幅広い3DCG映像を制作。フリーランス集団は新人会社員とネコと働く。

東京
株式会社イメンスグラフィティ 代表取締役
Akira Matsumura
松村 彰

3DCG映像の制作会社「Immense Graffiti(イメンスグラフィティ)」は、ベテランから中堅のフリーランスを抱え、幅広いジャンルの映像制作をしている。代表取締役の松村彰氏は、関連会社「グラプロ」も設立し、デザイナーがフリーランスか正社員か、働き方を選択できるようなシステムを整えつつある。東京・湯島天神の隣にある、二つの会社が入るオフィスを訪れると、階段でネコがくつろいでいた。

幅広いCG制作技術が持ち味

会社にネコがいるとは、びっくりしました!

この事務所を借りた9年前に、僕が当時住んでいた石神井公園付近の路上で拾ってきたんです。マメという名前です。スタッフの邪魔をすることもありますが、休憩中に癒してくれますよ。

ネコの話から入ってしまいましたが、事業内容について教えていただけますか。

弊社はフリーランスの3DCGデザイナーに業務委託し、主に3Dの映像制作をしています。3Dに関わる映像はトータルにやっていますので、あらゆる映像をお客様の要望に応じて作ることが可能です。

具体的にはどんな映像を作られているのですか?

CM、テレビ番組、アニメ、遊技機、ゲーム、博物館、企業の工場見学で見せる映像、医療用まで、さまざま映像を制作しています。例えば、海外向け某アニメでは、モーションやエフェクトなどを担当させていただきました。最近では、東京オリンピックのイベントやテーマパークの催しなどで、プロジェクションマッピングのCG映像制作協力をさせていただきました。また、韓流アイドルの東京ドームコンサートでバックのLEDモニタに流すCG映像も制作しました。

映像を見ていると、リアルな映像からファンタジー系まで幅が広いですね。

どの映像も使っているソフトは一緒なんです。弊社では、基本的に「Maya」か「3ds Max」という3DCGソフトを使っており、これらのソフトを使うお仕事でしたら、弊社でお受けしてます。

最近では案件を他社と分業で作ることは珍しくありません。弊社では、“モデリング”、 “モーション”、“レンダリング”、“コンポジット”など、どんな分業にも対応してまして、クライアントが求めるクオリティを出すことを常に心がけてます。

フリーランスか会社員か 選べる二つの働き方

同じく取締役を務める関連会社「グラプロ」でも3DCG映像を制作していますが、イメンスグラフィティとの違いは何でしょうか?

イメンスグラフィティは10人程のフリーランス集団、グラプロは10人程の正社員の集団です。若手デザイナーはグラプロで育てて、将来フリーランスとして働くなら、イメンスグラフィティに移れるようになっています。

なぜ、このような体制なのですか?

2009年に設立したイメンスグラフィティは、フリーランスのデザイナーに業務委託しています。年齢層は30代半ばの中堅から40代のベテランのデザイナーです。デザイナーの年齢が上がってきて、下の世代がおらず、人材育成が必要となってきています。ただ、新人のデザイナーがいきなりフリーランスになるのは収入的にも実力的にも厳しい。そこで、まずは若手デザイナーを社員として育てていこうと、2012年にグラプロを設立しました。

社員かフリーランスか、デザイナーが働き方を選べるということですか?

グラプロで新卒の学生を採用してやっと1年がたち、今はまだテスト運営的な状況です。3年くらいたったら、このままグラプロで続けていくのもよし、フリーランスとしてガツガツ仕事をやっていくのもよし、選ぶ時期が来るでしょう。

業界的には珍しい仕組みなのですか?

珍しいと思います。普通は起業したら社員を雇って、その中にフリーランスを入れていくので、一つの会社の中にフリーランスと社員が混じっているものです。ただ、うちの場合は、先にフリーランス集団を作り、その後に社員を雇う会社ができたので、会社が二つあるという形です。

どちらの働き方がいいのでしょうか?

その人次第だと思います。会社員だと固定給だけど、フリーランスは働いた分だけ報酬がもらえる。イメンスグラフィティはフリーランスの集まりなので、会社から委託された仕事は当然やるのだけれど、自分でどうしてもやりたい仕事があるなら、他の会社に出向することもあります。

二つの会社の仕事内容は同じですか?

働き方が違うだけで、基本的には同じ3DCGの映像制作です。ただ、このシステムにしてから日が浅いので、グラプロは若手デザイナー、イメンスグラフィティはディレクター的な位置づけのベテランデザイナーが多いので、一概に同じ仕事をやっているとは言えないですね。今のグラプロの若手たちが育っていったら、仕事内容の差はなくなって、フリーランスと社員という違いだけになると思います。

テライユキの衝撃から3DCGの世界へ

3DCGを仕事にしようと志したきっかけは?

ファミコンなどゲームをプレイするのは昔から好きでした。1998年に3DCGのモデル、テライユキが登場して、衝撃を受けました。2次元のイラストではなく、「Shade」という3DCGソフトで作られたアイドルです。「(これまでに)なかったものが出てきた」というのが一番の衝撃でした。

プレイステーションのゲームソフト「ファイナルファンタジーVII」にもポリゴンを使った3Dが登場した頃です。今見るとカクカクとしているけれど、当時はすごいなと思いました。今までの2次元の“ドット”ではない表現に「何これ面白そう!」と思って飛びつき、高校の時には3DCGソフトを購入して使っていました。そして、3DCGを学べる専門学校に進みました。

テレビCG制作を経てフリーランスに 専門家よりもオールマイティーを目指す

卒業後の進路は?

テレビのCG制作をやっているアニメの制作会社に入社し、「奇跡体験!アンビリバボー」などテレビ番組のCGを作っていました。

会社員からどうしてフリーになったんでしょうか?

会社がアニメの背景CGに特化するという方針に変わって、テレビのCGの仕事は受けないということになりました。アニメの背景だけを作り続けるとなると、その道の専門家になれるのですが、その時はキャラクターとかエフェクト(光や炎など)などもやって、もっといろいろな作品に関わりたいと思い、フリーランスを選びました。

フリーランスから、どのような経緯で起業したのですか?

それからは、アニメ制作会社などに出向するなどしながら、3年くらいフリーランスをやりました。引き受ける仕事の規模が段々と大きくなっていって、フリーランスとして一人でやっていくには厳しい規模になっていました。そんな中、出向先で弊社のプロデューサーと出会い、一緒に起業することになりました。

フリーランス集団を結成 予想外だった遊技機CG拡大

さまざまな分野でCGが使われはじめた時期ですね。

ちょうどテレビ番組で使うCGが盛んだった頃です。それは見越していましたが、予想外だったのが、遊技機のCG需要拡大です。容量の大きい映像がどんどん載せられるようになって、クオリティも上がっていきました。

現在は経営者という立場ですが、今もCGを制作することはありますか?

たまにあります。最近ではプロジェクションマッピング案件を制作しました。ただ、弊社ではデザイナーに任せたほうがいいものが作れるので、ほとんど任せています。 業界として、全体的なクオリティはどんどん上がっているので、現場で日々新しい技術を勉強している人間にはもうかなわないです(笑)。

ご自身で作っていて一番楽しかったお仕事は?

一昨年、お菓子の博覧会場用で、お菓子ができる工程を描いたVR(バーチャル・リアリティ)の映像を作ったときですね。VRゴーグルで360度立体的に見られる映像です。背景のラフモデルを作りました。楽しい雰囲気で作って下さいと言われて、「実際にこういう工場があったら楽しいな」というファンタジー感覚で作りました。案件によっては、詳細な指示があることもありますが、僕個人は自由度が高いお仕事が好きですね。

若手育成が今後の課題 変わった人、自信満々な人と働きたい

経営者としてのやりがいは?

社内で出来上がったCG作品を見る時ですね。社内で役割分担をして、足並み揃えて、ちゃんといいものができて、クライアントからもお褒めの言葉を頂いて、「またお願いします」と言われたら、うれしいですね。経営者としては、制作の途中経過をあまり見ていないので、完成したものを見ると驚くこともあります。

手前みそですが、弊社のデザイナーは凄いなって思います。こんなにクオリティの高いものを作れるのかと思うこともよくあります。例えば、ある案件の車の動きを見て、「この尺で、このカメラアングルで、こんな動きを入れてくるのか!」なんて驚くことも。社内の誰が担当したのかも分かります。

それだけ優秀な人材ばかりだと、他社に働きに出てしまうこともあるのでは?

「もっと別の仕事をしたいので、数年外で働いてきます」ということはありますね。それから、また戻ってくる人もいます。そもそもフリーランス集団ですから、弊社から出たり入ったりするのは自由ですからね(笑)。

経営者として、大変なことは?

人材育成ですね。今のままだと、ベテランから下の層がいなくて、会社の年齢構成が偏ってしまいます。設立から10年、これからは人を育てる“第二期創業期”という感じですね。ベテランデザイナーたちは、若手をみながら仕事をしているので、現場は大変だと思います。

若手については、何が得意で苦手かをじっくり見ながら育てていきますので、時間がかかります。3DCG制作の中でも「これが得意だ」というハマるものが見つかって、それを中心に少しずつ成長していってほしいですね。ただ、弊社ではジェネラリストになってほしいので、「これしかできない」と言われてしまうと、ちょっと…。

どんな人と一緒に働きたいですか?

やる気があって楽しそうな人です。変わった人は楽しそうな、面白い人に含まれます。僕は個人的に尖っている自信満々な人が好きです。仕事ができればこの業界は「正義」ですから、他のことは多少目をつぶります。それに、「デカい口たたいたんだから、やれよ」と言えます。僕はできることしか言いませんがね(笑)。

今後の会社のビジョンは?

今のオフィスに加えて、近場に新しいサテライトルームを借りる予定なので、増員を考えてます。その規模で会社を維持できるようにしていきたいですね。

社員、フリーランスのデザイナーが「自分がやりたい仕事」をできればいいと思いますね。弊社で働きながら、「こういう仕事がやりたかったんだ!」と思ってもらえたら嬉しいです。

取材日:2018年4月9日 ライター:すずき くみ

株式会社イメンスグラフィティ

  • 代表者名:代表取締役 松村 彰
  • 設立年月:2009年7月
  • 資本金:5,000,000円
  • 事業内容:放送用、家庭用ゲーム、webサイト、遊技機、商品企画等プロモーションCG映像制作
  • 所在地:〒113-0034東京都文京区湯島3-28-18 アドホームズキュービック
  • URL:http://immegra.com
  • お問い合わせ先
  • 電話:03-6240-1907
  • FAX:050-3488-3758
  • Mail:info@immegra.com

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