WEB・モバイル2019.08.14

分析力を生かした「スピード」で勝ち抜くメディア作り

新潟
株式会社ユニークワン 代表取締役
Kazuyuki Tachikawa
立川 和行
拡大

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新潟において、メジャーなものからニッチなものまで、街の最新情報を非常に早く伝えてくれることで有名な「ガタ子さん」。イベント情報や新店情報はもちろん、個人経営の飲食店の閉店情報もマメにレポート!このガタ子さんが情報を発信している媒体が、株式会社ユニークワンの運営する「にいがた通信」。月間211万PVを誇る、新潟の一大メディアです。ユニークワンは、「にいがた通信」をはじめ、YouTubeチャンネル「にいがたTV」などの自社メディアの運営のほか、ネット広告・SEO、コンテンツ制作、メディア制作、コンサルティングを1都4県で展開する新潟のインターネット広告会社。なぜ突出したローカルメディアを作ることができたのか?その秘密を立川和行代表取締役にうかがいました。

「満員電車に揺られてみたい」と農業を継がず首都圏の大学へ

ご実家はトウモロコシやトマトなどの生産や直売所の運営をされている、新潟で大人気の農業法人「カガヤキ農園」で、しかもご長男だとうかがいました。

はい、農家の4人兄弟の長男なのですが、高校の時に「農家は継ぎたくない。サラリーマンになって、満員電車に揺られてみたい」と思って(笑)、1996年に慶応大学の総合政策学部に進学しました。それまで家では「勉強しろ」と言われるどころか、勉強していると怒られたくらいで、進学は猛反対されました。

慶応の総合政策学部がある湘南藤沢キャンパス(以下SFC)のカリキュラムは、特殊だと聞いたことがあります。

プログラミングやパワーポイントを使ったプレゼン、イラレ(Adobe Illustrator)を使ったり映像編集したりすることが、すでにSFCでは当たり前でした。Windows 96の前なので、コマンドで印刷をかけたりしていた時代ですね(笑)。 そこから在学中にバイトでWeb制作に携わったことで、コードを書いて、イメージ通りのかたちになることに面白みを感じました。それで就職は通信系の企業でエンジニアを志し、NTTドコモに入社しました。 ただ、パワーポイントが作れる人って当時まだ珍しかったんです。入社直後から信頼されてリーダー的な仕事も任されるようになり、そういった業務に適性があると言われるようになりました。

大企業の幹部候補として経営感覚を磨く

NTTドコモではどのような業務に就かれましたか?

最初の配属は埼玉支店。県内に24店舗あるドコモショップの販売支援やインセンティブ制度の設計、販売分析などを担当しました。ここでまず必然的に数字と向き合うようになりました。 そこから3年後に本社の経営企画部門へ異動。支店長の評価を決める支店経営指標など管理会計を担当しました。「これだけ収益が上がっている」という内部評価のための会計です。

今の仕事に生きている経験はありますか?

経営企画部門にいたことはものすごくよかったです。 この部門にいる人たちは将来の幹部候補たちばかり。みんな頭が良くて空き時間に自社・他社問わず決算発表とか普通に見ているんですよ。僕はYahoo!ニュースとか見ていたんですが(笑)。そういう意識の持ち方とか、業務も僕と上司が考えた目標が4万人の社員の目標になるので、自覚とか責任感とかを持てるようになりました。

エリートコースを自ら捨てて、実家の経営を継ぐつもりが…

大手企業のエリートコースでしたが、32歳の時に退職されました。

自社の目指しているものや業界の将来が見えてくる中で、自分の進みたい方向とのズレを感じ、まずは実家のカガヤキ農園に就職して、それからまた転職してもいいかな、と思い新潟に帰ってきました。

カガヤキ農園ではどんなお仕事をされていましたか?

それまで手書きの伝票とかFAXでの発注が当たり前だった感覚のところに、チャットワークやサイボウズといった便利なツールを採用しました。家業についたからには後を継ぎたい。でも、業績もいいし父も元気でいい雰囲気で会社が回っているから、少なくとも今は継ぐタイミングじゃない。でも将来父が80歳になって、60歳の僕が新社長というのもどうなのかと…。同時に農業のビジネスモデルにも思うところがあり、3年後の35歳の時にユニークワンの起業という道を選びました。

しかしそれまでITの専門的な経験はありませんよね?

業界未経験です(笑)。それでもインターネット広告企業としてユニークワンを立ち上げたのには2つ理由があります。 一つは、カガヤキ農園でたくさんの会社の人と会話をしても、ネットに関して詳しい人が新潟に全然いなかったこと。 もう一つは、Webの分析に自信があったこと。未経験でしたがNTTドコモでやっていた経営分析と比べれば、仕組みはシンプル。それで独学でGoogle アナリティクスの資格を取りました。当時は受験料50ドル、さらに試験は英語ということで、新潟で取得している人は誰もいなかったんです。だから「Googleの公認アナリストです」という看板で、最初からいいスタートが切れました。

地方のIT化をリードする企業として「広告代理業×メディア」というビジネスモデルを確立

 

ユニークワンのビジョンを教えてください。

私たちの経営理念は「地方のIT化をリードする」です。 創業した2014年当時は、分析まで含めたネット広告をできる企業が少なく、ニーズが高かった。そこで実績を積んだことで、GoogleとYahoo!JAPAN両方の正規パートナー認定を獲得。当時新潟で両方持っている企業はうちだけで、今もほとんどないと思います。

GoogleとYahoo!JAPANとつながることは、どのような強みになりましたか?

クライアントからの信頼度が高まることもそうですが、実務面でもうちの会社は構造的にうまくいくようになっています。Googleはたくさん売って欲しいから、最新情報を代理店である僕たちにおろしてくる。それで「メディア」と「広告代理業」の両方ができる僕たちが検索エンジンの最新トレンドを掴んで、クライアント業務や自社で運営している新潟の情報メディア「にいがた通信」に反映し、効果測定して次の提案につなげることができるんです。

自社メディア「にいがた通信」はかなりシンプルなデザインですが、月間211万PVも獲得していますね。

「にいがた通信」は最近特に強みとしての存在感が高まっています。経営分析を経て身につけた分析力と、その数字を見てすぐに意思決定、そしてアウトプットできるスピード感も強みです。デザインがシンプルなのは敢えてですね。

 

小さな会社が月間211万PVを達成するローカルメディアの作り方

ローカル情報の発信や自社メディアを持つ企業も増えていますが、そのなかでも勝ち抜くメディアの作り方のコツを教えてください。

初期の戦略設計が重要です。「にいがた通信」の場合、当時、ただ地元情報を流しても、類似サービスを大手メディアがやったらすぐに負けてしまうと予測しました。ならばと、大手ではできない情報提供手法を突き詰め、「ガタ子さん」というキャラクターの目線で、ニッチすぎる個人店の閉店情報まで載せるメディアにしたんです。初期設定時の想定は概ね外していなかったと実感していますが、もっと収益化していく必要性は感じています。

ユニークワンにおける優秀な人材というと、「分析ができるクリエイター」がいいと思いますか?

うちの社員はUターンが中心で、今1年で入社の応募が387人来ている状態です。 クリエイターは一人でクリエイティブも分析もできる必要はないと思いますね。その代わり、作るものへのこだわりはしっかり持ってもらいたい。クライアントの言いなりになったり、全員の意見が反映された成果物ってとってもマイルドなんです。それよりも一人の強烈な意見を取り入れたもののほうがよっぽどいいものができますから。

新潟から、世界を変えるビジネス戦略が始まっている

地方の企業ということにメリットやデメリットは感じますか?

東京でも新潟でもネットの仕事はできるので、メリットもデメリットもそんなにないと思いますが、ただ新潟のマーケットが追いついていないというか、出せる効果に対してフィーが釣り合っていないとは感じています。特に従来の美しいビジュアルの雑誌広告のような広告が良しとされて、「にいがた通信」はシンプルなデザインというだけで、効果に関わらず低く見積もられていると感じることはあります。
海外でもまだ美しいビジュアルありきの広告アプローチが主流です。だからこそ、敢えてうちのシンプルなテイストで、分析を反映してローカライズしたメディアでどこまでいけるか…このビジネス、面白くないですか?

世界を変えられそうですね!

多国籍に展開していくと新しい可能性が見えてくるんじゃないかと思っています。まだそれぞれの媒体は点でしかないですが、全国・世界の拠点が線で繋がってネットワーク化したときに、まったく違う業態になるのではないでしょうか。

成功の秘訣は「スピード」にあり。苦い思いも成長の糧に

現在社員は30人と伺いました。この5年のうちに新しいビジネスモデルを作り、急成長していますが、この決断力、行動力はどこから来ているのでしょうか。

NTTドコモにいたときに、ソフトバンクが急速に業績を上げてきたんです。ソフトバンクの施策が特に斬新だとは思いませんでした。ただ、意思決定のスピードが違ったんです。同じ業界で仕事をする中で一番重要なのはスピード。よく節目にプランを立てたりしますが、一番早いのはざっくり方向を決めてやってみて修正することです。それが一番効率がいい。うちは広告運用も3日間広告を出して、振り返って修正する。その方が仮説を立ててどうこうより一番早いんです。

ユニークワンのノウハウは今後ますますニーズが高まりそうですね。

メディアを運営して発信して潜在顧客をファンにする取り組みはこれから間違いなく増えていくでしょう。そういったメディア運営をどこに任せるかとなった時に実績があるうちが選ばれるはずです。今後、広告代理店としてもメディアとしても負けないのではないかと思っています。

取材日:2019年6月6日 ライター:丸山 智子

株式会社ユニークワン

  • 代表者名:代表取締役 立川和行
  • 設立年月:2014年4月
  • 資本金:500万円
  • 事業内容:インターネット広告代理業、インターネットメディア業
  • 所在地:〒950-0855 新潟県新潟市東区江南1-9-11
  • URL:https://www.unique1.co.jp
  • お問い合わせ先:025-288-6298

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