グラフィック2019.10.09

1枚の手描きラフから、感動を紡ぎ出す

名古屋
株式会社ハイク 代表取締役社長
Hiroki Hasegawa
長谷川 弘樹
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ショールームや展示会などの空間デザインに加え、SNS映えを演出するフォトスポットやトリックアートの企画・デザインで全国からオファーが舞い込む株式会社ハイク。30代で独立起業を果たし、快進撃を続ける同社を率いる長谷川弘樹氏に、空間デザインの世界に興味を抱いたきっかけや起業までのストーリー、クリエイターへのメッセージなどを伺いました。

ディスプレイ装飾に運命を感じて

空間デザインの世界に興味を抱いたきっかけは?

高校時代に「TVチャンピオン」という番組を観たのがきっかけです。「ディスプレイ王選手権」という企画で、ショーウィンドウのアイデア出しから装飾までをすべて一人で手がけている姿に「これだ!」と衝撃を受けました。

幼い頃から絵は好きだったのですか?

そうですね。幼少の頃はなぜか、骸骨の絵ばっかり描いていたようです(笑)。「将来は絵を描く仕事に就きたい!」とずっと思っていました。

興味を持ってから、どのように学ばれましたか?

「ディスプレイ王選手権」を観るまでは大学に進学する予定だったのですが、高校の先生に相談して専門学校に通うことにしました。そこで空間デザインの基礎を学び、名古屋のディスプレイ会社に就職しました。その会社では企業のショールームや展示会ブース、美術館の展示物、百貨店のシーズン装飾などさまざまなプロジェクトを手がけ、10年ほどして独立しました。

独立されて7年、どのように進まれてきましたか?

立ち上げ当初は私とアシスタントの2名体制だったのですが、「このままでは仕事の幅を広げていくのが難しい」と感じ、東京で活躍していた専門学校時代の仲間をディレクターとして迎えました。そこからクライアントとの直取引も増えていき、トリックアートの領域にも進出したことで活躍のフィールドがどんどん広がっていきました。現在は拠点の名古屋だけでなく、全国のクライアントの空間デザインや大型グラフィックを任せていただいています。

余白のある手描きラフで、お客さまと“チーム”になる

株式会社ハイクの名前の由来を教えてください。

よく「ハイクオリティ」とか「ハイキング」からですか?と聞かれるのですが、実は「俳句」が由来なんです。電話に出た時に言いやすい3文字の社名にすることは決めていて、いくつかの候補の中から和のテイストを感じる「ハイク」に決めました。

他社にはない「強み」はどのような所でしょうか?

ひとつは、クライアントとパートナー契約を結んで長いスパンで企画から携わる部分だと思います。広告代理店を経由する仕事ももちろんあり、中に入っていただけることで仕事がスムーズに進むというメリットも大いに感じていますが、単発の仕事だと我々の強みを活かしきれないこともあります。パートナーとして長きにわたってデザインを任せていただくことで、コスチュームなどグラフィック以外のオーダーでも、当社でハンドリングを行って納得いただけるクオリティまで高めています。

もうひとつは「センス」の部分。デザインに大切なのはやはりセンスで、それは世界に対して常にアンテナを張っているかどうかで決まると考えています。常に新しいものを吸収し、固定観念や既成概念を外すことに努めています。また、新しいモノ・コトだけがいいわけではなく、温故知新の心構えも大切です。ハイクはそのあたりのバランスをとることに長けている会社だと自負しています。

仕事の進め方で特に意識していることはありますか?

「アナログであること」をとても意識しています。たとえば、最初のご提案はできるだけ手描きのラフでプレゼンテーションを行うようにしています。人間の脳って興味深くて、最初に完成系に近いデザインラフを見せてしまうと“落とし所”がある程度わかってしまって面白くないんです。しかし、空間に余白のある手描きのラフを見せると「ここはどうなるの?」「ここはこうしよう!」とお客さまからも質問やアイデアがどんどん出てきて、そこで“チーム”になれるんです。
社内の企画会議も座って行うのではなく、立ち上がって、みんなが手を動かしてアイデアを描きながら企画を練り上げています。

引き受けた仕事は常に、世界一のクオリティをめざす。

長谷川社長が日々心がけていることは?

社長として心がけていることは特にないのですが、デザイナーとして心がけているのは高いクオリティを常に保つことです。具体的に言うと、オーダーいただいた領域で世界一をめざすくらいの気持ちで一つひとつの仕事に取り組んでいます。

今後、会社をどのように成長させていきたいですか?

現在は4名のコアメンバーがフル稼動して案件を動かしているのですが、さすがに手がまわらない状態になりつつあります。各分野のスタッフを拡充し、まずは8名くらいの組織にしようと考えています。新たな仕事もやみくもに受けるのではなく、「どうすればこの商品の魅力がスマートに伝わるだろう?」「どうすればもっと売れるだろう?」といった課題をクライアントさまと同じ目線で一緒に考え、情報発信の選択肢を検討するフェーズからご相談いただけるパートナーであり続けたいですね。

最後に、クリエイターへのメッセージをお願いします。

クリエイターとして活躍するために必要な技術については、向上心をもって仕事に取り組んでいれば必ず獲得できると思います。しかし、センスに関しては自分でアンテナを広げなければ吸収することができません。映画やアミューズメントパークなどさまざまな場所に自ら出向き、感動して帰ってくることを心がけてください。 最近はクリエイティブ職なのに“感じない人”が多いような気がしています。世の人々にいい思い出を提供する側のクリエイターこそ、自らが感動したり、物事を楽しんだりする気持ちを人一倍持つことが大事だと思います。

取材日:2019年8月21日

株式会社ハイク

  • 代表者名:長谷川 弘樹
  • 設立年月:2012年8月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:各種イベントの企画・デザイン/ディスプレイ、サインの企画・デザイン/店舗、オフィス、ショールームの企画・デザイン・設計/各種印刷物の企画・デザイン/商品企画開発・制作
  • 所在地:〒460-0008 名古屋市中区栄4丁目15-23-417
  • 電話番号:052-977-7330
  • URL:http://www.hicinc.jp
  • お問い合わせ先:info@hicinc.jp

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