WEB・モバイル2016.11.24

ハンドメイドの価値や魅力を伝えたい  もっと多くの人に親しまれるマーケットへ

東京
GMOペパボ株式会社 minne事業部 副部長 兼 minne のザビエル(エバンジェリスト) 阿部雅幸氏
今回ご紹介するのは、GMOペパボ株式会社 minne事業部。取扱アイテム数約400万点以上・登録作家数約30万人以上のハンドメイドマーケットサイトminne には、アクセサリー、ファッション雑貨をはじめ、文房具、ペットグッズなど、さまざまアイテムが集まっています。サービスの生みの親は、エバンジェリストの阿部雅幸(あべまさゆき)さん。minne立ち上げのきっかけから、エバンジェリストの役割、ハンドメイドマーケットへの想い、minneの今後まで、お話を伺いました。

雑貨・ハンドメイド好きという趣味と 新規事業の社内公募が結びついて生まれたマーケットサイト

GMOペパボ株式会社 minne事業

minneをスタートしたきっかけを教えてください。

きっかけは新規事業の社内公募です。当時、私はショッピングモールサイト「カラメル」で企画担当をしていました。公募が掛かった時、「自分の好きな分野と、会社がミッションとしていることの間で、何かできないか?」と考えました。私は雑貨やハンドメイドが好きで、イベントなどに足を運んで、雑貨や小物を見たり買ったりしていました。GMOペパボには「インターネットで可能性をつなげる・ひろげる」というミッションがありますので、趣味とミッションを繋ぐ事業としてハンドメイドのC to Cサービスを考えました。社内公募へ応募し、企画が通って、サービスを立ち上げました。

雑貨やハンドメイドがお好きとのことですが、そういったジャンルの仕事・サービスを手がけたいという想いはもとからあったのですか?

ありませんでした。ハンドメイドは、純粋に趣味として好きでした。新規事業というお題が社内公募で出てから、「自分はどういう提案ができるか」と考えた時に、好きだったハンドメイドの世界に想いが至ったところからスタートしています。なぜそういうマーケットが欲しいと思ったかというと、イベントで作家さんに会って話をした後、家で作家カードに記載されている情報からブログを見たりネットで検索をするのですが、そこからなかなか作品にたどり着けず、購入できないことが多かったのです。そこでネット上にハンドメイドのマーケットを作れば、自分自身もうれしいですし、他のハンドメイドファンからも喜ばれるのではないかと思いました。作家さん自身も、イベントだと作品を届けられるのはイベントに参加した周辺の人だけですが、ネットであれば日本中、世界中のハンドメイドファンに広げることができるので、そういうサービスを作りたいと思いました。

作家さんは作品を作ることで手一杯ですから、ネットでの発信までは手が回りませんよね。

はい。作家さんの話を聞いていると「ネットショップの作り方が分からない」と、ネットに対するハードルがとても高かったのです。だから、minneを設計するにあたりとにかくシンプルに、できるだけ簡単にお使いいただけるよう、作家さんが作品づくりに集中できるサービスにしようと心がけました。

minneは博多弁の●●してみんねの“みんね” 出してみんね! 買ってみんね! 来てみんね!

手作り感とスタンダードなイメージをデザインしたのロゴマーク。minneは博多弁の「●●してみんね」が由来。

手作り感とスタンダードなイメージをデザインしたロゴマーク。minneは博多弁の「●●してみんね」が由来。

minne立ち上げまでの阿部さんのキャリアを教えてください。

2006年に入社し、まず最初はネットショップ構築サービス「カラーミーショップ」のカスタマーサポートを担当しました。次にブログサービス「JUGEM」で広告運用やマーケティングを担当後、ショッピングモール「カラメル」の企画運営を経て、福岡でminneを立ち上げました。元々は、東京の本社勤務でしたが、minneの立ち上げとともに福岡配属となり、去年(2015年)、東京に戻ってきました。

では、minneは福岡発祥なのですね。

はい。minneの名前の由来も、博多弁の「●●してみんね」からです。福岡で立ち上げたサービスなので、その土地にゆかりのある名前にしたいと思いました。「食べてみんね」「見てみんね」など、「●●してみない?」という意味があります。minneは作品を購入するお客さん、作品を販売する作家さん、双方が利用するサービスです。作家さんには「出してみんね」「売ってみんね」、購入するお客さんには「買ってみんね」「来てみんね」という呼びかける言葉なので、「みんね」ってすごくいい言葉だなあと思ったのです。

ロゴデザインについてこだわったポイントは?

mとnの左側が若干はみ出ています。通常のフォントですと、はみ出していませんが、人の手が加わったイメージをデザインしています。また、「ハンドメイドといえば、スタンダードはminne」という認識をお持ちいただけるように、ある程度太めで、存在感のある書体で作っています。ただ、無骨な感じにならないよう、丸みを付けて優しい感じに、温かみのある手作業の雰囲気を出しました。

「気軽に作品を販売して欲しい」作り手想いのシステム

現在の minne事業について教えてください。

ハンドメイド作家さんが個人で簡単に販売できるマーケットサイトで、ブログを書く感覚で作品を販売・展示できます。作家さんは会員登録も作品登録も無料で、作品が売れた時にだけ10%(税抜)の販売手数料をいただいています。作品が数多く集まるので、ハンドメイドや雑貨好きな方にとっては、自分の好きなものが溢れるマーケットです。

会員登録も作品登録も無料というところに、ネットでの作品販売のハードルを下げたい、という作家さんへの想いが伝わってきますね。

当初は月額で会員登録料をいただく案もありましたが、ネットでハンドメイドの作品を販売するマーケット規模が小さい中で料金を取ってしまうと、今後も広がっていかないのでは、と開始前に方針転換をして無料にしました。まずは作品をネット上に出していただくことを最優先に考えることにしました。ウェブサイトのサービスとしてスタートしましたが、今はアプリが中心で、スマートフォンからの閲覧が9割を超えています。2015年にテレビCMとウェブ広告でアプリの訴求をした際に、利用率は逆転しました。その頃既に世の中ではブラウザ版とスマホ版の利用率が逆転していましたし、アプリが伸びることはある程度予測できていましたので、そちらへ一気にシフトしていこうという考えのもとで戦略的にPRをしました。

サービスの魅力を伝える「エバンジェリスト」 スタッフもファンを増やすことが大切

minne事業部のあるオフィス。全国の作家と購入者をつなぎ、ハンドメイドマーケットを盛り上げている。

minne事業部のあるオフィス。全国の作家と購入者をつなぎ、ハンドメイドマーケットを盛り上げている。

阿部さんの肩書き「エバンジェリスト」についてお聞かせください。お名刺には「minneのザビエル」とありますが、「伝道師」といったイメージ・役割でしょうか。

「エバンジェリスト」を名乗ったのは2015年からです。 最近、IT業界では「エバンジェリスト」と名乗る人たちが増えてきています。まさに「伝道師」のことで、サービスを伝えるという役目があります。作家さんにminneについて説明したり、メディアのインタビューに応えてサービスの告知をしたり、トークセッションなどのイベントでminneについて話しています。

一緒に働くスタッフに対して、どのようなことを求めますか?

minneとしては、このサービスが好きなことが大変重要だと思います。ハンドメイドについての理解をある程度持っていて、好きになって、実際に使っている、そういったことは最低限必要だと感じています。 基本的なこととしては、何事も前向きにとらえて仕事ができるという事も大事ですね。 また、会社(GMOペパボ)としては、「大切にして欲しい3つのこと」というのがあります。それは、1.みんなと仲良くすること、2.ファンを増やすこと、3.アウトプットすること、です。特に、minneのスタッフは作家さんと接する機会が多いためファンを増やすことを意識してもらうようにしています。

食品、Webマガジン「minne mag.」を新たにスタート 多くの人に選ばれるハンドメイドマーケットサイトを目指して


minneについて、今後、どのような展開をお考えですか?

minneとしては、サイトへこられた方に楽しんでいただくことこそが重要だと考えていますので、みなさまに楽しんでいただけるサービスを増やしていきたいと思っています。ハンドメイドを「物づくり」として捉え、今年(2016年)4月、食品のカテゴリーを増やしました。食品は安心してお買い上げいただけるように、許認可を持っている人が作ったものだけを扱っています。今後はハンドメイド用の素材や、クラフトビールといったお酒類、ハンドメイドと親和性の高いビンテージアイテムなど扱うカテゴリーを拡大していきたいと考えています。 今、minneの作品は400万点以上ありまして、欲しいものが見つけづらくなってきている、という課題があります。トップページにはディレクターがキュレーションしたものが表示されるのですが、ユーザーに合わせて好みのものを訴求する仕組みを提供していきたいと考えています。

今年(2016年)、6月にWebマガジン「minne mag.(ミンネマグ)」をスタートされたということですが、そちらについてもお話いただけますか。

minneは作品を探しに来る場所なので、欲しいものが見つからなかった場合、ユーザーが離脱してしまうという課題がありました。そこで、作品を探すこと以外にもminneに来ていただくための動機作りとして、作品の背景や作品をスタッフが記事として紹介する、作家さんの顔が見えるメディアを立ち上げました。ハンドメイドを扱うお店の情報や、その月に開催されるイベントの情報なども盛り込んでいます。

阿部さんご自身が目指していること、将来の展望・夢などを教えてください。

私はminneを立ち上げた責任者ですので、サービスを大きくすることこそが一番の夢です。ハンドメイドについては、まだまだ認知が低いと感じています。たとえばネットで買い物をする時に、アマゾンや楽天、自分が好きなブランドのECサイトなどが頭の中に浮かびますが、その中にハンドメイドのサイトはなかなか登場して来ない。だからminneを世の中の人みんなが知っていて、選ばれるマーケットに育てたいという想いがあります。 ハンドメイドの価値をきちんと伝えたいとも思っています。ハンドメイドの印象は二極化していて、とても高級なものか、チープなものだと思われています。ハンドメイドには、価格、クオリティ、センスが揃った、良いものがたくさんあることを伝えていきたいです。minneのサービスを大きくしていくことで、ハンドメイドの魅力を世の中に伝えられると思っています。

作品に込められた想い、イベント情報など、ハンドメイドの魅力をさらに楽しめるWebマガジン「minne mag.(ミンネマグ)」。

作品に込められた想い、イベント情報など、ハンドメイドの魅力をさらに楽しめるWebマガジン「minne mag.(ミンネマグ)」。

取材日: 2016年11月10日 ライター: 保坂久美

GMOペパボ株式会社

GMOペパボ株式会社(英文表記:GMO Pepabo, Inc.)

  • 代表者名: 代表取締役社長 佐藤 健太郎(さとう けんたろう)
  • 設立年月: 2003年1月
  • 資本金: 1億5,967万円(2015年12月末現在)
  • 事業内容: インターネット関連サービス
  • 所在地: 東京都渋谷区桜丘町26番1号 セルリアンタワー
  • URL: https://pepabo.com
  • お問い合わせ先:上記HPの「お問い合わせ」より

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