷業界にもゲーム業界にもそれぞれ専門の制作会社がありグラフィックを供給していますが、一旦「ゲーム用素材を印刷に」とか「印刷用素材をテレビ映像に」と転用しようとしたときに、さまざまなロスが生まれる。業界を横断した活動をする制作会社がないから、ロスがある。ならば、私たちがそこを担おうというのが発想の原点です。

まず、市場や業界を横断して制作活動をしようという着想があるわけですね。

私たちはそれを、「水平展開」と呼んでいます。対して、これまでのぶらさがった状態を「縦掘り」と呼ぶのですが、縦掘りは景気のよい時はとても高い収益性を示しますが、一旦市場が冷えると一辺に打撃を受けます。そのリスク回避という発想がまずあり、さらに考えると「水平展開」に対するニーズは実はかなり大きく、ニーズを満たすサプライヤーが不在であることにも気づいたわけです。

なるほど、潜在ニーズを見い出したわけですね。

幸いにして当社は、元来そこに近いところに立っていました。テレビ局さんをお相手に、番組企画から出てくる「あり得ない」(笑)要求にお答えするのを得意としてきましたから。

ニュース番組のCG映像などの業務ですね。

なじみ深いところでは、ニュース用CGですね。さらには、ドラマ内に登場する携帯電話の画面の画像や、役者さんがブラインドタッチしているように見えるPC用のプログラム開発の実績などもあります。とにかく、デジタルグラフィック、デジタルコンテンツに関するご相談には、どんなことにでもお応えしようという姿勢が伝統的に培われていました。

そこに、「制作に付帯するさまざまな事柄」が加わったのが、「デジタルコンテンツ制作のコンシェルジュ」なのですね。

そうです。たとえば、フジテレビ系列で放映されている『IQサプリ』という番組で、テレビ局さんとゲーム会社さんのマッチングをプロデュースしたのは当社です。これは、そのままでは接点のない2業界間にCGの技術的な部分で共通の接点を持った当社だからできた橋渡しですし、デジタルコンテンツの世界にはそのような橋渡しひとつで大きなビジネスが生まれる可能性が無尽蔵にあるのです。

クライアントさんがグラフィックを運用するところまで 一緒に考える仕事である。

そのご説明をうかがうと、本当に可能性が「無尽蔵」だというのがわかります。

今、デジタルのフィールドは技術情報が散乱していて、いかにチョイスするかが肝要かつ難しくなっています。言語ひとつとっても、Aがいいのか、A+Bがいいのか、Cにすればすべてクリアするのかもしれない。その知識、経験則ひとつで、クライアントさんに大きなベネフィットを提供できもするし、無駄なコストを負担させてしまうリスクもある。 私たちのような立ち位置で、技術をしっかり理解し、ご提案することの意義は日々大きくなっています。

技術のチョイスを提案することだけでも、十分にコンシェルジュですね。

加えて、業界横断的な企画や異分野クリエイターのコラボレーションの提案など、要は「こちらから提案する」仕事をどんどん展開していきたいと考えています。繰り返しになりますが、それらのフィールドでは、私たちにしかできないことが多くあると信じています。

仕事としても、とても面白いのでしょうね。

そう思います。ただ、既成概念にはない形の仕事ですから、社内に徹底させるための努力も必要です。 当社は、グラフィックを納品して終わりの会社ではない、グラフィックをつくりあげたところから本当の仕事が始まる、クライアントさんがグラフィックを運用するところまで一緒に考える仕事である。つまり私たちは、サービス業であるという認識を徹底させています。

ただ、CG制作者の中には、「僕は、絵づくりだけに没頭したい」というタイプの方もいらっしゃいますよね。

そうですね、そういうタイプの方は当社には合わないですね。ただ、仕事としてグラフィック制作するということは、本来的にサービス業だと私は思います。芸術をやっているのではなく、報酬を得て仕事をしているのですから。クライアントさんに満足していただくために努力するサービス業としての認識は、決して間違っていないと思います。

「最速であること」「最適であること」 「クライアントに信頼されること」

ということはつまり、「黒子に徹する会社」と理解してもいいのですか?

まさにそうですね。当社は、たとえばテレビなどでは膨大な数の番組に関わっていますが、あえてエンドロールに社名は入れていただいていません。そういう部分で表に立つ会社ではないと考えていますし、黒子であることを誇りを持っています。

主要お取引jki先

株式会社PDトウキョウの会社案内から抜粋/[主要お取引先]には様々な有名番組・作品の名が並ぶ

そのような姿勢を維持するために、大切なことは?

「最速であること」「最適であること」「信頼できるパートナーであること」――この3点を、重視しています。

「最速であること」とは?

文字通り、最短の制作期間でクオリティの高いものを納品することです。 ただ、この場合、「速さ」には作業の速さ以外の意味も含まれます。仕事には作業以外のさまざまな要素があり、作業を早めるだけでは「最速」になりません。我々は、作業以外の部分も含めた、速さを求めていこうという考えです。

「最適であること」とは?

「最速であること」を実現するために、常に最適のチョイス、組み合わせのできる制作者であるという意味です。最速であり、最適であるために、たとえば10日の制作期間をいただいたら、私たちは2日で仕上げる。2日で提出すれば、ダメ出しが出ても、最悪5回は再提出できますから。もちろん、その5回はすべて最適の組み合わせによるクオリティの高いものである。そんな中から、私たちにしか提供できないサービスが醸成されるのだと考えています。

「信頼できるパートナーであること」は、あえてご説明いただかなくてもわかるような気もしますが・・・

これに関しては、「お客様の前に立つのではなく、脇に座ろう」を合言葉にしています。仕事をいただき、提出して終わりではない。一緒に考え、悩むことで、私たちにしかできない提案を発想できるのだということです。

そのような発想のできるエキスパートが集まっている会社は、強いなあ。そんな感想を持ちました。

仕事は納品して終わりではなく、むしろ仕事を通して勉強させていただく。約20名のスタッフ全員が、そんな考えを共有して活動しています。 コンシェルジュとしてさまざまな業種のクライアントさんとお付き合いすることで、日々、業界横断的な技術の蓄積、着想の蓄積ができていると思いますから、これからも、これまでになかったご提案でクライアントさんに満足していただけるものと信じています。

取材日:2009年2月

株式会社PDトウキョウ

  • 代表取締役:谷川高義
  • 業務内容:グラフィックの総合サービス業
  • 設立:1995年4月
  • 資本金:1,000万円
  • 所在地:〒160-0003 東京都新宿区本塩町21 羽毛田ビル3・4F
  • TEL:03-5360-6333
  • FAX:03-5360-6334
  • URL:http://www.pdtokyo.co.jp/
  • 問い合わせ:http://www.pdtokyo.co.jp/category/contact.html (上記ページよりアクセス)
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