WEB・モバイル2017.07.19

第三者的視点の提案が、お客様にとってのクリティカルポイントを生み出す

大阪
株式会社アップポイント 代表取締役 川西 雄介 氏
株式会社アップポイントは、中小企業から士業関係など多岐に渡るクライアントをもつWeb制作会社です。しかし実際は、制作だけでなく、プロモーション的な役割を担うことも多々あります。
代表の川西雄介(かわにしゆうすけ)さんは「お客様の半分は、Webで伝えたいことがあっても、何からどうすればいいかわからずに相談に来られます」と話します。アップポイントではどうクライアントと向き合っているのか、お話を伺ってまいりました。

「おまえの会社いいな」と言われる組織を目指して

以前はホテル専門の建設業界でクリエイティブ部門を担当しながら、独立を考えていたということですが、何かきっかけがあったのでしょうか。

学生時代から趣味のサーフィンをする時間を自分で作ろうと思ったことでしょうか(笑)。というのは些細なきっかけのひとつですが、会社勤めの頃も、夜中に和歌山まで出かけ、明け方の海に入り7時くらいに上がって、そこから出勤、なんてことをするくらいサーフィンにハマっていました。
でも実際は、なかなかプライベートの時間が取れない上に、経済的にも厳しい状況だったんです。なにより自分の抱く10年後、20年後の未来が、どれだけ頑張ってもその会社では叶う気がしなかったんです。
だったら、自分で会社を作ればいいと、4年会社勤めをした後、20代後半で独立しました。今振り返れば、もっと早く動けばよかったと思います。例えばなにかやりたいことがある場合、その気持ちが本当なら、すぐにやった方がいいと思うんです。やらないなら、やらないなりの道がありますから。どちらにしてもまず行動することだと思っています。

独立から4年ほどおひとりで運営された後、法人化されたのは、どのようなお考えがあったのですか

起業したときから、私の中で作りたい会社のイメージはありました。
影響を受けたのは、独立を考えていた頃に聞いていた、友人が勤める会社の話です。友人はアルバイトで入社後、どんどん出世しました。すごく頑張っていたので、その努力を正しく評価してくれるいい会社だと感じました。
給与や労働時間面でも、ワークライフバランスの良い会社で、従業員の家族の誕生日に贈り物をするなど、他では聞かない配慮もおこなっているようでした。今でも無借金経営をされている財務的にも安定した会社です。
法人化したのは、友人の会社を私が「いいな」と感じたように、「おまえの会社いいな」と周りから言ってもらえる組織を作りたいと考えたからです。

ホームページの内容と拡販方法が適正に機能してこそ、効果が出る

Web制作について、御社のホームページでは何パターンもの価格一覧が載っていますが、シンプルでわかりやすく、お客様とも話を進めやすいのではないでしょうか?

実は表記通りに進むことはほとんどないんですよ。
それはお客様の要望通りに見積もると、設定価格を上回ることもあれば、その逆に、お客様の予測よりもっとコンパクトに収まることもあるためです。

予算を最大に使えば、効果的な広告で集客できるのでは?

確かにSEOでも広告でも予算を掛ければ上位にいけます。けれど、ただやみくもに集客すればいいわけでもありません。閲覧数が多くても、サイトのデザインやレイアウトがわかりにくかったり、ほしい情報が載っていなかったり、そもそも広く集客しても、サイトのターゲットが一部の年代や職業など特定されるものだったり、サイト制作の面で問題があると売上につながりにくくなます。
大切なのはホームページの内容と拡販のやり方があっていること。要はバランスです。両方が適正に機能して初めて効果が出ます。狙いを定めた集客と、集めた顧客に必要なアンサーを用意できるか、サイトとして充実させなければいけません。
つまり広告さえ打てばいいのではなく、サイト制作にも費用が必要なのです。その場合、拡販には広告を使うのか、SEO なのか、サイトの構成にどこまで手を掛けるのか、全体で見たバランスを考えないと、最終的な効果を得るのは難しくなります。

つまり御社では、その辺りを考えるからこそ、お客様の要望によって、価格一覧より上回ることもあれば、逆に抑えることもできる、ということでしょうか?

そうですね。お客様の立場で費用対効果を考えた提案をします。お客様の状況によっては、初めはあえて抑えた予算で作成しておき、そこからお客様と一緒に考えながらサイトを成長させていくこともあります。そのように長いお付き合いとなる取引は多々あります。
そもそもお客様の半分は、サイト制作に何をすればいいかわからないという相談から始まるのです。 そうした場合、サイト制作も含め、商品やサービスのプロモーション部分をお手伝いするケースは少なくありません。

渦中にいないからこそわかることや、見えるものがある、第三者的立場としての強み

Webを通したプロモーションのお手伝いというのはどのようなものでしょうか

何をすればいいかわからないお客様には、どうすれば効果的なサイトになるか、手段方法の提案を積極的にしていきます。
あるいはお客様のサービスや商品の見方を変えることでターゲットが広がるという提案や、商品の新たな価値を模索した取り組みの提案など、こちらから企画を持ち込んでやらせてもらうこともあります。

お客様との対応で、心掛けていることはありますか

弊社ではお客様とクリエイターとの間に営業は入りません。そのほうが伝言ゲームにならず、お客様のご要望について、実現可能かどうか答えを出しやすく、早い対応ができます。なにより専門職ゆえに、難しい仕組みも噛み砕いて説明することが可能です。
そうしたヒアリングの中で、お客様の希望や思いなど、温度を読み取りながら、どんなホームページにしていくのか形作っていきます。
それぞれのお客様にとって何が重要で、ホームページに求めるべきことと、求める必要のないことをお話するので、時にはお客様の考えより少ない予算で効果を出せる提案や、お客様の考えていなかった新たな企画を提案することができるのです。

これまでの成功例などあればお聞かせください

たとえば大阪府内の8つの歯科医院が集まって作った法人企業がありました。衛生士が着るユニフォームをモード学園と提携して作りファッションショーを開くなど、面白いことをされている企業なんですが、歯科衛生士の求人で悩んでいました。かなり費用を掛けても、少し郊外になると応募がなくて苦労されていたんです。
その背景を探ると、実は、働く側の悩みがありました。日々技術が進歩している医療分野で、出産や介護などで休職し、少しでも期間を空けば、復職したくても戻り方がわからず戻れないのです。
そこで復職希望される方々にフォーカスをあて、法人で復職支援をすればどうかというプレゼンを、8医院の定例会議で提案させていただきました。
結果としては、この企画が通り、概案を詳細へ落とし込んだり、サイトを作成したり、弊社もお手伝いをさせてもらうことで、求人に結び付いたという例があります。
プレゼン成功の要因としては、求人に応募がなく、企業様も行き詰っていた時に、弊社にお声かけいただいて、すぐに対応できたことがよかったのだと思います。個人病院を経営される先生が8人も集まると、様々な意見があってなかなかまとまらなかったみたいで、ある意味、弊社のように当事者でない外部の視点というのは、先生方にとって受け入れやすかったようです。

見方を変えた提案をしたり、ゼロから企画をおこしたり、フットワークの良さを感じます

できないとは言わないようにしています。とりあえずやってみるんです。
当たり前ですが、納期は必ず守るので、経験のない場合は必死ですけどね(笑)。
でも弊社が外から入ることで、渦中にいないからこそ、お客様には見えなかったことや気づかなかったことがわかったり、見えたりします。第三者的立場としての強みを生かして、仕上がったサイトを「めっちゃいいやん」と言ってもらえるのを目指しています。

性善説に頼らず、組織の長としての役割を果たす

社内についてお聞かせください。社長としてスタッフにどんなことを求めていますか?

自分の役割を理解し、与えられた課題を自分の力でこなそうとしてほしいです。わからなくても、一旦自分なりの考えを出してから、相談する姿勢をもってもらいたいです。
基本、私から説教めいたことは言いません。それよりもあえて多めの仕事を任せたり、きつめの課題を与えたりすることで、成長を促す気持ちを理解してもらえたらと思います。言葉は大事ですが、言いすぎると重みもなくなりますし、言ったからすぐ変わるものでもないと思うのです。

理想の組織を目指すには苦労された点もあるのではないでしょうか。

現在スタッフは6名、平均年齢は30代です。私は社長だからと特別な振る舞いをするキャラではないので、あくまでスタッフと同じ線上にいるつもりです。多分、初めて弊社を訪れた人には、誰が社長かわからない雰囲気だと思います。気さくに会話をして、会議でも対等に意見を出し合いますから。
ただ社長として組織を管理するという点では、うまくいかないこともあります。性善説で向き合うあまり、いつの間にか考えがすれ違っていたことに気づかず、袂を分かったメンバーもいました。それ以後は組織の長として、俯瞰して見ることもできるよう努力しています。

お客様にとってのクリティカルポイントとなるように

今後の目標をお聞かせください

自社サービスを展開する予定です。サイト制作のノウハウはあるので、後は何を提供するか。すでにスタッフとのミーティングでいくつも案が出ています。
例えば、ホームページを効果という視点でとらえた場合の、総合的な評価を出すシステムや、企業のサイトで、問合せや登録の際書き込んだメールフォームをバックアップするシステムなど……。お客様から要望の多い事柄から発想していきます。
作った自社サービスが成長すれば、会社の規模も広がるでしょう。けれどあまり増員はせず、むしろ各々経験を積んで深く濃く仕事に向き合えるようになってほしいです。

社名のアップポイントに込められた思いを教えてもらえますか?

物が形を変える点(ポイント)、例えば氷が水や気体へ変わる点である沸点や凝固点のことを、クリティカルポイントと呼びます。この言葉がとても印象的だったんです。
だから私たちと関わったことが、上向き(アップ)の変化の起点(ポイント)であり、お客様にとってのクリティカルポイントとなるように、との思いを込めています。

最後にひとつ、起業のきっかけのひとつだったサーフィンは行けるようになりましたか?

全然行っていません(笑)。
むしろ仕事と休日の境目がない状態です。でもあの頃よりずっと充実しています。
起業が私にとってのクリティカルポイントであり、アップポイントだったのでしょうね。

取材日: 2017年6月21日 ライター: 東野敦子

株式会社アップポイント

  • 代表者名:代表者取締役 川西 雄介(かわにし ゆうすけ)
  • 設立年月:2014年8月
  • 事業内容:ホームページ制作/デザイン/プランニング/XHTMLコーディング/CMSサイト構築/ブログ構築/SEO対策/アクセス解析
         サーバー・ドメイン管理取得代行/ホームページ更新代行/画像処理/DTPデザイン/販促物デザイン/システム
  • 所在地:〒540-0031 大阪府大阪市中央区北浜東1-29 北浜ビル2号館9F
  • 電話番号: 06-6948-6293
  • URL:https://up-point.jp/
  • お問い合わせ先 TEL : 06-6948-6293 FAX : 06-6948-6294 E-mail : info@up-point.jp
続きを読む
TOP