中学生の頃から作りたかったゲーム会社 あふれる遊び心がエネルギー

東京
インプラス株式会社 代表取締役 若山晋氏
今回ご紹介するインプラス株式会社は、ゲームのシステム開発・コンテンツ制作の会社です。125ヶ国へ配信しているスマートフォン向けゲームアプリ「ハイパージャンパー」「アスリートフィールド」「俺とタマゴとマヨネーズ」をはじめ数多くのゲームを手掛けています。 「中学時代からゲーム会社を作りたかった」と語る代表取締役の若山晋氏。その夢をかなえたエピソードは、地元や県の教育委員会から人気を呼び、講演の依頼も多く、小・中・高・専門学校などの講演の機会も多いとか。ゲーム会社設立という夢を実現するまでのプロセスから、豊かな遊び心、これからの抱負まで、お話を伺いしました。

ゲーム作りの原点は 電気屋の店頭にあったデモンストレーション用のマイコン

インプラスを設立されたきっかけをお教えください。

中学生の頃から、ゲーム会社を作りたかったんです。ゲームセンターで遊んでいる時も「いつか自分でこれを作りたい」と思っていました。当時のマイコンは中学生が買えるような値段ではなかったので、電気屋さんに通ってデモンストレーション用のマイコンでプログラムを作っているうちにプログラム言語を覚えて、どんどんハマっていきました。そしてゲームがブームになって、「いつかは人を楽しませるようなゲームを自分で作りたい」という思いがふくらみました。 高校に進んでもゲーム熱は収まらず、その後もコンピューターの専門学校へ行って、念願のゲームメーカーにプログラマーとして就職し、そこで7年半、ゲーム作りを学びました。その後、新しい時代の流れをもっと知りたいと思い、転職したのですが、以前と違い、他のメーカーや制作会社など外部のいろいろな人達と仕事をするのが新鮮で、ある程度ノウハウを身につけたら独立したいと思っていました。

logo

ポジティブなイメージの「イン」と「プラス」を組み合わせて生まれた社名

社名の「インプラス」は、どういった由来ですか?英語表記の「INPLAS」は辞書に載っていなかったので、造語ですか?

そうです、造語です。「プラス」のスペルも“PLUS”を“PLAS”に変えています。ファミレスで「会社名、どうしようかな」と考えていた時、3日目くらいにこの言葉が出てきました(笑)。「イン」も「プラス」も、ポジティブなイメージがありますし、あとは「ラ行」の音を入れたかったんですね。「インプラス」は造語なので、日本ではOKでも海外ではNGな意味にならないか調べたところ、アメリカのプラスチック会社で同じスペルが使われていたので、これなら大丈夫だと決めました。

小学生の頃は電車好き もうひとつの好きなことも、今に繋がっている

御社のホームページを拝見しますと、若山さんはゲーム以外では子供の頃、鉄道がお好きだったとありますが?

小学生の頃は電車が好きで、Nゲージなどの鉄道模型で遊んだり、朝から上野駅へ写真を撮りに行ったりしていました。今はコンピューターでゲームを作っていますが、電車が好きだったという思いがずっとありましたので、その2つを合体させて鉄道のゲームを作りました。これも、小さい頃からの夢を実現させたひとつになりますね。

社屋

社屋の前を走る模型列車「北斗星」
メディアの注目を集め、取材も多数

講演ではこういったお話は喜ばれますね。

そうですね。ほかに電車好きのエピソードとしては、社屋の前には電車が走っていて、旅番組などのテレビ取材も来ます。

大人3人が乗れるほど、作りがしっかりしていますね。

社員の皆は、あきれ顔ですが(笑)。こうしてテレビで取り上げられるようになったのは、狙い通りなのです。変わったことをすればメディアが来る、会社や僕を宣伝してくれる、そうなると全国的に知名度が上がる、ホームページのアクセスが増える、商品の宣伝にもなる、と考えたのです。

それから、ギネスの記録もお持ちだとホームページにありましたが、どういった内容ですか?

実はボランティアであるゆるキャラの中の人をやっていて、イベントや、スポーツの試合の応援などにも行っています。2013年の羽生市のゆるキャラサミットで、100メートル四方の中にゆるキャラが何体入れるか挑戦したんです。その時、376体詰め込んでギネス記録になりました。中の人になったキッカケは、自治体のイベントに関わっていた縁で、うっかり中に入ったらジャストフィット、というワケです(笑)。

運命の出会いですね(笑)。

はい(笑)。9月にも工場見学のイベントに参加します。 よく、ゆるキャラ同士で抱き合ったりしていますが、中身はオジサンです(一同笑)。

設立後の激しいアップダウンを乗り越え 時代を読みながらゲームを作り続ける

設立して大変だったこと、よかったことをお教えください。

設立時はひとりだったのですが、ゲームソフトを作りたいものの取引できる相手もなく、地元のパソコンの便利屋さんからスタートしました。ホームページや印刷物を作っていましたが、食べていけず、貯金の食いつぶしでしたね。たまに講演の仕事も入ってきましたが、話すのは90分なのに資料作りに2週間くらいかかってしまい、全然割りに合いませんでしたから(笑)。先輩方に「仕事ありますか?」と連絡をとってPlayStation向けのデータ制作などの仕事をいただきましたが、これだけでは全然ビジョンがありませんし、ゲームを作りたい夢はあるし…そんな時にドコモからアプリが動く携帯電話が発売されるらしいと聞きまして、「携帯電話でゲームが遊べるようなるかもしれない」と、新しもの好きのアンテナがひっかかりました。 知り合いのプログラマーとサンプルを作りゲーム会社へ営業に行ったところ、モバイルの部署が立ち上がった頃で、ちょうど外注先の会社を探していたんです。携帯電話にバンドルされるシューティングゲームの仕事でした。その仕事が実績になりまして、「これもできますか?」と、次々と依頼が入りました。スタッフ1人では足りず、何人かとメールやチャットで連絡を取り合って仕事をしました。それまで金銭的に厳しく、再就職も考えていましたが、貯金も設立当初の額まで挽回して「あれ?若山バブル発生?」と思いましたね(笑)。

携帯ゲームの仕事が、今へ続く契機だったのですね。

調子にのってクルマを買ったりしましたが、バブルは続くはずもなく、仕事が一気になくなって、また元の極貧生活に戻りました。

アップダウンが激しいですね。

自社でゲームを作ればまた違ったと思いますが、この業界は先が見えないので、頑に拒否していたのです。あとから出てきた会社では、自社で作って伸びていったところもあります。競争が激しくなると、価格やスタッフの確保も厳しくなりましたが、なんとかギリギリで続けました。僕の中ではコンピューター業界は10年ごとにフルモデルチェンジ、5年ごとにマイナーチェンジがある感じです。その時に新しい波に乗れれば、次の5年、10年は大丈夫だと思います。ガラケーが出て、スマホに代わって、次は「クラウドゲーム」になるのでは、という段階ですね。その波にどこよりも早く乗ろうとしていまして、開発も進んでいます。

埼玉・北本での設立はデメリットでなく 会社にも、働く人にも、大きなメリット

会社の設立は東京でなく、なぜ埼玉の北本市を選んだのですか?

地元愛です。生まれも育ちも北本市で、観光協会の副会長やボウリング連盟の支部長などもしています。ちなみにボウリングのハイスコアは290点です。

そんなスコア見たことありません(驚)。プロ並みですね。

ボウリングの他には、ゴルフ、ウェイクボード、スノーボード、クルマ、麻雀、手品をやっています。

多趣味でいらっしゃるんですね。

多趣味のおかげで、大抵の方とは話が合いますね。地元では、異業種の方達や、市役所、国会議員の方とも知り合って、人脈も増えました。北本では人材募集に不利なのでは?と言われますが、都内でうちの規模の会社が募集をしても、大手には勝てません。なら、地元だけで勝負しようと。うちの社員は隣町や隣駅の人が多いですが、技術は高いです。都内の大手企業に勤めていた人達が転職を考えていたら、近くにゲーム会社があった、と集まってくれました。

コンテンツにさらに力を入れる将来のビジョン 自社パブリッシングで充実感アップ!

黒子スタイル

コンシューマーゲームではインプラス初の自社パブリッシングとなるニンテンドー3DS「黒子スタイル」

現在の仕事についてお話しください。

今のイチオシは、ニンテンドー3DS「黒子スタイル」で、自社パブリッシングです。携帯ゲームでは自社パブリッシングも手掛けましたが、コンシューマーゲームでは初めてです。同業他社の方から「よくやったねえ」と言ってもらえます。ニンテンドー3DSクラスになると規模が大きいので、リスクを心配してなかなか自社開発・自社販売をやらないんですよ。かなりの大冒険でしたが、自社パブリッシングだと、社員の皆のモチベーションがとても高いです。受注ビジネスは作った分のお金が入る「足し算」ですが、自社パブリッシングは、自社で作ったものが売れるたびに実入りのある「掛け算」です。自分たちで好きなものを作って、対価としてお金が入る、それって、夢がありますよね。充実感も違いますし、第2弾を作ろうという声もあります。

今後、手掛けたいことや抱負などをお教えください。

技術的な面では先ほどお話しした「クラウドゲーム」ですね。どこにいても遊べて、ソフトをダウンロードする必要がありません。たとえば旅行先で、居酒屋のテレビと「クラウドゲーム」をつないだら、スマホをコントローラーにして遊んでいるゲームが楽しめます。その続きもホテルに帰ってテレビがあればできるという、ゲーム機がいらない方法が実現していまして、その話を聞いた時に面白いなと思いました。ゲーム業界が混沌としている中で、新しモノ好きとしてはこの流れに乗らないはずはありません。 ビジョンとしては、5年、10年ごとに変わるハードに合わせてゲームを作るのは古いと思っているので、よりコンテンツに力を入れていこうと思います。コンテンツはハードが変わっても変わりませんから。渋沢栄一賞を受賞した携帯用のゲーム「鉄道@パズル」は、トップページから、パズルゲーム、アクションゲーム、クイズまで、テーマを全て電車にしました。JR東日本からも許諾をいただきまして、『鉄道ゲームはインプラス』と言われるよう取り組んでいます。鉄道コンテンツで世界一になりたいと思っているのです。あとは自分たちで開発から販売まで手掛ける自社パブリッシングを増やすことも目標ですね。目指せ上場!です。

会社として、一緒に働く人にはどのようなことを求めていますか?

自分で考えて行動できる人、コミュニケーション能力の高い人ですね。技術は、勉強や経験であとから誰でも身に付きます。ですので、技術力の高い人より、自分で発想できる人、コミュニケーションができる人に来てほしいと思います。そういったスキルの高い人は、どこへ行っても成功しますよね。

取材日:2014年7月23日

インプラス株式会社

  • 代表取締役:若山 晋(わかやま しん)
  • 設立年月:2001年5月10日
  • 資本金:3,000,000円
  • 事業内容:インターネットを利用した各種情報サービス/インターネットのホームページの企画、製作/コンピューターソフトウェアの企画、開発、販売/コンピューターグラフィックスの企画、制作/マルチメディアコンテンツの企画制作プロデュース/コンピューターを利用した各種広告制作/コンピューターの保守業務/キャラクターグッズの企画・製造・販売
  • 所在地:埼玉県北本市
  • URL:http://www.inplas.ne.jp/inplas/index.html
  • お問い合わせ先:info@inplas.ne.jp

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2014.3.12 配信開始 ジャンル:黒子ジャンプアクション プレイ人数:1人 3D映像の表示:あり セーブデータ数:1 価格:600円(税込)

●公式HP http://www.inplas.ne.jp/kuroko/pc/index.html ●ニンテンドーeショップ http://www.nintendo.co.jp/3ds/eshop/junj/index.html

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