フル3DCGアニメーションを沖縄で作る! ジェネラリストが集う制作会社

沖縄
株式会社沖縄ゴンゾ CGディレクター 白井 賢一 氏
東京に本社を構え、多くの人気作品を生み出してきたアニメーション制作会社「ゴンゾ」が2012年、3DCG部門として「沖縄ゴンゾ」を立ち上げました。設立当初はわずか数名でのスタートでしたが少しずつ人数が増え、今ではフル3DCGアニメ作品も手がけられるように。CGディレクターの白井賢一さんは、設立以来ずっと会社を支えてきた中心人物です。沖縄ゴンゾの事業内容やこれからの展望などを伺ってきました。

規模が拡大し、フル3DCG作品に挑戦中

東京の著名なアニメ制作会社が、なぜ沖縄に3DCG部門として御社を設立されたのでしょうか?

「ゴンゾ」の3DCG部門が独立するにあたり、どこに会社を作ろうかとリサーチした際、沖縄はIT関連企業への企業誘致に積極的なところがあり、沖縄ゴンゾが設立されました。

最初はどのぐらいの人数でスタートしたのですか?

私も含め2人からスタートしました。今はようやく13人になり、できる仕事が増えてきましたが、まだまだ人員は不足しています。

現在の事業内容を教えてください。

3DCGのアニメーションを制作しています。当初は本社で作った2Dアニメの3Dパートを担うことが多かったのですが、人数が増えてきてフル3DCGアニメ作品を弊社主導で作れるようになりました。

もう一つの主な業務は、他社へ依頼する業務のコントロールです。アニメーション業界は、他の会社と助け合って作品を作ることが多いので、当然それは弊社でも大事な仕事です。日本だけでなく、韓国や中国にも発注し、出来上がってきたものを私がディレクションしています。

海外とのやりとりは、どんなところが大変ですか?

クリエイティブの技術よりもコミュニケーションの苦労が大きいです。こちらの意図を伝えるのが一番大変。発注先が日本の企業だと、アニメの知識などのバックグラウンドが共通しているので、「あのアニメの雰囲気を取り入れてください」と、ニュアンスを伝えればわかってもらえることが多いのですが、海外の企業が相手ではそうはいきません。できるだけロジカルに説明して理解してもらったり、その会社の傾向に合わせて発注内容を調整したりと、柔軟に対応する必要があります。

社員全員がスペシャリストでありジェネラリスト

御社の特徴や強みを教えていただけますか?

小さい会社ゆえの強みだと思うのですが、幅広い技術を持つ社員が多いことです。大きい会社が3DCGアニメを手がける場合、分業制になることが多く、自分の担当する範囲が限られます。それゆえスペシャリストが育ちやすいのですが、弊社は人数が少ない分、一人でなんでもしなければなりません。2Dで絵を描ける社員もいれば、デザインできる社員、コンテを描く社員もいます。たとえば、3Dだけでは硬すぎるところを2Dで柔らかく仕上げるなど、技術が混じり合うことで、作品に奥行きを出すことができます。そうして、社員同士が互いに高め合い、技術が磨かれます。

やる気になれば、何でも挑戦できるという事ですね。

そうです。手を挙げれば誰かが助けてくれますし、アニメ制作に関わる様々な仕事に対応できるようになると思います。

その他、弊社の作品の特徴に、セルルック(アニメ調)のものや絵本調の3DCGを作るなど、幅広い作風に応じられる点があります。弊社の看板作品を多く手がけた千明孝一監督とは、何度もお仕事をしているのですが、毎回やることがガラッと変わります(笑)。それだけ3DCGの可能性を模索してくださっているので、私たちも柔軟な対応を心がけています。

限られた人員で、クオリティ高く。フル3DCGのアニメスタジオとして発展したい

沖縄ゴンゾとしての、これからの展望をお聞かせください。

今までのノウハウを生かしながら、フル3DCGアニメーション制作に注力して、企画段階から作品に関わるスタジオにしていきたいです。

今まさに、フル3DCGアニメを作っている最中で、人員的にかなり厳しい部分があります。そのような状況の中、限られた人員と時間で外注先も活かしつつ、いかにクオリティの高い作品を作るか。そのシステムを構築するための試金石だと思っています。大変ですが挑戦のしがいがあります。

もう一つしたいことは、せっかく沖縄という、のんびりとした風土の場所にあるので、もっと自由な雰囲気の会社にしたいです。たとえば、ピクサーのように、クリエイター一人ひとりに個室を作って好きなものを置くとか(笑)。インテリアやレイアウトを工夫して、伸び伸びと仕事ができるような環境にしていきたいですね。

最後に、どのような方と一緒に仕事をしたいですか?

もちろん、3DCGができる人に来ていただきたいという希望はありますが、そこにこだわっているわけではありません。沖縄には3DCGを学べる場所はほとんどありませんが、芸能や芸術が盛んな土地柄のせいか、エンターテインメントが好きな人や絵が上手な人が多い印象を受けます。3DCGのソフトは、ただの道具に過ぎません。技術的なことは弊社でも教えられるので、絵心のある方は絵筆をマウスに持ち替えて、弊社の仕事にチャレンジして欲しいです。

そして、できれば長く一緒に働きたいです。アニメ業界は作品単位で契約するフリーランスの人が多いですが、3DCGアニメのクリエイターには会社に所属している人も多いです。長く一緒に働いて共に成長できた方が、よりクオリティの高い作品が作れるようになりますし、並行して面白い仕事も回ってきます。沖縄には、3DCGアニメ専門の会社がまだまだ少ないですが、いい作品を世に出して、沖縄の若い世代がもっと弊社に興味を持ってくれれば嬉しいですね。

取材日:2018年4月4日 ライター:仲濱 淳

 

株式会社沖縄ゴンゾ

  • 代表者名:代表取締役 石川真一郎
  • 設立年月:2012年4月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:デジタルコンテンツの企画・制作、TVCM、TVアニメーション
  • 所在地:〒901-2227 沖縄県宜野湾市字宇地泊558-18 ベイサイド情報センター3階
  • TEL:098-870-9381
  • URL:http://okinawa.gonzo.co.jp/
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