グラフィック2019.06.19

デザインとはモノやコト、人を心地よく繋ぐ「串」である!

札幌
株式会社20パーセント 代表/クリエイティブディレクター
Yuichi Ito
伊藤 友一

「新しいモノゴトを作る20%側の立場でありたい」そんな思いを込めた「株式会社20パーセント」は、北海道旭川市でデザイナーとして長く活躍されていた伊藤友一(いとうゆういち)さんが、大企業で広がりを見せるデザイン経営の考え方をいち早く取り入れデザインの新しい可能性を求めてスタートさせた会社です。デザインの力で地域や企業の魅力創造・発信をーそんな株式会社20パーセントの理念やデザインに対する思い、今後の展望などをお聞きしました。

デザインのボーダレス化を見据え、枠にはまらないデザインに挑戦

 

提供:五十嵐淳建築設計事務所、撮影:佐々木育弥

株式会社20パーセントの立ち上げ経緯を教えてください。

二十数年前から北海道旭川市で「有限会社デザインピークス」というデザイン会社を経営しています。デザインピークスでは大手広告代理店から受注する広告制作の仕事がメインでしたが、今後は広告に限らず色々なジャンルのデザインに挑戦していきたいと考え、現在当社の取締役でもある棟方敏恵と一緒に立ち上げたのが「株式会社20パーセント」です。クライアントからも「媒体が絡まない企画やデザインを、代理店を通さずに直接相談できないか」とよく相談を受けていましたので、広告に限らずどんな問題でもデザインという切り口を使って一緒に解決しましょう!というスタンスでスタートしました。要はクライアントの求めることは何でもやる「相談係」ですね。棟方はフリースタイリストとしても活躍していたので、まずは当時フランスのパリで流行っていたウォールステッカーのデザインや販売など空間デザイン・インテリアデザインのジャンルからスタートしました。

「20%」という社名はどんな由来があるのですか?

イタリアの社会学者パレートが提唱した「80対20の法則」からきています。「結果の80%は20%の原因から」という言葉を聞いたことがありますか?世の中のムーブメントや新しいことはコアな20%の人たちが創造していて、残りの80%の人たちはそれに影響されて動いています。私達はムーブメントを生み出す20%側の立場になりたいと、この社名をつけました。会社のロゴも20という会意文字「廿」をベースにデザインしたものです。

この地を愛し、幸せを生みだす仕事を

 

株式会社20パーセントでは主にどんなお仕事をされているのでしょうか?

20パーセントはデザインを通して企業の思いを形にしていく会社です。「新聞やテレビに広告を出せる規模じゃないけど会社のPRをしたい」「何か新しい目玉商品が欲しい」「町おこしのイベントをしたい」などのよく相談を受けます。最近はマーケティングやブランディング、商品開発などのニーズが特に高まっていると感じています。例えばロゴデザインの制作や販促物の制作一つにしても、表面的なデザインを整えるのではなく、デザイン制作を通してブランディングや付加価値作りをするといったところに重点が置かれています。

印象に残っている案件などはありますか?

旭川の家具メーカー株式会社カンディハウス様の創立50周年のロゴ制作がまさにそうですね。単純な周年ロゴの制作だけではなく、商品コンセプト作りを通してリブランディングを行い、世界への発信を見据えた経営戦略を練るお手伝いをいたしました。この時はカンディハウス様と膝を突き合わせて、1年近くの時間をかけてじっくりと取り組ませてもらいました。 また、下川町の養鶏場「あべ養鶏場」様の商品開発やブランディングにも関わらせてもらっています。卵のブランド化、PRには「こんな特別なエサを食べさせた栄養価の高い卵です!」とするのが多いのですが、もちろん他の卵も力を入れる部分ですし差別化しづらいのが現状です。そこで夏と冬の寒暖差が60度もある下川町の厳しい気候の中で育てたという点を付加価値として、「下川60(ろくまる)酵素卵」という商品開発を行いました。下川町にしかないものを付加価値として差別化を図り、商品コンセプトを設定してロゴデザインやパッケージデザイン制作などを行いました。こうして北海道の小さな町の養鶏場、卵がブランドとして全国に知られていくお手伝いも行っています。

やはり北海道の企業との仕事が多いのでしょうか?

はい、そうですね。当社の経営理念は「Love & Communication」です。これは「この地を愛し尊び、ここから幸せを創造する」と言う意味を込めています。株式会社20パーセントを立ち上げる前には旭川市で長く仕事をしていたこともあり、旭川市近郊の仕事も多いです。

伊藤社長も直接企画を手掛けることもあるのでしょうか?

経営戦略を練るとか、商品開発を一から行うとかそのようなレベルの案件には私も打ち合わせに入ることもありますが、現在は基本的には現場のスタッフに任せています。長年蓄積してきたノウハウがあり、それをしっかりレクチャーしてスタッフを育成していますので、当社のディレクタークラスのスタッフなら例えばブランディングやプランニング、MD開発なども、私と同じ考え方でしっかりこなしてくれていますよ。私は長年グラフィックデザイナーとしてデザイン制作をしていましたが、会社を立ち上げた後39歳でデザイナーを卒業してディレクターに専念し、50歳を過ぎて経営側に回ることにしました。デザインやディレクションなど実務を手放すごとに任せたスタッフが育ってくれ、組織としてスキルが上がっていくのを感じます。

デザインは地域や企業の魅力(価値)創造のための手段

 

今後の展望を教えてください。

企業ブランディングやMD開発の分野を強化していきたいと思っています。デザインというと表面的なモノやカタチをかっこよく整える技術と思われがちですが、現在では企業や商品の魅力を創り出し、それを周りに伝える効果的な手段の一つとなっています。デザインに対するニーズや活用の場も、従来の広告デザインという枠組みを超えてブランディングやMD開発、さらには経営戦略といった企業への上流部へ広がり多様化してきているので、当社でもその方向性と道筋をしっかりとつけていきたいです。特に今後は北海道の1次産業や6次産業と組んで、一緒に何か取り組みたいと考えています。

ビジュアルイメージだけではなく、企業経営そのものにもデザインの要素が影響を与えるのですね

2018年には経済産業省特許庁から「デザイン経営宣言」が提唱されました。デザインによって企業の持つブランド力とイノベーション力を向上させ、それにより企業競争力を向上させようという考え方です。大企業では近年かなり広がってきている考え方ですが、政府は今後地方の中小企業へもデザイン経営の考え方を浸透させていこうと動いています。そのような中、旭川の家具業界が取り組みへの賛同を表明し、来月6月20日には地方都市としては初めて特許庁の方を招いての講演会が旭川市で行われる予定です。(※取材日5月31日)当社が取り組むデザインを使ったブランディングやMDプランニングはまさにこのデザイン経営の考え方そのものです。地方の中小企業こそ、このデザイン経営の考え方を積極的に取り入れて行ってほしいですし、当社もそのお手伝いをしていきたいと思っています。

取材日:2019年5月31日 ライター:小山 佐知子

株式会社20パーセント

  • 代表者名:代表取締役 伊藤 友一
  • 設立年月:2006年7月
  • 資本金:500万円
  • 事業内容:商品・販促・広告・空間・ブランディング・コンテンツ等の企画デザイン
  • 所在地:〒060-0004 北海道札幌市中央区北4条西17丁目1-11 吉田ビル 2F
  • URL:http://www.20pct.com/

TAGS of TOPICS

日本中のクリエイターを元気にするメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP