機材レンタルだけではない ユーザーのニーズを把握し コンサルティングできる企業へ

東京
株式会社サークル 営業部課長 太田成洋氏
 
株式会社サークルは、主に番組制作会社などへ放送機材や音響機器をレンタルする事業を柱とし、特に中継に関する機材を得意としています。営業部課長の太田成洋さんは、創業者で代表取締役社長の太田洋世さんのご子息で、レンタル機材の購入など会社の要となる業務を担当しています。 放送業界を取り巻く環境が厳しさを増す中、ただ機材を貸し出すのではなく、クライアントには何が必要なのかを考えることで、従来の事業をますます強固にしつつ、グループ会社を通じて新たなビジネスの構想も展開しています。

明らかに増えている映像制作のニーズに的確に応えつづけたい。

貴社の概要と業界の状況をご説明ください。

当社は1983年に有限会社サークル商事として活動を開始、当初は楽器を搬入する事業を手がけましたが、「“衣食住”のように人の生活にテレビは欠かせないから放送業界は万全ではないか」と着目し、放送機材のレンタル事業に進出しました。 その着想はかなり的を射たようで、大きな追い風を感じながら成長しました。ただ、成長のピークは長野オリンピックのあたりにあったようで、その後はテレビ業界の構造改革を背景とする番組制作予算の低迷の影響を受けています。 ただ当社の事業はテレビ業界だけをユーザーとするわけではなく、広く映像制作の世界全般をターゲットとしています。今後は、そういった中から潜在ニーズを掘り起こすことで、さらなる成長が可能だと考えています。

不況の影響で予算や規模が縮小されたとはいえ、テレビ業界がなくなることは考えづらいですしね。

そうですね、なくなることはありません。しかし、常に劇的に変貌する世界です。たとえば、以前のようにその時間になったら必ずテレビを見るという習慣は薄らいできて、「録画して後で見ればいい」、「ネットで見ればいい」といった新しい視聴者傾向が強まっているのもそのひとつ。視聴者が何を求めるかの変化が大きな影響を及ぼす世界ですから、動向には常に敏感でいたいですね。

テレビにこだわらず“映像”、“放送”ととらえれば、明るい未来がありそうですね。

たとえば不動産業界やパチンコ業界で自社が映像をつくって製品に使う、ホームページで映像を配信する。たとえば業種にかかわらず、株主総会をネット配信することも多くなってきています。映像部門という見方をすれば、需要は確実に増えていると考えられます。 また、当社の場合、技術動向への対応が大きな意味を持ちます。たとえば最新の技術として、3Dがあります。地上波テレビでは3D放送はしていませんが、BS放送では実験的な番組が放映された実績があります。 3Dを撮るためのカメラ、ディグという調整装置、2Dの映像を3Dに変換するコンバーターや映像を見るためのモニターなどを取りそろえ、ニーズに対応しています。ネット、ゲーム、携帯電話でも3Dのコンテンツを作ったり、3Dが見られるアプリができたりと、3Dの案件は着実に増えています。

門外漢は、「レンタル会社は機材を確保してそれを貸し出せばビジネスになる」と考えてしまいます。ですが、実は、何が求められているか――知識や分析を怠れば、立ちゆかない世界なのですね。

そうですね。しかも、映像制作や放送に関する機材は高額なものが多いため、機材導入は社運をかけてのことになるケースばかりです。新しい機械をただ入れても借りていただける保証など、まったくありませんから。 今のニーズに乗らないとブームについて行けないですし、でも一方でそのブームがずっとつづくのかなど、誰にもわかりません。

「導入したけれどもあまり使ってもらえなかった」というような失敗談もあるのですか?

もちろん、あります(笑)。ユーザーにリサーチをかけても、機材を用意する我々とユーザーの間には熱意の差があり、なかなか的確な予想はできません。典型的なのが、「こういう機材があれば便利だな」と理想を話してくださるのですが、実際には「予算はないので借りられない」となるケース。そこを見きわめる目と決断力が重要になってきます。

導入判断へのプレッシャーは、かなりのものがありそうですね。

「機材を導入しました、でも全然レンタルされていません」は、本当につらい(笑)。ただ一方で、当初はほとんど稼働しなかった機材が、5年後、10年後に花咲くということもある。本当に難しい世界なのです。

ただ機材を貸し出すだけではないサービスを。

番組制作予算が減っていることで、テレビ業界に起きている変化はありますか?

以前は制作会社は、技術会社の協力を仰ぎ最新機材の準備や運用を行っていました。しかし最近は、予算がないため技術会社の協力なしで制作会社が動くケースが増えています。つまるところ、機材の知識の足りない制作現場が増え、「この機材に関しては知ってるけど、この機材は知らない」、「どれとどれを組み合わせたらいいのか分からない」というお客様から、当社に直接相談が寄せられることが多くなっているのです。 いわばコンサルティングを求められている状況に、柔軟に対応できるのが当社の強みと言えます。「こういう感じで撮影したいんだけど」というイメージが示されれば、「こういう機材をそろえると、こういうことができます」とアドバイスします。機材の操作に関しても、当社が絵コンテで「ここを触ってください」というような手順書をつくり、誤操作による破損などを回避しています。

レンタル業というより、コンサルティング業に近い活動ですね。

ただ、当社ではコンサルティング料はいただいていません。一レンタル事業者として、ユーザーに喜んでいただき、納得していただくための業務と認識していますから。 また、さらに重要なのは、「必要とされる機材を、確実に揃える」というレンタルの基本姿勢だと思います。当社では、必要な機材がなければ、日本中、あるいは海外からもかき集めて提供する努力をつづけます。その上でもし、用意できないのであれば「違う機材でこういうことができますけが、こういうスタイルにしたらいかがですか?」という提案を示します。当社のリピーターとなってくれているお客様からは、その点への評価をいただけていると実感しています。

既成の枠にとらわれないチャレンジで、さらなる成長を。

新しい取り組み、トピックスはありますか?

最近、iPhone用のアプリを開発しました。レンタルの発注、機材の詳細閲覧などの機能を盛り込んだものですが、利用者からはかなりの評価を得ています。発端は社内のゲーム好きのスタッフやiPhoneユーザーの何気ない会話だったのですが、「やってみよう」と冒険心を発揮し、社外の専門家の協力を得て完成させました。

 

iconサークルレンタルカタログ(放送業務用)

放送・業務用映像機器のレンタル・販売を行う株式会社サークルから、無料のレンタル・販売カタログアプリが登場!600点を超える商品が収録された、放送・映像業界に必携のアプリです!

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レンタルを事業とする企業で、アプリケーション開発をするとは夢にも思わなかったでしょうね。

本当に(笑)。ですが、アプリケーション開発に限らず、常にいろいろな情報を収集して、半歩先、1歩先の手を打つことは常に求められることです。そんな努力を惜しまなければ、成長は期待できますし、取り組む面白さも絶えることはない業界だと思います。

将来展望をお教えください。

サークルはレンタル会社ですので、常に最新の、ニーズのある機材をお貸しすることが事業の第一義です。一方、当社は親会社の下で太成グループを構成しています。サークルのほかには、放送編集関係の「スムック」、CG制作の「アイドカ」などがあり、それぞれに独自の得意分野で事業を拡大しています。 時代の荒波を乗り切るには、「時代に即した、伸びる事業」にいち早く進出し、力を蓄え、展開することが必要です。太成グループとして常に前進する中で、サークルがグループの屋台骨でありつづけられるよう、ニーズに敏感で的確な判断がくだせる企業でいたいと考えています。

(取材日:2011年7月)

株式会社サークル

  • 代表取締役社長:太田洋世
  • 事業内容:
    • 放送機器及び音響機器のレンタル、リース、販売並びに修理
    • 労働派遣事業
    • 映像機器の商品開発
    • 特殊機材のセッティング及びオペレート業務
    • 映画の製作、上映、配給及び賃貸
    • 映画、ビデオ、テレビ放送番組の製作編集スタジオの経営
    • 各種学校における視聴覚教室の設計
  • 設立:1990年2月23日
  • 資本金:3,000万円
  • 所在地(本社):〒162-0844 東京都新宿区市ヶ谷八幡町16-512
  • TEL:03-3235-9501
  • FAX:03-3235-9501
  • URL:http://www.circle-j.co.jp
  • 問い合わせメール:上記HP「お問い合わせ」ボタンより
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