会社は社員のため。 自分が死んだ後も続く会社にしたい

大阪
クローバーラボ株式会社 代表取締役 小山力也氏
 
クローバーラボ株式会社は、おもにソーシャルゲームの企画・開発・運営を手がけている会社です。2009年に5名でスタート、2013年現在は42名のスタッフが在籍し、急成長を遂げている会社といえるでしょう。社内には本格的なバーカウンターを設置するなど、遊び心にあふれた会社ですが、そこには代表取締役である小山力也さんの仕事や社員に対する熱い思いがありました。

ソーシャルゲームの企画開発に絞り、生産性も向上

勇者と魔王

会社を設立されたきっかけを教えてください。

設立前は、WEBシステムや携帯アプリ、家庭用ゲーム機のゲームソフトなどの受託開発を行う会社で営業と管理を行っていました。でもリーマンショックの影響で売上が激減し、その際、当時の社長と経営戦略や経営に対する考え方の違いが明確になったんです。それで辞めることを決意しました。2009年6月末に辞めて、同じ会社にいた5人で会社を設立、それが同年の7月1日です。 事業内容にはこだわりはなく、“仲間と起業してやっていこう”ということが大きかったですね。自分以外の4人はエンジニアですから、できることはソフトウエアの開発です。ただし下請けではなく、いずれは自分たちのサービスを世の中に提供し、その対価としてお金を得たいというこだわりはありました。キャッシュフローの問題もありましたから、最初は受託開発をやりながらでしたが。

創業当時はどのような仕事をされていたのですか?

創業して最初の仕事が今でいうソーシャルゲームです。“ソーシャルゲーム”という言葉もまだなかった頃ですね。その後は一般のWEBシステムの受託開発を行っていましたが、2010年にソーシャルゲームの受託開発だけに絞るようになりました。 クローバーラボには“ものづくりをしたい人間”と、“ゲームが作りたい人間”、“ビジネスとしてソーシャルゲームをとらえる人間”がいましたが、共通するのは「ソーシャルゲームっていいよね」ということ。WEBシステムの開発はコストがかかりましたが、ソーシャルゲームに絞ることで生産性も一気にアップしました。 2012年6月には受託開発も終了して、現在は自社オリジナルゲームの開発と運営に絞っています。

キングダムブレイク

ソーシャルゲームの企画開発運営以外に、手がけられていることはありますか?

今後の試みとして、ソーシャルグラフを用いたWEBサービス事業の展開を考えています。インターネットを使って、人とのつながりをWEBサービスに置き換える仕組みですが、それが多くの人々に面白いと思ってもらえたり使えたりするものだといいなと思っています。 また、GooglePlayとAppStoreというスマートフォンの主要マーケットにも、この春にゲームを提供すべく開発しています。その数字を見ながら、韓国などの東アジアや東南アジア圏を中心に、海外へもチャレンジしようと思っています。

“社員のための企業”であり続けること

企業ビジョンである「100人・100億・100年企業」という言葉が印象的です。

「100人・100億・100年企業」のなかでも一番重要なのは「100年企業」。会社は誰のためかというと、株主のためでも社長のためでもなく、社員のためだと思っています。社員の生活、その家族も含めて、この会社とつながっているわけですから、長く会社を続けることが重要じゃないかと思います。 会社を100年も続けるためには、それなりに世の中に認められ、かつ必要とされる存在でなければなりません。ですから会社として必要な機能や、いい会社だと思ってもらえる要素というのはどんどんプラスしていくことが重要です。そういう目的があることで、私自身も日々がんばっていけるのだと思います。

社長自身の目標でもあるんですね。

そうですね。それに“100年企業”には「自分が死んでも続く会社にしたい」という意味も込めています。クローバーラボという会社にとって、私自身は成長期までは必要ですが、安定期に入ればいらない人間だと思っています。この会社をある一定のところまで持っていけたら、あとは安定期の経営がうまい人が入るのがいいのではないかな、と。 私は引き際というのは大事だと思っていて、引退する時期を決めているんです。それは30億円のキャッシュを会社に内部留保すること。社員のみんなに約束しているのは生活の保証ですから、30億円あれば今の社員が全員60歳まで最低年収300万確保していけます。会社として1円も売り上げなくてもみんなご飯が食べられますから、それが達成できれば僕の仕事はそこで終わりです。 基本のスタンスは“働いているみんなにとって優しい会社”です。「環境の整った会社だな」と思われるかもしれませんが、一方で社員側にも「自分の将来のために死ぬほど頑張ります」という責任が求められます。社員が頑張ってくれれば、会社も潤うことにつながりますから、社員と会社はギブアンドテイクの関係でいたいと思います。

入口すぐにあるバーカウンターも社員のみなさんのためなのでしょうか?

バーカウンター

社員も自由に使えますが、私自身が飲んで喋るのが好きなんですね。お酒を飲みながら、プライベートなところも含めて社員の気持ちや状況を知りたいし、逆に自分がどういう思いをもって会社をやっているのか、これからどうしていきたいのかも話したい。 業務で接する機会の少ない人も多いし、社長が何を考えているのかを社員が知らない状態はリスキーでしょう。アルコールが入ると口が滑らかに動きますし、理念や考え方を共有する場所としてバーカウンターを活用しています。 打ち合わせにお酒目的で来られる方もいるんですよ(笑)。ですから、17時以降は「ノド乾きましたね」「飲みますか?」みたいな感じで、飲み始めることもあります。食べ物はないですが、お酒の卸業者から仕入れているので、お店で飲むよりは安く飲めるんです。

株式公開を目指して、会社を整備していきたい

今後、どんな会社にしていきたいとお考えですか?

“100年企業”として存在するためには、会社として必要な機能や仕組みが大事です。そのためにも株式公開は必要ではないかと考えています。株式公開に向けて様々な整備をすることによって、組織として必要な機能を持つことができますから。ですから、直近の目標としてはまず株式公開ですね。 でも、昔の上場バブルの影響で、株式公開のイメージがとても悪くなっています。うちの社員もみんな株式公開にあまり興味がないようです。でも株式公開することのメリットをきちんと説明しなければならないと思っています。会社として信頼されているという一つの証明ですから。 うちの社員は私も含めて、高学歴であったり、経験豊富だったり、大企業出身だったりというような、仕事をしていく上でプライドの一つになるような経験をしていません。だからこそ、自信を持って誇れるような会社にしてあげたいんです。ご両親やご家族にも、そういう会社で働いていることで、胸を張ってほしいという気持ちがあります。

事業としては、今後の目標はお持ちですか?

今後展開するものも、人が関われるWEBサービスにはなると思います。これまでもコミュニケーション主体でインターネットが発展してきましたから。流行りのマーケットに、その都度自分たちのコンテンツサービスを作って運営していくことは、続けようと思っています。 会社を立ち上げた時も、今までの変遷も“なるようにしかなってない”のかなと思っているんです。もちろん、そのための努力は必要で、“人事を尽くして天命を待つ”というのは、まさしくその通り。やるべきことをやらなければ、なるようにもなりません。いろいろなタイミングやチャンスがあると思いますが、そこに向けてしっかりと準備はしていきたいと思っています。

取材日:2012年1月28日

クローバーラボ株式会社

  • 代表取締役:小山力也(こやまりきや)
  • 設立年月:2009年7月
  • 資本金:10,000,000円
  • 事業内容:
    • ソーシャルゲームの企画・開発・運営事業
    • ソーシャルグラフを用いたWebコンテンツの企画・開発・運営事業
  • 所在地:〒531-0072 大阪府大阪市北区豊崎5-6-2 北梅田大宮ビル5F
  • TEL:06-6136-5888
  • FAX:06-6136-3084
  • URL:http://cloverlab.jp/
  • お問合わせ先:上記ホームページの「CONTACT」より
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